しなの鉄道の軽井沢駅に「ろくもん」「ななつ星in九州」を手がけたデザイナー水戸岡鋭治さんによる「森の小リス キッズステーション in 軽井沢」(仮称)が登場。いまだかつてない「家族団らん」が生まれるものにするといいます。
2017年10月ごろ、避暑などのリゾート地、観光地として広く知られている軽井沢の駅が、大きく変わる見込みです。軽井沢駅(長野県軽井沢町)を発着するしなの鉄道が2017年3月14日(火)、同駅の「駅ナカ」開発プロジェクトについて詳細を発表。しなの鉄道の観光列車「ろくもん」や、JR九州の豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」に携わった工業デザイナーの水戸岡鋭治さん(ドーンデザイン研究所)の手によって、“大変身”することが明らかになりました。
軽井沢駅に登場する「森の小リス キッズステーション in 軽井沢」(仮称)のイメージ(画像:しなの鉄道)。しなの鉄道が今年10月1日に迎える開業20周年のシンボル事業として行われるもので、「子どもや女性、お年寄りまで多くの皆さんに、電車に乗るためだけでなく、『訪れて楽しい』『行ってみたくなる』駅空間の提供」を目指すとのこと。
「軽井沢は年間840万人が来訪するポテンシャルの高い場所です。鉄道を利用される方のみならず、クルマでいらっしゃる方も楽しめる施設にしたいと考えています」(しなの鉄道 玉木 淳社長)
現在の北陸新幹線が1997(平成9)年に高崎~長野間で開業した際、JRから分離された並行在来線を引き継ぐべく誕生したしなの鉄道。同社の玉木 淳社長は、地方鉄道は人口減少、老朽化など大変な状況にあるなか「地域の足」を守っていきたい、水戸岡さんの力を借りて「行ってみたい駅」を作り、地域を活性化していきたいという思いから、このプロジェクトを実施すると話します。
「行ってみたくなる駅空間」その内容は? ローリングレストラン、カフェも軽井沢駅に誕生する施設の愛称は「森の小リス キッズステーション in 軽井沢」(仮称)です。水戸岡さんによると、6歳以下の子どもたちと65歳以上の人のための「ワンダーランド」として3世代一緒に楽しめる「家族団らん」が生まれるデザインにするといい、また玉木社長は、軽井沢駅付近にあるアウトレットモールを直接楽しむことは難しいそうした世代の人々が満足できるものを作りたいと話します。

コンセプトは「旧軽井沢駅をリデザイン・リニューアル・リサイクル・リユース」。
計画では、現在のしなの鉄道1・2番線ホームと旧1番線ホームのあいだに「フタ」をして広いデッキにし、そこに店舗や、「ミニトレイン」「レールバイク」といった鉄道を身近に感じられる遊具などを設置。水戸岡さんは「線路にフタをするなど、いまだかつてないプロジェクトだと思います。いつかやってみたいと思っていました。これだけ広い木のデッキ、それだけで気持ちいいはず」と話します。

広場の店舗はタイヤを持ち、自由に動く「ローリングカフェ」「ローリングマルシェ」「ローリングバー」「ローリングレストラン」などになっているのが大きな特徴で、レイアウトを季節に応じて変更することも可能です。
また現在、同駅で保存されている国鉄時代に製造された169系急行形電車は、車内にナノブロックやプラレールを用意した、子どもたちが遊べる「マルチスペース」になります。
軽井沢駅の混雑解消も 「成功」の可能性は?現在は記念館になっている軽井沢駅の旧駅舎については、1階に長野県らしさを発信できる飲食店を誘致し、2階の貴賓室は軽井沢の歴史や文化を象徴する空間「ろくもんラウンジ」として活用する方向で、所有者である軽井沢町と協議しているとのこと。ホーム側には、小さな子どもが安全に電車を眺められる「キッズハウス」も設置されます。

そして、この歴史ある旧駅舎に改札口を新設することで、軽井沢の歴史や文化を生かしながら、軽井沢駅北口への回遊性を高めるとともに、夏休みやゴールデンウィークなど繁忙期の混雑解消が図られます。
また、現在の3階にあるしなの鉄道の改札口付近では、2018年春に商業店舗エリアが拡充される予定です。

観光客が少ない冬場をどうするかといった課題はありつつも、水戸岡さんは、軽井沢ならこうした施設が成功する可能性が高いと話します。2017年4月に着工され、事業費はおよそ2億5000万円。入場は有料で、料金は未定ながら駅の入場券代(190円)をひとつの目安にしているそうです。
【写真】水戸岡さんデザイン しなの鉄道の観光列車「ろくもん」
