空を見上げれば、無人の小型機が荷物を届けてくれる。そんな光景が一部の地域では現実のものになりつつあります。
【まさかの使い方!?】これが「ドローン串刺し巨大自撮り棒」です(写真で見る)
背景にあるのは、物流業界が今まさに直面している深刻なドライバー不足、いわゆる「2024年問題」です。2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働に年960時間(休日労働は含まず)の上限が適用されるなど規制が強化されており、対策を講じなければ物流の停滞が懸念されています。
人手不足が続くなか、荷物を運ぶ最後の区間(ラストワンマイル)の担い手として注目を集めているのが、ドローンによる配送です。
なかでも取り組みが先行しているのが、離島や山間部です。ANAホールディングスなどは長崎県五島市で、二次離島へ日用品や医薬品(処方箋医薬品等)をドローンで配送する実証実験をすでに行っています。
いっぽう長野県伊那市では、川崎重工が参画し、無人VTOL機を用いた山岳部の物資輸送プラットフォーム構築事業が開始されました。クルマだと大回りになりやすい離島や山間部でも、ドローンなら海上や山越えを含む直線的なルートを設定でき、移動の負担を大幅に減らせるためです。
このように、地方では実用化に向けて着実に実績を積みつつあるドローン配送ですが、なぜ東京をはじめとした都会ではなかなか見かけないのでしょうか。
都心の空を飛ばないのはなぜ? 運用できそうでできない理由法律面では、改正航空法の施行により2022年12月5日から、人が暮らす地域の上空でも操縦者が機体を目視せずに飛ばせる「レベル4(有人地帯における補助者なし目視外飛行)」の制度(機体認証や操縦ライセンスなど)が開始されました。
ドローンは都心で飛ばせない? 画像はイメージ(画像:PIXTA)
国土交通省は2023年3月17日、日本郵便に対してレベル4の初実施に必要な飛行許可・承認を行い、同社は同年3月24日に東京都奥多摩町でレベル4飛行による配送を実施しています。
しかし、建物が密集する都心部では、まだまだ大きなハードルが立ちはだかっています。最大の理由は、故障などで落下した場合に第三者へ重大な被害を及ぼすおそれがある点です。
有人エリアの上空を飛ぶレベル4では、機体認証を受けた機体を用い、操縦ライセンスを備えた操縦者が、許可・承認のもとで厳格な運航ルールを守って飛行する必要があります。こうした要件を満たすハードルはかなり高く、人口密度の高い地域ほど慎重な運用が求められます。
さらに都市部では、第三者が近づきにくい飛行経路を確保する工夫(水上ルートの活用など)や、飛行音(騒音)への配慮も大きな課題になります。
このような現状を鑑みると、将来的にドローンがトラックを完全に置き換えるのは難しいといえるでしょう。ただ、すべてを置き換えるのではなく、不便な場所や人口の希薄なエリアはドローンが担い、人口の多い地域ではトラックが担うといった「使い分け」で相互補完することは可能です。
今後は、トラックとドローンによる「二人三脚」の物流が、当たり前の光景になっていく可能性が高いのではないでしょうか。

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