長崎新幹線(九州新幹線西九州ルート)に関する与党検討委員会が開催され、佐賀県の山口祥義知事に意見聴取が行われました。山口知事は未着工の新鳥栖~武雄温泉間について、改めてフル規格整備に反対しました。

与党検討委が佐賀県知事に意見聴取

 長崎新幹線(九州新幹線西九州ルート)に関する与党検討委員会が2019年4月26日(金)に開催。意見聴取のなかで佐賀県の山口祥義知事は、同県内を通る未着工の新鳥栖~武雄温泉間について、「新幹線整備を求めたことはなく、現在も求めていない」と主張したことを明らかにしました。

佐賀県「在来線利用だったはず」 長崎新幹線の未着工区間、フル...の画像はこちら >>

フル規格で整備された九州新幹線鹿児島ルート(2011年5月、恵 知仁撮影)。

 長崎新幹線は、九州新幹線(鹿児島ルート)の新鳥栖駅(佐賀県鳥栖市)と長崎駅を結ぶ整備新幹線です。このうち武雄温泉駅(佐賀県武雄市)から長崎駅までの区間は、通常の新幹線と同じフル規格で建設が進められていますが、佐賀県内の新鳥栖~武雄温泉間は未着工で、整備方式も検討中。このため、武雄温泉~長崎間の先行開業時(2022年度予定)は、武雄温泉駅に、在来線特急と新幹線列車が同じホームで乗り換えできる「対面乗り換え方式」を暫定的に導入することになっています。

 新鳥栖~武雄温泉間の整備をめぐっては、新幹線と在来線を直通できるフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)が検討されていましたが、開発が難航していることから2018年7月に断念。一般の新幹線と同様の全線フル規格か、山形新幹線・秋田新幹線のように既存の在来線を活用するミニ新幹線のいずれかの方式が選択される見込みです。

「短期的に整備方針が決まることはあり得ない」

 4月9日(火)の検討委では、長崎県の中村法道知事への意見聴取が行われました。中村知事は未着工区間の整備方式について、フル規格を要望。また、佐賀県分の負担を長崎県が肩代わりできないか、という話に対しては「これ以上の財源負担には応じられない」と拒否する姿勢を示しました。

 26日(金)、検討委終了後の会見で佐賀県の山口知事は、「新鳥栖~武雄温泉間は、すべて佐賀県を通っている。

これまで、関係者間で合意されているのは武雄温泉~長崎間の新線整備と、新鳥栖~武雄温泉間は在来線を利用することだったはず」と主張。さらに「地元の意向を無視して、前に進むことはあり得ないということを要望した」と説明しました。

「佐賀県の負担軽減策に関する議論というよりも、本日は入口の議論がほとんどだった」「地元が反対している以上、短期的に整備に関する方針が決まることはあり得ない」とし、長崎県知事の「フル規格」要望と対立する形となっています。

 なお、JR九州の青柳俊彦社長は3月の検討委で、「最も時間短縮効果が得られ、最大限の整備効果を発揮されるうえ、鹿児島ルートでの運営実績もある」などの理由から「全線フル規格による整備」を要望しています。

【路線図】新鳥栖~武雄温泉間、どうなる?

佐賀県「在来線利用だったはず」 長崎新幹線の未着工区間、フル規格に改めて反対表明

長崎新幹線(九州新幹線西九州ルート)の整備ルート(画像:国土交通省)。

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