福岡県と大分県、JR九州などが「日田彦山線復旧会議」を半年振りに開催。両県と沿線市町村、JR九州のトップが委員として出席し、鉄道での復旧を前提として検討していくことを確認しました。
2018年10月25日(木)、大分県別府市内で第2回日田彦山線復旧会議が開催。一部区間が不通の日田彦山線について、鉄道での復旧を前提に検討していくことが決まりました。
橋脚の傾きが確認されている日田彦山線の「第二彦山川橋りょう」。2017年7月撮影(画像:JR九州)。
日田彦山線は、北九州市の日豊本線・城野駅と日田市の久大本線・夜明駅を南北に結ぶ、全長68.7kmのローカル線です。2017年7月の九州北部豪雨で大きな被害が発生し、現在も南側およそ半分の添田~夜明間29.2kmが不通になっています。
会議は、この添田~夜明間を復旧するための方策を検討し、実施するために開催。委員として福岡県の小川知事、大分県の広瀬知事、東峰村(福岡県)の澁谷村長、添田町(同)の寺西町長、日田市(大分県)の原田市長、JR九州の青柳代表取締役社長が、アドバイザーとして国土交通省九州運輸局の下野局長が、出席しました。
会議は2018年4月以来、半年振りの開催ですが、そのあいだ実務者レベルによる「日田彦山線復旧会議検討会」が5月と7月に開かれました。
検討会からは、「不通区間の復旧費について当初70億円を見込んでいたが、福岡県・大分県の災害復旧工事と調整した結果、約56億円まで減らせた」ことを報告。また、1990(平成2)年と2016年を比べると沿線の人口は約2割減少しているが、JR発足の1987(昭和62)年と2016年を比べると不通区間の平均通過人員(輸送密度)はそれを上回るペースである約8割減少というデータを提示しました。また、不通区間の1年あたりの収支は約2億6600万円の赤字(被災前の2016年度)だったことも報告しました。
アドバイザーの九州運輸局は、2018年8月1日に施行された鉄道軌道整備法による新たな補助制度などを説明。これは黒字の鉄道会社でも、「復旧費用が被災路線の年間収入以上」「被災路線が過去3年間赤字」「激甚災害など特に大規模な災害」「長期的な運行の確保に関する計画の作成」の4要件を満たせば、国や地方自治体から4分の1ずつの補助を受けられるというものです。なお、JR九州の鉄道事業は2018年3月期の決算で黒字を確保しています。
JR九州はこの改正鉄道軌道整備法の補助を活用する方策を提案。今後、日田彦山線の復旧は、この補助枠組みの活用を前提として検討していくことになったといいます。
なお、補助を受けるには「長期的な運行の確保に関する計画の作成」が必要です。これに関して自治体とJR九州で、復旧後の継続的な運行確保について意見の違いがあったことから、自治体の支援内容は引き続き協議が続けられます。
検討の期間は「2019年4月まで」が目標とのこと。JR九州の青柳社長は「委員全員で真摯に議論を重ね、真に地元にとって最善の解決策を目指して協議を進めていきたいと考えております」とコメントしています。