JALが自転車の受託手荷物専用ボックス「SBCON」を公開しました。収納の手間を軽減し、搬入出時や飛行中の衝撃から自転車を守るよう設計されているといいます。
JAL(日本航空)は2018年6月22日(金)、自転車の受託手荷物用専用ボックス「SBCON(エスビーコン)」を公開しました。
同ボックスは、せとうち観光推進機構とS-WORKSと合同で開発。今後ますます盛んになっていくと考える、サイクルツーリズムの需要に応えることを目的にしたものといいます。
「SBCON」公開記者会見の模様。中央がJAL常務執行役員・経営企画本部長の西尾忠男さん(2018年6月22日、宮崎佳代子撮影)。
現在、JALで自転車を受託手荷物として預ける場合、客は自転車を分解して、自分で用意したソフトカバーやハードカバーなどに収納する必要があります。
一方「SBCON」は、前輪を外すだけで収納できるため、分解と組み立てにかかる時間が従来より減らせるとのこと。公開記者会見に臨んだS-WORKSの坂本 潤さんは「1~2分あればできますので、初心者でも女性でも簡単にできると思われます」と説明しました。
この専用ボックスは、S-WORKSが開発した地上輸送用ボックスが元になっているといいます。地上輸送用ボックスは、トラックに特化したもので積みやすいよう長方形でした。それに対し「SBCON」は、航空機の貨物室の形に合わせて設計されており、ボトムの一部が斜めになっています。これは、実際に貨物室内に搬送する際のスタッフの作業性や固定のしやすさ、搭載時や飛行中などの衝撃に対して自転車にダメージを与えないことなど、飛行機の特性を考えて開発されたと、JALの関係者は話します。
「SBCON」のおよそのサイズは、縦52cm×横170cm×高さ94cm。日本で使われているロードバイクやマウンテンバイクの7~8割が収納可能とのことです。最初は国内ツアー商品の旅客の受託手荷物としてサービスを開始する予定で、その実証実験として、2泊3日のしまなみ海道のモニターツアーが企画されています。将来的には、個人旅客へ対象を広げていきたいといいます。

自転車用の受託手荷物専用ボックス「SBCON」(2018年6月22日、宮崎佳代子撮影)。
JAL常務執行役員・経営企画本部長の西尾忠男さんは、「SBCON」の運用について次のように述べました。
「日本の地方にはサイクリングを楽しむのに良い所がたくさんあり、様々な大会もあるなかで、飛行機で自転車輸送ができないものかと考えてきました。『SBCON』の開発は、サイクルツーリズムが観光素材となり、訪日旅客や民泊、地方の交流人口拡大につながるものではないかと考えています」
しかし、地方空港は市内や観光地から離れている場合が多く、空港から自転車で移動するのは時間も体力も要するため、地上輸送の問題が課題とされます。
また、貨物室に安全に搭載できる実際の数量などについては、これから検証が進められていくとのこと。「SBCON」を利用したモニターツアーは、7月2日(月)から発売が開始されます。