博多駅と博多南駅を結ぶJR西日本の博多南線は、営業キロわずか8.5km、所要時間約8分という非常に短い鉄道路線です。しかも、この路線を走っているのは全て「新幹線」の車両となっています。
全国的にもあまり類を見ない珍しい形態の路線ですが、博多南線のルートはもともと、山陽新幹線の終点である博多駅から博多総合車両所へ通じる回送線でした。しかし「回送線に乗らせてほしい」という沿線住民からの強い要望を受け、1990(平成2)年に旅客路線として開業。途中停車駅はなく、博多駅と博多南駅の2駅を往復しています。
こうした背景から、使用車両も走る線路も全て新幹線(全車8両編成)です。円筒形の車体形状が特徴的な500系や、「ひかりレールスター」としても運用される700系がメインで使用されているほか、近年では九州・山陽新幹線「みずほ」「さくら」で運用されるN700系も加わっています。
その一方、法規上は在来線という扱いのため、乗車料金は破格の安さ。最高速度は120km/hに制限されているものの、運賃200円+特定特急料金130円のわずか330円で新幹線車両に乗れることから、鉄道ファンからも人気を集めています。なお、JR九州の時刻表では博多南線の列車種別は全て「特急」としています。
今回は実際に、博多南線で博多-博多南間を往復してみました。本路線は交通系ICに対応していないため、乗車には紙のきっぷが必要です。博多駅の券売機のディスプレイ上部には「博多南線」専用のボタンが表示されます。発券されたきっぷを手に、新幹線改札から入場し、新幹線のホームから乗車します。
往路では700系へ、復路では500系に乗車しましたが、いずれも車内は1990年代~2000年代の空気感を色濃く残す、どこか懐かしい雰囲気。速度も在来線特急並みなので乗り心地も非常に快適ですが、乗車時間はあっという間です。
現在では「のぞみ」などから外れた車両がメインに運用されことや、新幹線車両としては“ゆっくり”なスピード、途中駅もないことなど、さまざまな意味で風変わりな体験ができる博多南線でした。

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