ホンダ「モンキー」や「モトコンポ」を彷彿とさせるシンガポール製の電動原付バイクが登場しました。家庭用電源で1時間充電すれば、60km走行が可能です。
東京都世田谷区の二子玉川 蔦屋家電で2017年12月1日(金)から、新しい電動原付バイクの展示と先行予約が行われています。
二子玉川 蔦屋家電で展示中の電動原付「モトチンプ」(2017年12月、中島洋平撮影)。
名前は「motochimp(モトチンプ)」といい、電動モビリティなどを手掛けるシンガポールのVanda Electrics(ヴァンダ・エレクトリクス、以下ヴァンダ)社製です。箱型のボディにタイヤ、ステップ、ハンドル、シートなどが取り付けられており、全長、全幅、全高はそれぞれ1102mm、655mm、1153mm。50cc以下の原付1種としてナンバープレートを取得することができ、最高速度は45km/hです(編集部注:原付1種の公道における最高速度は30km/hと法令で定められている)。
「特徴は、家庭用のコンセントで1時間充電して、60km走れるという充電時間の早さです。ほかの電動原付では充電にひと晩くらいかかるものもあります」(二子玉川 蔦屋家電 モバイルコンシェルジュ 百名 覚さん)
この「モトチンプ」、どのようなコンセプトで開発されたのでしょうか。Vanda Electrics Japanを運営する西部商工(神戸市中央区)に話を聞きました。
――「モトチンプ」はどのようなコンセプトで造られたのでしょうか?
ヴァンダ社デザイナーの娘さんが、10歳のときに描いたスケッチがもとになっています。それを父親であるデザイナーが面白いと感じて形にしたものです。
――なぜ輸入しようとしたのでしょうか?
当社とヴァンダ社における経営者どうしのつながりからです。当社はもともと工作機械や歯車などを製造しているパーツメーカーなのですが、自動車などの「EV化」が進むなかで、これからを見据えて新規事業として立ち上げました。
――日本の規制基準にあわせて造られているのでしょうか?
はい。ヴァンダ社では現在、ヨーロッパ向けの基準に合わせたものも開発中です。
やっぱりアレにインスパイア? 「モンキー」無きいまに!――本国シンガポールではいつから発売されているのでしょうか?
実はシンガポールではまだ一部の人にしか販売されておらず、規制基準が厳しいことから公道走行にも対応していません。もともとシンガポール以外での販売が念頭に置かれており、中国では2017年春に上海のファッションショーでお披露目され、現在はアパレルブランドを通じて販売されています。「ファッションの一部として乗ってほしい」という思いからで、日本でも、秋に開催されたファッションイベント「神戸コレクション」「サンノミヤコレクション」がお披露目の場となりました。
現在日本では二子玉川 蔦屋家電さんのみで販売予約を受け付けていますが、今後はディーラーを募るほか、日本向けのサイトを立ち上げ、そこで通信販売していく予定です。
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このような箱型ボディの原付といえば、1980年代にホンダから小型車「シティ」の荷台に搭載できるというコンセプトで発売された「モトコンポ」が思い出されます。実際、そのような人も多いのか、「『モトコンポ』が好きな方が見に来られます。実車を見て『おおっ!』と反応されるのは、40代前後の方が多いようです」(二子玉川 蔦屋家電 百名さん)とのこと。
「このバイクの存在を知ったころ、ちょうどホンダさんが『モンキー』の生産を中止し、小型の原付がなくなると話題になっていました。『モトコンポ』や『モンキー』が好きな方に受け入れられるのでは、と思って取り扱いました」(百名さん)
やはり「モトチンプ」は「モトコンポ」に影響を受けたものなのでしょうか。西部商工によると、「ヴァンダ社から公式にはアナウンスされていませんが、デザイナーは日本好きなので、少なからず影響を受けているのでは」と話します。

ホンダが1980年代に発売した原付「モトコンポ」(画像:ホンダ)。

シート高は661mmで、ホンダ「モンキー」とほぼ同じ。

バッテリーをボディから抜いて直接充電することもできる。
世界的にもまだ登場したばかりの「モトチンプ」、色はレッド、ブルー、イエローの3種が標準で、それぞれ値段は48万6000円(税込み。以下同)です。今回は二子玉川 蔦屋家電限定で、ブラック(54万円)も50台用意されています。二子玉川 蔦屋家電では2018年1月末まで、店頭またはウェブサイトで販売予約を受け付けており、そこから納車までは半年ほどかかるそうです。