2扉・転換クロスシートの213系

 JR東海が、213系5000番代の引退を発表しました。213系5000番代は1989(平成元)年に登場した近郊形電車です。

最後は飯田線を中心に使われていましたが、2026年3月14日のダイヤ改正を目処に定期運用を終了する予定です。

【前面展望可!】JR東海213系の車内を見る(写真)

 引退前に、一部の編成にヘッドマークが取り付けられるほか、定期運行終了後の4月には213系5000番代を使用したツアー列車も企画されています。

 213系は地方の地域輸送用として開発された車両です。国鉄が設計・開発し、JRグループ発足直前の1987(昭和62)年に登場しました。最初にデビューしたのが岡山地区です。1988(昭和63)年の瀬戸大橋開業に備え、本州と四国を結ぶ快速列車(現在の快速「マリンライナー」)用の車両として導入されました。

 扉は片側2か所とし、車内の座席に転換クロスシートを採用したことで、居住性が高い客室設備としています。前面は、同時期に製造されていた211系近郊形電車とよく似ています。213系は前面ガラスを拡げ、客室から乗務員室を介して前面展望できるよう配慮されていることが特徴です。

 JR東海の213系5000番代は、岡山地区に導入された213系をJR東海向けの仕様に変えて新造したものです。前面デザインや車体構造に大きな違いはないものの、213系5000番代は車体の帯色をオレンジと緑の湘南色とし、JR東海の既存車両と合わせています。

 車内は扉の間だけ転換クロスシートとし、車両の連結部側や乗務員室側はロングシートとして収容力を上げています。

内装は、座席色を赤系に変えています。

 213系は最短2両編成で運転が可能で、モーターをはじめ走行に必要な機器は1両に集約した「1M方式」を採用しています。従来の国鉄時代の車両は、機器構成を2両1組とした「ユニット方式」だったため、1M方式は珍しい存在でした。

 213系5000番代は、冷房などを駆動するための補助電源装置の方式も変わり、角張った冷房装置(インバータ式)が屋根に搭載されているのも特徴です。

関西本線から飯田線へ

 213系5000番代は1989(平成元)年3月のダイヤ改正から、関西本線の名古屋方を中心に使用されていました。最終的には1991(平成3)年までに2両編成14本が造られましたが、この計28両はJR東海の車両としては少数派にあたります。

 後に名古屋地区の中央本線や東海道本線でも使われた時期がありますが、関西本線と比べると充当される列車が圧倒的に少なく、これらの路線ではレアな存在でした。

 2011(平成23)年には関西本線から飯田線に転用され、この際に車いす対応の大型トイレが設置されて213系5000番代が晴れてトイレ付きとなりました。トイレはクハ212に設置されていましたが、連結部側のロングシートがすべてなくなり、トイレと車いすスペースに変わっています。

 飯田線は、豊橋駅(愛知県豊橋市)から辰野駅(長野県上伊那郡)まで延長195.7kmの路線です。辰野で中央本線と接続し、213系5000番代を含む飯田線の列車の大半は中央本線の岡谷や上諏訪、茅野といったJR東日本管内に乗り入れています。

 213系5000番代は登場から35年が過ぎ、2025年から廃車が進んでいます。

他の線区では代替として新型の315系通勤形電車が導入されていますが、飯田線では315系より1世代前の313系が入るとみられます。名古屋地区と静岡地区に315系の導入を進め、これによって関西本線で使用していた313系を飯田線に転用し、玉突きで213系5000番代を置き換える見込みです。

 213系5000番代の引退により、JR東海の213系はなくなります。しかし、岡山地区ではJR西日本が保有する213系がリニューアル(体質改善工事)を受けながら引き続き使われています。

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