防衛省は2026年3月11日、東京都市ヶ谷にある防衛省庁舎において、海上保安庁との連携強化を図るための共同机上訓練を実施したと発表しました。
【これが“命守るマーク”!】巡視船に掲げられた特殊標章を写真で(画像)
日本に対して外国の軍隊が攻めてきた場合、これを「武力攻撃事態」といいますが、この際には当然、自衛隊が日本を防衛するために敵と戦うことになります。
「海の警察機関」である海上保安庁も、当然その中に含まれています。そうした活動をより効率的に実施するために、内閣総理大臣が特別の必要があると認めるときに限り、自衛隊法第80条に基づき防衛大臣が海上保安庁の全部または一部を統制(コントロール)することができるようになっているのです。
ではこの統制の下で、海上保安庁には何ができるのでしょうか。日本政府の見解は次の通りです。
「海上保安庁は、自衛隊の出動目的を効果的に達成するために、その所掌事務の範囲内で、例えば漁船の保護、船舶の救難等の人命、財産の保護や、密輸、密航等の海上における犯罪の取り締まり等の業務を実施することとなると考えられます」(第145回国会 参議院 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会会議録 第4号 1999〈平成11〉年5月11日 野呂田芳成防衛庁長官答弁)
つまり防衛大臣による統制下でも、海上保安庁は自衛隊の出動目的を効果的に達成することを目的として、通常時と同じ業務を実施することになるというのが日本政府の見解です。
巡視船が掲げる“守りのマーク” 国際法上の保護とリスクそして2023年4月、防衛大臣による統制の具体的な内容などを盛り込んだ「統制要領」が定められました。この統制要領に基づき、自衛隊と海上保安庁との間の情報伝達などに関する確立した手続きを検証するため、実施されたのが今回の机上訓練だといいます。
2021年12月に行われた、不審船に対応する想定の海上自衛隊と海上保安庁の共同訓練(画像:海上保安庁)。
それでは、有事に際して海上保安庁は具体的にどのような活動を行うこととされているのでしょうか。同庁が定めている「海上保安庁国民保護計画」によると、その内容は次の通りです。
(1)敵による攻撃の兆候を察知するための情報収集
(2)攻撃による被害が発生した海域などに関する情報の発信
(3)住民の避難や誘導、緊急物資の輸送など
(4)海上における警備や消火、救助活動など
こうした国民保護などに携わる組織(文民保護組織)は、敵の攻撃から保護されることが国際法で定められています。そこで、海上保安庁の巡視船や航空機などには、国際法で定められている「特別標章」(オレンジ色地に青色の正三角形)を掲げることができます。2023年に実施された海上保安庁と海上自衛隊との共同訓練では、実際に巡視船にこの特殊標章を掲げ、それがしっかり遠方から目視できるかどうかが検証されました。
ただし、こうした保護はあくまで「本来の任務から逸脱して敵に有害な行為を行わない限り」認められるものという点に注意する必要があります。仮に、海上保安庁の巡視船が実施したある行為が「有害」であると判断された場合、攻撃を受ける可能性も排除されません。
こうした可能性を極小化させるためにも、例えば中国を含む国際社会に対して、有事の際の海上保安庁の役割について説明を繰り返す必要があるでしょう。

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