「N-ONE」ベースだけど専用部品多し!

 2025年9月に発売されたホンダ「N-ONE e:」は、人気の軽乗用車「N-ONE」をベースとしたBEV(バッテリー式電気自動車)です。WLTCモード計測値で295kmという航続距離の長さが話題となりましたが、実際の走行性能はどうなのでしょうか。

東京から箱根越えを目指すロングラン試乗を行いました。

【たまに遠出もできる?】これが「電気で走るエヌワン」です(写真44枚)

 N-ONE e:は、ガソリン車であるN-ONEと基本的な設計の多くを共有しています。しかしフロントやリア周りなどは独自のデザインとなっており、特にフロントグリルはエンジン冷却用の穴ではなく、急速用を含む2つの充電ポートが配置されたBEVらしい形状です。また、材質も廃棄されたクルマのバンパーからリサイクルした、環境に優しい素材となっています。

 一方、インテリアはN-ONEと全く異なるシンプルな専用デザインです。加えて、ハンドル位置がN-ONEより37mmドライバー側に寄せられたのも嬉しいポイントです。実際に座ってハンドルを握ってみると、大満足とまではいかないものの、背が高めの軽乗用車としては、かなり自然な運転姿勢が取れるなと感じました。

 なおN-ONE e:の駆動用バッテリー容量は、ホンダの商用BEVモデルである「N-VAN e:」と同じ29.6kWhです。ライバルとなる日産「サクラ」の20kWhよりも大容量で、カタログ上の航続距離でもサクラ(WLTCモードで180km)を突き放す、295kmを実現しました。

「冬の箱根越え」でロングラン性能を試す!

 軽のBEVは、基本的に日常のちょっとした移動が主で、乗っていない間は自宅で充電するというユーザーが多いでしょう。頻繁に長距離を走るユーザーはあまりいないかもしれません。しかし(カタログ上の理論値とはいえ)フル充電で295km走れるなら、「ちょっとした遠出もできるかも」と考えたくなるものです。

軽のEVで「東京から箱根越え」はできるか!?「フル充電で航続...の画像はこちら >>

ホンダ「N-ONE e:」で冬の箱根越えにトライ!(西川昇吾撮影)

 そこで筆者(西川昇吾:モータージャーナリスト)は今回、N-ONE e:で東京・品川駅近辺から箱根を越え、静岡県の三島市まで充電ナシで走る長距離テストにトライしました。

 テストを行ったのは、2026年2月のある寒い日。出発直前のバッテリー残量は98%、メーター上に表示されていた航続可能距離は177kmでした。当然、いつでもカタログの記載値どおりとはいきませんし、BEVは寒い環境が苦手ということも考慮すべきでしょう。

 品川駅近辺を出発して、首都高から東名高速、小田原厚木道路を経由し、箱根新道へと向かいました。東名高速は90km/h、小田原厚木道路では70km/hをキープして巡航しましたが、小田原の麓に着いた段階で、バッテリーは残り約45%まで減っていました。

「ここから箱根の坂道を登りきれるだろうか?」と不安を感じたため、この時ばかりは暖房をオフにして走行。車内は寒かったものの、シートヒーターが身体を暖めてくれたので耐えられました。結果、バッテリーを約20%残して箱根の登頂に成功しました。

 その後は峠を下りながら三島市街を目指しました。ここでは下り坂での回生ブレーキ作動により、バッテリー残量が徐々に回復。最終的に、三島市街にはバッテリーを約25%残して辿り着くことができました。


暖房のオンオフや電力消費を抑えるアクセル操作など、ある程度我慢するシーンはありましたが、BEVに厳しい冬に、東京から充電ナシで箱根越えできたのは素晴らしい性能だと言えるでしょう。

 また航続性能と並んで印象的だったのが、走りや乗り心地の上質さです。乗り心地は全体的にしっとりとしていて、軽自動車にありがちなコツコツとしたショックが抑えられています。また電動パワーステアリングも安っぽい感触がなく、路面状況を掴みやすいセッティングです。

 静粛性についてはエンジン騒音がないのはもちろん、風切り音やロードノイズも軽自動車としてはハイレベルな仕上がりでした。特に山道や高速ではなく、市街地を走ったときに良さがハッキリ表れるでしょう。「普段は自宅周辺の短距離移動がメインだけど、たまに少し遠出したい」という人にも、オススメの1台だと感じました。

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