運行開始以来ダイヤもほぼそのまま寝台特急

 東京~高松間を走る寝台特急「サンライズ瀬戸」は、1998(平成10)年のデビュー以来27年間走り続けており、その間ダイヤも大差ないという、JR特急でも珍しい列車です。ただ、小さな変化はあります。

その一つが延長運転です。

【写真】結構快適だぞ! これが「サンライズ瀬戸」の車内です

 最初に延長運転されたのは、1999(平成11)年。このときは、高松到着後に折り返して松山に向かうというもので、高松~宇多津間は同じ路線を往復するというダイヤでした。

 2001(平成13)年だと、高松に7時26分着、7時51分発で、松山は10時53分着。上りは松山18時6分発、高松21時4分着で、折り返しの21時26分発以降は通常ダイヤで東京7時8分着でした。

 ただ、下り松山着は遅すぎで、上り松山発は早すぎであるという中途半端な時間設定が影響したのか、あまり乗車率は高くなかったようで、2009(平成21)年に延長運転は中止されます。この時刻ならば、航空機の方が便利だったはずです。

 その後、2014(平成26)年から高松~琴平間の延長運転が行われるようになりました。こちらは下り列車のみですが、高松7時27分着の後で、同じように折り返すダイヤです。こちらは現在まで11年継続しています。おそらく安定した需要があるのでしょう。

 実際にどの程度利用されているのか、乗って確かめました。

11月の土曜、東京発・琴平行きの「サンライズ瀬戸」に乗車しました。東京駅のアナウンスは「琴平行き」と流れますが、車両の行先表示は「高松・琴平」です。おそらく高松行きの乗客への配慮でしょう。

 インターネット予約サービス「e5489」によると、この日は全席満席でした。私は発売開始のタイミングで「みどりの窓口」に買いに行きましたが、それでも1人用B個室「ソロ」しか予約できませんでした。“座席鉄”としては「ソロ」階上室がコスパ最高だと思いますが、家族で乗る場合は寝台の予約に向けてもっと綿密な計画が必要でしょう。

途中で方向転換! 不思議な感覚

 東京を出発した「サンライズ瀬戸」は、定刻の翌朝7時27分に高松に着きました。同駅は頭端式ホームですから、終着駅の雰囲気です。かつて運行されていた岡山~高松~徳島間の特急「うずしお」も、いったん高松駅に入ってから折り返していました。駅構内はセブンイレブンが営業しており、途中下車すれば駅構内の駅弁屋さんも利用できます。

「サンライズ瀬戸」いつもと少し違う行き先へ 実はどれくらい人...の画像はこちら >>

車両の行先表示は「高松・琴平」(安藤昌季撮影)

 ここでの停車時間は35分と長めです。そのため琴平に向かう乗客もホームで買い物したり記念撮影したりと、まるで観光列車のような雰囲気です。

特急列車で安心して途中駅で買い物できるのは、なんとも不思議な感覚です。

 ほかのホームを眺めていると、7時37分に松山行き特急「いしづち1号」が発車していきます。「サンライズ瀬戸」から松山へ向かう場合、高松~宇多津間の往復乗車券が必要になってしまいますが、高松で乗り継ぐと待ち時間が少なくて楽だと思えます。

 岡山行き快速「マリンライナー12号」も見送って、8時2分に「サンライズ瀬戸」が出発します。当たり前ですが、進行方向が逆転するのがおもしろい。それまで進行方向に足を向けて眠っていましたが、頭を向けて寝ることになります。微妙な寝心地の違いを楽しみめました。個人的には進行方向に足を向けた方が、寝心地が良いと感じます。

 ここからは臨時運転ですが、琴平行き普通列車1221Mを途中で追い抜くなど、速度を上げ、本格的に走り出します。8時15分頃には坂出を通過。JR四国の全特急が停車する駅を通過するのは、不思議な気分です。

 8時25分、延長運転区間で最初の停車駅である多度津に到着しました。

 乗降口から見た感じでは降りる乗客はいませんでした。なお、高松~多度津間の移動時間23分は、特急「いしづち」の31分よりも速いです。「いしづち」は3駅停車で「しおかぜ」との連結も行うため、無停車の「サンライズ瀬戸」が速いのは当たり前ではありますが、どこか優越感のようなものを味わえます。

 多度津~琴平間は13分で、特急「南風」の9~12分よりはかかりますが「四国まんなか千年ものがたり」の15分よりは速いです。

 なお、「サンライズ瀬戸」の285系電車7両は電力消費が大きいため、延長運転が行われる日は普通列車が電車から気動車に変更されます。

 8時33分、善通寺駅に到着。4人が下車します。高松琴平電気鉄道(ことでん)の線路を乗り越えると8時39分、琴平に到着。同駅では上りも下りも駅舎に面した2番線に特急は停車しますが、「サンライズ瀬戸」は4番線に停車します。

 琴平駅では30人を超える乗客が降りていきました。琴平駅でも記念撮影の列ができていることが、この列車の人気を示しているように感じられました。

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