2017年2月、千葉県内で初めて、ある国道の一部区間で制限速度が60km/hから70km/hに引き上げられました。法定速度以上のスピードで走れる一般道は、どうして誕生したのでしょうか。
国道464号「北千葉道路」は、千葉県市川市から成田市までを結ぶ計画の道路です。2017年2月19日(日)には印西市若萩から成田市北須賀までの約4.2kmが開通し、鎌ヶ谷市から成田市に至るおよそ26kmがつながりました。北総鉄道北総線、京成成田空港線(成田スカイアクセス線)にほぼ沿い、千葉ニュータウンを東西に貫いています。
北総線に沿う国道464号「北千葉道路」の掘割区間。2017年2月に、制限速度が60km/hから70km/hに引き上げられた(画像:photolibrary)。2月19日(日)には、既存区間でも変化がありました。印西市内の「掘割構造」となっている約9kmで、制限速度がそれまでの60km/hから、70km/hへと引き上げられたのです。一般道の法定最高速度である60km/hを超える制限速度がなぜ規定されたのか、千葉県警交通規制課に聞きました。
――一般道の法定速度は最高60km/hですが、それを超える制限速度を規定することは可能なのでしょうか。
はい。警察庁の「交通規制基準」では、一般道のうち「自動車の通行機能を重視した構造の道路」で、かつ「安全が確保された道路」については、最高速度70km/hもしくは80km/hを原則とするとされています。
――今回、北千葉道路の一部でなぜ、制限速度が70km/hに引き上げられたのでしょうか。
この区間は真ん中に北総線、その両脇に掘割構造の上下線、さらに掘割の上に側道の上下線が並行しています。このうち掘割構造の上下線については、もともと設計速度(クルマが安全かつ快適に走れる最高限度の速度)が80km/hであり、クルマの多くも実質的に70km/h前後で走っています。かつ、2014年7月の開通から人身事故は1件のみと少なく、安全が確保されていることから、実態に合わせる形で、千葉県内で初めて制限速度を70km/hに引き上げました。
引き上げにはさまざまな「条件」 数は絞られる?――通行するクルマが実質的に70km/h前後で走っているような道路はほかにもあると思います。なぜここだけ引き上げが可能になったのでしょうか。
法定速度以上の速度規制が可能な道路には、大きくみっつの条件があります。まず、設計速度が60km/hであること、高架や掘割などの構造によって立体交差化されていること、そして上下線が分離されていることです。さらに、見通しがよい、勾配が少なく全体的に平坦であるといった特徴も備わっていなければなりません。今回の引き上げ区間は、これらの条件にも合致していました。
――規制速度を引き上げれば、実質的な走行速度も上がってしまうのでは。
他県では、規制速度を引き上げても実質的な走行速度は5km/h以上アップしなかったという検証結果があります。実質的な走行速度は規制速度にあまり左右されないと思っています。
――こうした道路は全国にどれくらいあるのでしょうか。
明確な数字はわかりませんが、関東では栃木県や神奈川県に存在します。ただ、ある程度の区間にわたって引き上げの条件に合致する道路というと、絞られてくると思います。

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ちなみに、掘割区間は制限速度の引き上げにより、50cc以下の原付が進入禁止になりましたが、側道は制限速度60km/hから変更されず、原付も走行することができます。道路の条件がそろい、かつ安全であることが確認された区間について、今後もこうした法定速度を超える制限速度を規定する例が増えていくかもしれません。
【画像】国道464号「北千葉道路」の全体概要
