首都高K1横羽線と第三京浜とをつなぐ首都高K7「横浜北線」およそ8.2kmが、2017年3月18日に開通します。国道15号と10本もの線路を一気にまたぐ高架橋や横浜市内最長の道路トンネルなどで構成された最新の高速道路、その全貌が明らかになりました。

新横浜周辺地域と横浜湾岸部のアクセス性向上

 生麦JCT(横浜市鶴見区)と横浜港北JCT(同・都筑区)を結ぶ首都高の新路線、K7「横浜北線」が2017年3月18日(土)に開通します。

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横浜北線の横浜北トンネル。電光掲示板で開通予定を案内していた(2017年2月9日、中島洋平撮影)。

 横浜北線は、首都高K1横羽線、K5大黒線、および第三京浜をつなぐ路線。首都高速道路によると、「新横浜を中心とする市内北部と横浜港、羽田空港方面とのアクセス性向上」「市内の高速道路ネットワークが強化されることによる物流の効率化」「災害時の医療搬送における信頼性の向上」といった効果が見込めるといいます。

 たとえば新横浜から羽田空港までの所要時間は現在、三ツ沢経由で40分かかるところが30分に短縮されるそうです。

また、現在建設中の「横浜環状北西線」(横浜港北JCT~横浜青葉JCT)が開通すれば、横浜市内と東名高速を結ぶ新たなアクセスルートの一部としても機能します。

横浜市内最長トンネルに「スパゲティ」状態のJCT 3月開通、首都高横浜北線の全貌

横羽線、大黒線と横浜北線が交わる生麦JCT。倉庫や工場の合間を縫うようにランプ橋が架けられている(2017年2月9日、中島洋平撮影)。

 延長約8.2kmの横浜北線は、起点である生麦JCTと終点である横浜港北JCT付近の計2.3kmが、高架橋などのいわゆる“明かり区間”で、そのあいだの約5.9kmがトンネル(横浜北トンネル)です。

「沿道は市街地や住宅街です。住環境に環境に影響を与えないよう騒音を低減する工夫が詰まっているほか、トンネルには最高水準の防火設備、避難設備が設けられています」と、建設の責任者である首都高速道路 神奈川建設局長の寺山 徹さんは話します。

意外なところにあるトンネルの避難用通路

 起点の生麦JCTは現在、大黒線から横羽線の東京方面への流入路のみが開通していますが、横浜北線の開通と同時に、4方向すべての往来が可能になります。既存の市街地に横浜北線を建設するにあたり、横羽線の生麦入口を移設し、それによって空いた場所に横浜北線の橋脚を建てたのだそうです。

横浜市内最長トンネルに「スパゲティ」状態のJCT 3月開通、首都高横浜北線の全貌

舗装面には小さな穴が無数に開いている。この穴から走行音を吸収し、周辺への騒音を抑えているという(2017年2月9日、中島洋平撮影)。

 生麦JCTから岸谷生麦出入口にかけては、本線や出入口のランプ橋など複数の橋がJRの東海道本線(旅客線と貨物線)と横須賀線(湘南新宿ライン)、京浜東北線、そして京急の本線という合計10本の線路、さらに第一京浜(国道15号)を一気にまたぎます。また、周辺の住環境を守るために、それぞれの橋には高さ5mの遮音壁が設けられているほか、走行音を低減する高機能の舗装が施されているといいます。

横浜市内最長トンネルに「スパゲティ」状態のJCT 3月開通、首都高横浜北線の全貌

トンネル内における水噴霧装置のデモンストレーション。火災時には、ひとつの噴霧口につきおよそ50m範囲に水を噴霧する(2017年2月9日、中島洋平撮影)。

 横浜市内で最長のトンネルとなった横浜北トンネルには、監視カメラと放送用スピーカー、一般利用者でも操作できる消火器類、そしておよそ250mおきに避難用通路への脱出口が設置されています。火災が発生すれば、トンネル上部から水を噴霧する装置も発動します。寺山局長によると、「トンネルの防火設備としては最高水準」だそうです。

横浜市内最長トンネルに「スパゲティ」状態のJCT 3月開通、首都高横浜北線の全貌

本線からすべり台を降りた先にある避難用通路。
「すべり台方式」の採用は首都高で初めてという(2017年2月9日、中島洋平撮影)。

 脱出口のボタンを押すと現れるすべり台を降りた先にある避難用通路は、実は本線の真下を通っています。本線で火災が起きた際は、煙がトンネル上部に上がっているうちにとりあえず真下へ避難し、本線に誰もいなくなったことを確認してから水噴霧装置を発動させるのだそうです。避難用通路からは、トンネルの両端部およびトンネル途中にある2か所の換気所(排気ガスなどを外に放出する設備)を通って地上に出られます。

まさに「スパゲティ」状態の横浜港北JCT

 港北方面へトンネルを抜け、新横浜出入口を過ぎると、本線は上下2層式の高架橋になります。上が生麦方面行き、下が港北方面行きです。

横浜市内最長トンネルに「スパゲティ」状態のJCT 3月開通、首都高横浜北線の全貌

いくつものランプ橋が曲線を描く横浜港北JCT。中央の工事中の箇所は将来、横浜環状北西線に通じる(2017年2月9日、中島洋平撮影)。

 終点の横浜港北JCTは第三京浜・港北ICのやや南側に位置しており、横浜北線、第三京浜、そして将来開通する横浜環状北西線の結節点がまとまるように、いくつものランプ橋が曲がりくねっていて、まるでスパゲティをフォークで巻いたかのようです。JCTの建設にあたり、港北ICの料金所を移設し、現在の形になったのだそうです。

 さらに横浜港北JCT付近では現在、横浜環状北西線の工事が進められています。横浜北線の高架橋上からも「ここに接続するのだな」とわかる部分が見えました。

なお、横浜北線でもトンネルのほぼ中間に位置する馬場出入口は、2019年度の開通を目指して引き続き工事が行われます。

横浜市内最長トンネルに「スパゲティ」状態のJCT 3月開通、首都高横浜北線の全貌

横浜港北JCTから横浜環状北西線の工事現場をのぞむ。ブルーシートの位置には将来、橋脚が立てられる(2017年2月9日、中島洋平撮影)。

 寺山局長が「2001(平成13)年の事業化から16年で完成しました。これだけの規模を考慮すると、“早い”と感じています」と話す横浜北線。3月18日(土)は式典が行れたのち、16時に開通します。

【画像】横浜北線の位置とルート

横浜市内最長トンネルに「スパゲティ」状態のJCT 3月開通、首都高横浜北線の全貌

横浜市北部を東西に結ぶルート。延長およそ8.2kmのうち、約5.9kmを横浜北トンネルが占める(画像出典:首都高速道路)。