なぜ今? 高速料金の「車種区分」見直し

 高速道路料金の全体的な見直しが国の検討会で進められています。その一つが、「軽自動車等」の料金をどうするかということ。

これについて、業界団体が「値上げ反対」を訴えています。

【実は違う!】「軽が日本一売れる県」と「軽が日本一多い地域」=生活直撃!(画像)

 高速道路の料金は現在、クルマの大きさに応じて「軽自動車等」「普通車」「中型車」「大型車」「特大車」の5つに区分されています。普通車を1.0とした場合、軽自動車等は0.8とする料金比率が設定されており、この体系は1989(平成元)年から変わっていません。

 しかし、国土交通省の有識者審議会「国土幹線道路部会」では、この車種区分の見直しが本格的に議論されています。理由の一つは、利用状況の変化です。1990年時点では高速道路を通行する車両のうち軽自動車等は4.7%でしたが、2021年には15%まで増加し、中型車や大型車の比率を上回っています。

 また、この30年あまりで軽自動車の規格は大きくなり、車両重量も増加したことから委員会では「普通車とあまり変わらないものとなっている」との指摘があります。こうした状況を踏まえ、国は料金算定の考え方である「占有者負担」「原因者負担」「受益者負担」の3つの概念に基づき、車種間の不公平感が生じないよう見直しを進めているのです。

 これに対し、一般社団法人全国軽自動車協会連合会(全軽自協)は2025年12月25日の検討会にて、『高速道路料金見直しに関する意見』として、軽自動車の料金負担が増加する可能性に懸念を示しました。

 全軽自協は、仮に車種区分の見直しによって軽自動車の料金負担が相対的に増加するならば、それは「不合理だ」と主張しています。

「軽は道路を傷めない!」業界団体の主張

 その最大の根拠としているのが、道路に与えるダメージの少なさです。全軽自協の資料によると、軽自動車は他の車種に比べて圧倒的に重量が軽く、道路の損傷に与える影響は少ないとされています。

 特に「舗装の損傷は重量の4乗に比例する」「橋梁(コンクリート床板)の損傷は重量の12乗に比例」という学術的知見を挙げ、軽自動車の影響は「無視できるレベル」だと訴えています。軽乗用車の平均重量899kgは、普通・小型乗用車の平均1579kgの約6割に過ぎず、軽乗用車の走行による道路損傷度は普通・小型乗用車の約10分の1になるとしています。

 また、軽自動車はこの30年のあいだに法令によるサイズの規格の上限がアップし、より大きくなりましたが、それは「安全・環境対策上の問題解決が目的であり、必要最低限の拡大」であったとしています。

 さらに、2001年からの20年間における日本の自動車CO2排出量の削減率が23%と「国際的にみて極めて高いレベル」となっているのは、日本の「ハイブリッド車」と「軽自動車」の普及によって実現したと、その功績を振り返りました。欧州でも日本の軽自動車規格を参考に、小型・安価な車両を提供する流れがあることも紹介しています。

値上げなら影響甚大?「地方の足」としての軽自動車

 そのうえで、高速道路料金が値上げされた場合の影響を次のように訴えています。

生活と経済直撃!? 軽自動車の高速料金「値上げは不合理」業界...の画像はこちら >>

軽自動車と二輪の料金は割安に設定されている。写真は首都高の普通車1300円上限時代(画像:PIXTA)

 まず、軽自動車は世帯年収400万円未満のユーザーが約4割を占めることを指摘。料金改定が生活に直結する層に広く利用されているといいます。都道府県別の販売率では地方が多くを占めるものの、軽自動車の絶対数が多いのは、配送や営業などの商用利用が43%を占める東京23区をはじめとした都市部であるとして、経済活動への影響も指摘しました。

 そして、コストの増加によって燃費の良い軽自動車の利用が減り、排気量の大きい車両の利用が増えれば、CO2排出量の増加を招く可能性があると指摘します。

 さらに、軽乗用車ユーザーの65%は女性で、60歳以上のユーザーも43%にのぼることを挙げ、女性や高齢者の社会進出や生活を支える側面があることも訴えました。

 こうしたことから、全軽自協は高速道路料金について、「普通車」とは別に「軽自動車」の車種区分を設けた体系を意地すること、そして料金の見直しが地域経済や環境に及ぼす影響について十分な調査・分析を行うことを要望しました。

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