第5回日田彦山線復旧会議が開催。九州北部豪雨で被災したJR九州の日田彦山線は、現在も添田~夜明間が不通ですが、JR九州が新たな復旧案として「BRT(バス高速輸送システム)」を提示しました。

日田彦山線の添田~夜明間が現在も不通

 2020年2月12日(水)、大分県日田市で第5回日田彦山線復旧会議が開催されました。2017年7月の九州北部豪雨で被災し現在も不通の状態が続くJR日田彦山線の添田~夜明間をめぐり、JR九州はBRT(バス高速輸送システム)による新たな復旧案を提示しました。

 日田彦山線は、日豊本線の城野駅(北九州市小倉南区)と久大本線の夜明駅(大分県日田市)を南北に結ぶ全長68.7kmのローカル線です。2017年7月の九州北部豪雨で被災し、現在も南側およそ半分の添田~夜明間29.2kmで不通が続いています。

一部不通の日田彦山線 JR九州が新たな「BRT復旧案」提示 ...の画像はこちら >>

被災直後の日田彦山線 釈迦岳トンネル出口付近。BRT専用道として活用が検討されている(画像:JR九州)。

 会議は、添田~夜明間の復旧の方策を検討し実施するために開催。委員として福岡県の小川 洋知事、大分県の広瀬勝貞知事、東峰村(福岡県)の澁谷博昭村長、添田町(同)の寺西明男町長、日田市の原田啓介市長、JR九州の青柳俊彦社長が、アドバイザーとして国土交通省九州運輸局の岩月理浩局長が出席しました。

 2019年4月以来およそ10か月ぶりに開催された今回の会議では、「復旧案に対する地元意見」と「JR九州が考える新たな復旧案」について議論されました。

「復旧案に対する地元意見」では、前回会議でJR九州が提示した鉄道、BRT、バスの3つの復旧案について、地元の意見や要望を聞くというもの。「地元の負担なしでの鉄道復旧が大前提」という声が多く、「JR九州の経営状況を考えると日田彦山線は復旧できるはずなのに、なぜ年間1億6000万円の収支改善を地元に求めるのか理解できない」という意見や、「JR九州の3案では不十分」といった意見があった一方、1日も早い復旧を望む声、停留所の増設やバリアフリーといった利便性の確保に期待する意見もあっということです。

鉄道の釈迦岳トンネルをBRT専用道に

「JR九州が考える新たな復旧案」は、同社によると「継続的に維持できる、地域の生活の軸となる交通手段をネットワークとして確保する」という考え方に、「利便性の向上」「地域振興」を加えたもので、添田~日田間でバス車両を運行します。

 ルートは、添田~彦山間と筑前岩屋~日田間は集落を通る一般道経由とし使いやすさを重視。彦山~筑前岩屋間は、鉄道の釈迦岳トンネルをBRT専用道として活用し、速達性と定時性を重視します。

 駅(停留所)は、既存の路線バスや通学バス、福祉バスの停留所付近など、集落の徒歩圏内の身近な場所で検討。バリアフリー車両の導入を検討するとともに、駅など可能な場所では乗り場をかさ上げし、乗り降りの際の段差を減らします。

 ダイヤは日田駅までの直通運行とし、添田駅、夜明駅、日田駅での鉄道の接続を強化するとともに、バス、タクシーなどほかの交通機関との結節を強化します。

 今後についてJR九州の青柳社長は、鉄道復旧のために年間1億6000万円の収支改善が必要である理由について、引き続き説明に努めていくとしています。

 今回の新たな復旧案をブラッシュアップして次回会議で議論するとともに、3月末までに会議を開催し、復旧の方向性の合意を目指す予定です。

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