JR九州のBEC819系蓄電池電車「DENCHA」が、香椎線でも運行を開始。これにあたってJR九州は、香椎駅を“電車の急速充電装置”に改造しました。

これまで同線を走ってきたディーゼルカーと比較し、どんなメリットがあるのでしょうか。

香椎駅を「急速充電施設」に

 福岡市とその近郊、西戸崎(さいとざき)~香椎(かしい)~宇美(うみ)間を走る、全長25.4kmのJR九州 香椎線。その全列車が2019年3月16日(土)、BEC819系蓄電池電車「DENCHA(デンチャ)」による運転になりました。

駅を「電車急速充電器」化 BEC819系蓄電池電車「DENC...の画像はこちら >>

沿線の子どもたちを招き、香椎駅で行われた香椎線「DENCHA」出発式(2019年3月16日、恵 知仁撮影)。

 香椎線は電化されていないため(走行中の列車へ電気を供給する架線などの設備がない)、これまではディーゼルエンジンを使う「ディーゼルカー」(キハ40系)による運転でした。しかし「DENCHA」は、搭載するバッテリーから電気を得てモーターで走行するため、電化の必要がありません。

 この「DENCHA」導入によるメリットは、二酸化炭素などの排出や騒音が低減される、ブレーキ時に得られる回生エネルギーをバッテリーに充電することで、効率的にエネルギーを使える、などが挙げられます。また、構造は基本的に「電車」であるため、整備などをほかに多くある一般的な電車と共通的に行えるメリットもあります。

「今日から香椎線は『電化された』といっていいと思います。これまでより所要時間も短くなりました」(JR九州 鉄道事業本部副本部長 福永嘉之さん)

1往復後、急速充電10分で「フル」に

 JR九州のBEC819系蓄電池電車「DENCHA」は、2016年10月に福岡県内の筑豊本線(福北ゆたか線、若松線)で運行を開始。それに続いて、線路が平坦であり、走行距離的に向いていることなどから今回、香椎線に登場しました。

 ただ「架線が必要ない」とはいえ、どこかでバッテリーに充電する必要があるため、これに合わせてJR九州は、香椎駅構内に充電に使う架線を設置。

そこから「DENCHA」はパンタグラフを使って電気を取り込み、バッテリーを充電し、架線のない区間へ走っていきます。

駅を「電車急速充電器」化 BEC819系蓄電池電車「DENCHA」 JR九州・香椎線で出発進行!

香椎駅の香椎線ホームに整備された、真新しい架線関連設備。交流2万ボルト、60Hzの電気が流れている(2019年3月16日、恵 知仁撮影)。

 ちなみに「DENCHA」は、香椎駅から西戸崎駅、もしくは反対側の宇美駅へ1往復走ったのち、およそ10分の急速充電を香椎駅ですると「フル充電」に回復するとのこと(走行距離はどちらも約25km)。なお「DENCHA」はフル充電で90km、走行できるそうです。

【写真】結構目立つ? 「DENCHA」のバッテリー、ここにある!

駅を「電車急速充電器」化 BEC819系蓄電池電車「DENCHA」 JR九州・香椎線で出発進行!

BEC819系蓄電池電車「DENCHA」。車体下の青い部分にバッテリーが収められている(2019年3月16日、恵 知仁撮影)。

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