クルマの部品を狙った盗難のなかでも、ナンバープレートの被害件数の割合が年々高まっています。犯罪者にとっては「1分あれば前後とも盗める」という無防備なナンバープレート、なぜ盗まれ、どう対策すべきなのでしょうか。
クルマの盗難件数は年々減少し、2018年には約58年ぶりに年1万件を割り込みましたが、そのなかで相対的に盗難被害の割合が年々高まっているのが、ナンバープレートです。
ナンバープレートを留めるネジは無防備で、錆びも発生する。写真はイメージ(2019年7月、乗りものニュース編集部撮影)。
警察庁によると、2017年における自動車の部品狙いの盗難認知件数2万7353件のうち、ナンバープレートの被害件数は1万2289件、割合にして約45%を占めるそうです。たとえば埼玉県では、ナンバープレートの被害が多発しているとして県がウェブサイトで注意を呼び掛けています。その実態について、埼玉県警捜査3課に聞きました。
――ナンバープレートはなぜ盗まれるのでしょうか?
盗まれたナンバープレートが、ほかの犯罪に悪用されるケースがあります。たとえば、過去に県内で検挙したコーヒーチェーン店を狙った金庫破りの犯罪グループは、盗んだナンバープレートを取り付けたクルマで、毎回の犯行に及んでいました。盗難されたナンバープレートは登録されますので、犯人らは金庫破りを実行する都度プレートを盗み、金庫を盗み出し金を抜き取ると、その金庫とともにナンバープレートを捨てていました。
このほか、自動車盗難の犯罪グループが、車両を盗んでヤード(犯罪集団が海外への輸出などを目的として、自動車の解体やコンテナ詰め作業などを行う作業場)へ移送するために、盗んだナンバープレートから作成した偽造ナンバープレートを使用することもあります。広域に動く犯罪グループの場合は、怪しまれないように複数地域の偽造ナンバープレートを持ち、使い分けています。
ドライバー1本ですぐ外せてしまう――どのような場所でナンバープレートが盗まれるのでしょうか?
場所については、これといった傾向はありません。
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部品狙いも含めた自動車の盗難件数において、埼玉県は2017年、2018年とも全国でワースト5位です。埼玉県警によると、件数の多さはその都道府県の自動車保有台数に比例する傾向があるといいますが、埼玉県よりも保有台数が多い東京都内では、盗難件数が大きく減るそうです。
「都内は人も多く、駐車環境のセキュリティも進んでいますので、盗みにくい環境といえるでしょう。一方、埼玉のような大都市の郊外が、狙われやすい地域といえるかもしれません」(埼玉県警 捜査3課)。
これとは別に、犯罪集団の作業場となる「ヤード」が多い地域も、盗難件数が多いという説があるとも話します。

盗難車が解体され、部品が海外に輸出されるケースも。写真はイメージ(画像:写真AC)。
ナンバープレートの盗難対策としては、カー用品店などで販売されている「盗難防止ネジ」に替えることが最も手軽で効果があると埼玉県警は話します。犯罪者は取り外しが難しくなると、あきらめる傾向があるそうです。