最近のゲームは3DのCG技術が当たり前のようになり、実写と見紛うようなリアルな表現も当たり前になりつつあります。しかし、こうしたゲームを作る土台となる「ゲームエンジン」などのソフトウェア技術が、自動車をはじめとした産業用途に使われていることはあまり知られていません。
パシフィコ横浜にて2026年5月27日から29日まで開催された「人とくるまのテクノロジー展2026」。そこで、普段はあまり見ない顔ぶれの企業がブースを出展していました。音響向けのソフトウェア「CRIWARE」で、ゲーム業界では広く知られている「CRI・ミドルウェア」です。
同社は元々、ゲーム内の音声や映像を効率よく処理するための「ミドルウェア」を提供していました。近年はそのノウハウをモビリティ分野にも展開しており、名古屋大学発の産学共創プロジェクト等を通じて、自動車向けのSDV体験価値シミュレーションソフトウェアの開発も行っています。「MESH」と名付けられたこのソフトは、一部の自動車メーカーでの先行導入も決まっているそうで、このソフトは2026年5月25日より販売が開始されています。
こういった事例はシミュレーションを用いた自動車向けソフトウェアの開発では、決して珍しいものではありません。
現在、多くのゲームメーカーが使用しているゲームエンジンのひとつ「アンリアルエンジン(Unreal Engine)」は、自動車の開発にも大きく貢献しています。天候や道路状況のシミュレーション目的から、車体のデザインなどまで、幅広い用途で用いられています。
自動車の開発にはお金も時間もメチャかかる!また自動車の内装設計などには、別のゲームエンジン「ユニティ(Unity)」が用いられることもあります。こちらはHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)というVRゴーグルを被り、実際の車体や内装がどう見えているのかを仮想空間上でチェックしながら、現実に近い感覚で車体設計を行うことが可能です。
では、なぜこういったゲームエンジンを使ってのシミュレーションをしながら、クルマを作るようになったのでしょうか。
これまでは、実際に試作車を制作し、そのうえで問題点を洗い出して設計をやり直すといった流れが主流でした。膨大な資金や時間が許される状況ならばそれも可能でしたが、省資源や省エネ、開発のスピードアップが求められる現在では、現実ではなくシミュレーションを用いてデータを取得し、車両を設計する方針が主流です。これにより、資源の消費を抑えるとともに、車両の性能を突き詰める時間を大幅に短縮できます。
また、自動車そのものも急速に多機能化(スマート化)しており、組み込まれたソフトウェアが実際にどう動作するのか、新しい機能をどう実装するのかという課題も生まれています。こうした問題解決のために、仮想空間上で素早くテストを繰り返せるシミュレーションの重要性が高まっています。
一見するとあまりつながりがなさそうな、ゲームと自動車という2つの領域。実は同じ「縁の下の力持ち」に支えられている、密接な関係にあったのです。

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