まもなく退役予定であるJACのサーブ340B型機。JALグループ最小の機体で、機内もユニークです。
鹿児島空港を拠点とするJAL(日本航空)グループのコミューター航空会社、JAC(日本エアコミューター)。同社の保有するターボプロップ機「SAAB(サーブ)340B型機」がまもなく退役するのにともない、2019年11月30日(土)から12月1日(日)にかけ、鹿児島空港を中心に「JAC SAAB340B 退役チャーターツアー」が行われています。
サーブ340B型機は1992(平成4)年、当時はJAS(日本エアシステム。現在はJALに統合)グループだったJACで、国産ターボプロップ機YS-11型機の後継機種として導入されました。サーブは、軍用機メーカーとしても知られているスウェーデンの会社。サーブ340B型機の強みは短い滑走路でも離着陸できるところで、離陸時の必要滑走路長は1235m、着陸が1045mとのことです。
JACのサーブ340B型機(2019年11月30日、乗りものニュース編集部撮影)。
現在のJALグループが保有する機体では、大きさ(全長19,73m)、席数(36席)ともに、サーブ340B型機が最も小さい機体。なおJALグループでは、北海道拠点のHAC(北海道エアシステム)も同型機を保有しています。
機内の様子も、JALグループで最も小さいだけあってユニークです。
退役ツアーには、約120人の応募者からの抽選で30名が参加。東京や大阪のほか、名古屋や熊本、サーブ340B型機の就航路線だった鹿児島県の離島、喜界島から参加した人もいたそうです。
11月30日(土)、イベント初日の格納庫見学は、後ろにサーブ340B型機の後継機種となるターボプロップ機「ATR-42型機」が控えるなかで行われました。サーブ340B型機は、普段は見られない機首部分「レドーム」やエンジン内部、貨物室などがオープンな状態。機内ではコックピットにも入れたほか、CA席の着座体験、アナウンス体験もできました。

JACサーブ340B型機。機首のレドームが開いている。後ろはATR-42型機(2019年11月30日、乗りものニュース編集部撮影)。
サーブ340B型機のフライトシミュレーター体験も実施。
夕食時には、飛行機ファンとして知られる東海ラジオの酒井弘明アナウンサー司会のもと、サーブ340B型機のパイロット、整備士、CA(客室乗務員)によるトークショーを開催。パイロットや整備士によると、軍用機メーカーの飛行機らしく非常に頑丈な飛行機とのこと。導入からこれまで20年以上の期間で、電線の交換はほぼないそうです。
サーブ340B型機はツアー2日目の12月1日(日)、鹿児島空港と徳之島空港のあいだをチャーターフライトで、県内の離島を遊覧しながら往復する予定です。
このサーブ340B型機は、後継機であるATR-42型機の9号機がJACへ導入され次第、退役するとのこと。現在のところ、12月中になる見込みだそうです。