東京メトロと東京大学生産技術研究所が「鉄道ワークショップ2018」を開催。事前募集で選ばれた中学生25人が参加し、電車が走るしくみを学びました。
東京メトロと東京大学生産技術研究所は2018年7月26日(木)、東京メトロ綾瀬車両基地(東京都足立区)と東京大学柏キャンパス(千葉県柏市)で「鉄道ワークショップ2018」を開催しました。
東大生研附属千葉実験所で、研究用の銀座線01系電車を見学する参加者(2018年7月26日、伊藤真悟撮影)。
「鉄道ワークショップ」は今回で6回目。毎年テーマを変えて、東京メトロと東京大学生産技術研究所が、次世代を担う人材を育成することを目的に開催しているものです。6回目のテーマは「電車が『走る』しくみを科学しよう」で、参加したのは事前募集により選ばれた中学生25人です。
これまで、東京大学では「鉄道ワークショップ」を駒場キャンパス(東京都目黒区)で開催していましたが、今回は初めて柏キャンパスで開催しました。
午前は綾瀬車両基地で工場を見学。午後は柏キャンパス内にある東大生研附属千葉実験所の研究実験棟でグループワークを行い、銀座線01系電車などを見学しました。
東京メトロと東大は、車両の安全性向上に関する共同研究を行っており、01系電車は研究用として譲渡されたものです。この車両は銀座線で2017年3月まで走っていた01系最後の第30編成の先頭車(01-630)で、銀座線からの引退後は、2017年3月24日に搬入されています。
研究実験棟の会議室で行われたグループワークでは、車輪の形が異なるミニチュアモデルが用意され、4グループに分かれた中学生たちは、グループ内でどれが脱線しにくい車輪かを予想。曲線を描くレールの上で車輪を転がして、実際の走り具合を確認しました。
実験終了後、東京大学の講師である川越至桜さんによる講義が行われました。川越さんは、鉄道車輪が走るしくみは車輪の形がカギで、車輪の運動により車両が走行していることを説明。機械工学や電気工学など、さまざまな学術分野により車両工学が支えられていることや、鉄道車両の設計や製造、メンテナンスなど鉄道車両をとりまく現場を紹介しました。

「鉄道ワークショップ2018」の様子(2018年7月26日、伊藤真悟撮影)。

角度の異なる円錐車輪と円柱車輪を用いた実験機材(2018年7月26日、伊藤真悟撮影)。

自己操舵台車の模型(2018年7月26日、伊藤真悟撮影)。
東京大学教授の須田義大さんは、自己操舵台車開発の歴史や採用事例を説明。研究実験棟に搬入された銀座線01系電車や、研究実験棟にある試験線の両フランジ対応分岐器(ポイント)についても紹介しました。
自己操舵台車は、車輪と軸の方向を変えることにより曲線区間をスムーズに通過できるようにした台車で、銀座線1000系電車や日比谷線13000系電車で採用されています。また、通常の車輪は脱線防止のためにフランジ(出っ張り)が線路の内側にあたるようになっていますが、東大ではフランジが線路の外側にあたる車輪を研究。両フランジ対応分岐器は、どちらの車輪でも通過できるように開発したものです。
講義のあとは、実際に銀座線01系電車と両フランジ対応分岐器を見学。参加した中学生は説明を受けながら、写真撮影などを楽しみました。
なお、「鉄道ワークショップ2018」は7月31日(火)にも開催されますが、こちらは高校生を対象としています。