飛行機の乗降は多くの場合、機体の左側です。これにはどのような理由があるのでしょうか。

また、右側の扉はどのように使われるのでしょうか。

飛行機の左側は、船の「左舷」?

 飛行機の乗り降りは多くの場合、機体の左側から行われます。

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ターミナルと飛行機をつなぐボーディングブリッジは多くの場合、機体の左側に連結される(画像:2016年5月、太田幸宏撮影)。

 飛行機が駐機場に入ってくると、羽田空港などでは機体左側の扉に、ターミナルからの連絡路となるボーディングブリッジが連結されます。ボーディングブリッジではなくタラップが連結され、地上から乗り降りする方式の空港もありますが、それもほとんどの場合、乗降口となるのは機体の左側です。その理由をJAL日本航空)に聞きました。

――飛行機の乗降が左側で行わるのはなぜでしょうか?

「船」の名残といわれています。飛行機には船にならった用語や慣習がたくさんあり、そのひとつです。船の左舷は「ポート・サイド」と呼ばれ、かつては左舷から港へ接岸し、人の乗り降りを行っていました(編集部注:現在はこの限りではありません)。

――右側のドアは何に使われるのでしょうか?

 清掃スタッフが乗り降りしたり、食事や販売品を機内に搭載するために使われます。機体右側のドアは「サービス・ドア」と呼ばれるのに対し、お客様の乗降に使われる左側のドアは「パッセンジャー・エントリー・ドア」と呼ばれます。

機体の両側が使われる場合も?

――右側のドアは乗降に使われることはあるのでしょうか?

 車いすのお客様をリフトカーでお運びする場合などには、右側のドアを使うことがあります。

しかしながら一般的には、ターミナルから離れた位置に駐機する飛行機にお客様をバスでお運びするような場合でも、機体左側のドアから乗り降りします。

※ ※ ※

 このように、飛行機の乗降は基本的に機体の左側から行われますが、空港によっては、機体の両側にボーディングブリッジを接続できるところがあります。そのひとつが、ANA全日空)などが就航する羽田空港第2ターミナルの一部スポットです。同ターミナルを管理する日本空港ビルデングによると、「両側にボーディングブリッジを接続させるのは、ボーイング747のような2階建て大型機からの降機の場合のみです。これをスムーズに行うために設けられたものですが、現在はこのターミナルに2階建て機が乗り入れてくることがなくなったため、使っていません」といいます。

 ちなみに、ボーディングブリッジやタラップを機体に連結させるのではなく、飛行機に格納されたステップを使い乗降する場合もありますが、その場合も開くのは機体の左側です。ただJALによると、「少なくともJAL本体では、数年前まで使われていたマクドネル・ダグラス(MD)の小型機を最後に、格納式ステップを有する機材はなくなっている」そうです。

【図】船の左舷が「ポート・サイド」と呼ばれるワケ

飛行機の乗降、なぜ左側だけ? 右にもあるドア、普段使わないのは「船の名残り」

かつての船は舵が右側にあることが多く、港には左舷を接岸させたことから、左舷は「port(港) side」、右舷は「steering(操舵) side」が変化し「starboard side」と呼ばれるようになった(乗りものニュース編集部作成)。

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