駒込~田端間に残る、JR山手線唯一の踏切「第二中里踏切」。遮断時間が長い「開かずの踏切」で、何らかの改良を行うことも検討されています。
2019年7月16日(火)、JR山手線の中里第二踏切(東京都北区)で自動車が立ち往生するトラブルが発生。この影響で同線は内回り、外回りともに全線で一時運転を見合わせました。
山手線の第二中里踏切(2019年4月、恵 知仁撮影)。
山手線の線路は高架橋や築堤、掘割に敷かれていて、道路とはほぼ立体交差化されていますが、実は1か所だけ踏切があります。それが駒込~田端間の第二中里踏切です。湘南新宿ラインや貨物列車が走る線路(山手貨物線)と、環状運転を行っている電車が走る線路(山手線)の合流する場所にありますが、道路は山手貨物線を陸橋でまたぎ、山手線のみ踏切で平面交差しています。
現在の山手線は、品川~新宿~池袋間が1885(明治18)年に開業。1903(明治36)年には池袋~田端間も開業しました。この時代は列車の運行本数や自動車の交通量が少なく、鉄道と道路が平面上で交差、つまり踏切でも特に大きな問題にはなりませんでした。山手線も、かつては数か所に踏切がありました。
しかし、列車の運行本数が増えたことで、踏切の遮断時間が長くなったことから、立体交差化などにより踏切を解消する動きが活発になりました。
ここは、山手線の電車が数分間隔で運行されていることから、1時間の遮断時間が40分を超えることもある「開かずの踏切」と化しています。
踏切解消されれば「自動運転」大きく前進か国土交通省は2017年、第二中里踏切を「改良すべき踏切道」に指定。これを受けて東京都北区とJR東日本の2者は、第二中里踏切の改良策を検討する会を設置しました(2018年9月12日付け建設通信新聞)。仮に第二中里踏切が立体交差化で解消されれば遮断時間がゼロになって道路渋滞が改善されるほか、踏切でのトラブルもなくなって、列車の運休や遅延も減ると見られます。
それだけではありません。第二中里踏切が解消されれば、山手線の「自動運転化」も実現に向け、大きく動き出すことになるでしょう。
JR東日本は2018年7月に公表したグループ経営ビジョン「変革2027」で「ドライバレス運転の実現」、つまり運転士が列車の運転操作を行わない自動運転の実現を掲げており、同年12月から2019年1月にかけ、山手線で自動列車運転装置(ATO)を使った自動運転の走行試験を行っています。
鉄道の自動運転は古くからある技術ですが、踏切があると人や自動車の立ち入りなど不意のアクシデントに対応しにくく、全線が高架橋や地下トンネルで道路との交差が完全に立体化されている鉄道でしか実現していません。第二中里踏切がなくなれば山手線は完全な立体交差化が図られることになり、自動運転しやすい環境が整います。
第二中里踏切をどのように改良するかは、まだ決まっていません。
第二中里踏切の位置。かつて駒込寄りに第一中里踏切があった(国土地理院の地図を加工)。

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