グリーン車と普通車、指定席と自由席。東海道・山陽新幹線では、それぞれにどんな特徴があり、乗客はどう使い分けているのでしょうか。
いまや北海道から鹿児島まで、日本列島を縦断している新幹線。なかでも、東京~新大阪~博多間を結ぶ東海道・山陽新幹線は、日本の経済を支える屋台骨と言っても過言ではありません。
ところで、東海道・山陽新幹線はグリーン車と普通車が、また普通車は指定席と自由席があり、うまく使い分ければ新幹線の移動がぐんと楽になります。そこで、ここでは筆者の経験も交えながら、それぞれの特徴を見ていきます。
東海道・山陽新幹線を走る16両編成のN700系(2011年10月、恵 知仁撮影)。
かつて東海道・山陽新幹線を走った初代の0系では、リクライニングしない転換クロスシートだった普通席は時代とともに進化。N700系の改良型「N700A」はリクライニングするのはもちろん、座り心地も良くなっています。そのカギは、ばね。300系や700系では、軽量化のために金属ばねをなくしていましたが、N700系では乗り心地改善のために復活させました。金属ばねと樹脂ばねを組み合わせることで、重量の増加も抑えています。
一方、快適性という点では当然ながらグリーン車がダントツです。
ただし、グリーン車に乗るにはグリーン料金が必要です。東京~名古屋間は4190円、東京~新大阪間は5400円で、気軽に使うには少しハードルが高いという人も多いでしょう。とはいえ、料金に見合った快適さを得られるのがグリーン車の魅力。ちょっとリッチな旅を楽しみたい、とても疲れているのでリラックスして移動したい、というときには、積極的に使っても良いかもしれません。

九州新幹線に直通する「みずほ」(画像:写真AC)。
新幹線に乗るとき、指定席にするか自由席にするかも悩みどころです。指定席のメリットはいうまでもなく、確実に座れること。
さらに、山陽新幹線の「ひかり」「こだま」や、九州新幹線に直通する「みずほ」「さくら」は、ほとんどの列車で指定席が2+2の4列配置となっており、シート自体も座り心地が良いものとなっています。これらの列車に乗るときは、指定席料金を払ってでも乗る価値は十分にあるでしょう。
一方、16両編成の東海道・山陽新幹線では「のぞみ」の自由席車両は3両なのに対し、「ひかり」は5両、「こだま」は10両(一部列車は7両)と、自由席車両の比率が高くなります。また、「ひかり」や「こだま」は停車駅が多く、「のぞみ」が止まらない途中駅での乗り降りも多いため、自由席でも座れる確率が高くなります。
自由席のためにあえて始発駅を選ぶそして、自由席の最大のメリットは「どの列車にも乗れる」という点。当たり前ですが、指定席の場合は乗る列車が決まっており、もし乗り遅れた場合は座席指定が無効となってしまいます(この場合、同じ日の自由席であれば乗車可能)。また、たとえば駅できっぷを購入した場合は1回しか列車の変更ができないなど、発車時刻前であっても変更回数に制限があります。これに対し、自由席の場合は列車が決まっていないので、どの列車に乗ってもOK。予定が変わりやすい人は、自由席を好んで使う人も多いようです。

横1列に複数の席が並ぶ新幹線車両の車内(2018年3月、草町義和撮影)。
大阪に住んでいる筆者は、打ち合わせや取材などで月に何度か東京へ行きます。ほとんどの場合は「エクスプレス予約」で指定席を取るのですが、混雑する早朝や夜間などは3列席の中央しか空いていないことも多く、そんな時はあえて自由席を選びます。筆者がよく利用する新大阪駅と東京駅は、いずれも始発列車が数多く設定されていますので、これを狙って早めに駅へ向かえば、座れる確率はぐんとアップ。年末年始やお盆などの混雑する時期も、2本くらい後の始発列車ならたいてい座れます。ふだんは品川駅から新幹線を利用する人も、在来線で東京駅へ向かい自由席を狙えば、座れる確率は高くなるでしょう。
それぞれに特徴がある、新幹線の座席とその確保の方法。うまく使い分けて、移動を快適にしたいものです。