大型ホームセンターを展開するジョイフル本田が、店舗に併設するガソリンスタンドの事業を出光興産へ譲渡します。地域平均よりも大幅に安く設定されているジョイフル本田のガソリンスタンド、今後どうなるのでしょうか。

ジョイフル本田のガソリン価格「地域最低」も

 関東で大型ホームセンターを展開するジョイフル本田(茨城県土浦市)が2020年2月3日(月)、ガソリンおよび灯油販売事業を出光興産へ譲渡すると発表しました。今後、店舗に併設しているガソリンスタンドを順次、自社ブランドから出光ブランドへと変更していくそうです。

 ジョイフル本田は7店舗でセルフ式ガソリンスタンド「ジョイフルスピードステーション」を運営し、地域のなかでもかなり安いガソリン価格を打ち出すことで知られています。ガソリン価格比較サイト「gogo.gs」によると、2月3日(月)現在、ジョイフル本田がセルフスタンドを出店している5都道府県のレギュラー1Lあたり現金価格は、平均で145.3円ですが、ジョイフル本田7店舗の平均は137.9円です。ガソリンの価格は日々変動するものの、これら店舗はしばしば「gogo.gs」で地域最安値につけています。

大型量販店の激安ガソリン販売に変化 ジョイフル本田 出光にガ...の画像はこちら >>

ジョイフル本田のガソリンスタンド(2019年12月、中島洋平撮影)。

 このような価格を打ち出せるのは、ジョイフル本田の本業があくまでホームセンターであり、ガソリン販売はその集客のための1事業、という位置づけだからです。同社は「クルマで来店されるお客さまが多いことから、買い物ついでに燃料を入れることができれば顧客満足度の向上に繋がるという考えのもと、ガソリン・灯油事業を展開しております」と説明します。

 今回の事業譲渡については、「クルマの燃費向上により、ガソリンの需給量が減少し、石油元売りの統合なども進んでいます。そのような現状をにらんで判断しました」とし、加えて自社ブランドによる販売ではなく、新たに顧客へ安定的にガソリン類を提供する体制を構築する必要があると考えてのことだそうです。

今後は「出光のスタンド」に 価格はどうなる?

 出光興産によると今後、ジョイフル本田店舗内のスタンドは出光の販売子会社が運営するといい、「ガソリン価格は、周辺市況に合わせて適切に設定していきます」としています。ジョイフル本田のような独自ブランドのスタンドは一般的に、複数ルートからガソリンを仕入れますが、今後は出光系列で仕入れていくことになるそうです。

 さらに今回の事業譲受について、出光興産は次のように話します。

「大型ホームセンターとガソリン事業の相乗効果を見込めることもありますが、主目的としては、SS(サービスステーション)ネットワークの維持という点です。SSの数が全国的に減少するなか、これまで出光系列のSSがなかった場所に拠点を持つことが、ネットワークの強化につながります」(出光興産)

 またジョイフル本田は今回の事業譲渡を契機として、「お客様にご提供する新たな付加価値を模索・検討」するとしています。出光興産によると、具体的には検討中であるものの、たとえば出光が運営するクレジットカード事業やカーリース事業などとの連携が考えられるといいます。

 ちなみに、ジョイフル本田のように大型店でガソリンスタンドを併設し、安いガソリン価格を打ち出している例としては、会員制の総合量販店「コストコ」が挙げられます。こちらはガソリンスタンドの運営に変更の予定はないそうです。

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