2019年度末には全国で多くの道路が開通します。新東名高速の神奈川区間が延伸するほか、首都高や阪神高速では、周辺の道路事情を大きく変えるような路線も。

北海道では「日本最東端の高速道路」も誕生します。

東北の「復興道路」 未開通区間が開通

 2020年2月から3月にかけ、全国で多くの道路が開通します。その主なものについて、開通順に見ていきます。

三陸道 気仙沼中央IC~気仙沼港IC(宮城県気仙沼市)

・開通日時:2020年2月24日(月)15時30分
・延長:1.7km

 東日本大震災の復興事業である、仙台市から青森県八戸市までを結ぶ「三陸沿岸道路」のうちの1区間です。宮城県内はこの区間のほか、あと2区間が建設中ですが、それも2020年度内には開通する見込みです。

 今回の開通区間は気仙沼市街の津波浸水域よりも高い位置を通り、気仙沼港ICは大川河口の水産加工団地に直結しています。国土交通省 仙台河川国道事務所や宮城県、気仙沼市は、物流の効率化による地域の振興を支援するものとしています。

高速道路 2020年春の開通ラッシュ! 新東名 首都高 阪神...の画像はこちら >>

三陸道 気仙沼中央IC~気仙沼港IC間(画像:仙台河川国道事務所)。

八戸久慈道 久慈北IC~侍浜IC(岩手県久慈市)

・開通日時:2020年3月1日(日)15時
・延長:7.4km

 気仙沼中央IC~気仙沼港IC間と同じく、「三陸沿岸道路」の1区間です。岩手県内の未開通区間も2020年度末までにはすべて開通し、仙台市から八戸市まで1本につながる見込みです。

 今回の開通区間に並行する国道45号は、内陸部の急カーブや急勾配が多い区間で、事故や通行規制も多発しているとのこと。国土交通省 三陸国道事務所や岩手県、久慈市によると、今回の開通で道路の信頼性が向上し、地域産業の活性化や、救急医療活動の安定化などが見込まれるとのことです。

新東名、東海環状道… 3月は開通ラッシュ!

 3月は道路開通ラッシュが続きます。

新東名高速 伊勢原JCT~伊勢原大山IC(神奈川県伊勢原市)

・開通日時:2020年3月7日(土)15時
・延長:2km

 東名と接続する伊勢原JCTから、さらに1区間、御殿場方面へ延伸します。新設の伊勢原大山ICは、伊勢原市の観光地である大山阿夫利神社などに近く、NEXCO中日本によると、大山と東京都心のあいだの所要時間は、伊勢原大山ICの開通により22分短縮されるそうです。

 なお、以前は伊勢原大山ICから御殿場JCTまでが2019年度に開通予定とされていましたが、現在は、秦野IC~御殿場IC間(26km)が2023年度、御殿場IC~御殿場JCT間(7km)が2020年度に改められています。

高速道路 2020年春の開通ラッシュ! 新東名 首都高 阪神高速…「日本最東端の高速」も

新東名 伊勢原大山IC料金所(画像:NEXCO中日本)。

東海環状道 関広見IC~山県IC(岐阜県関市~山県市)

・開通日時:2020年3月20日(金)15時
・延長:9km

 愛知・岐阜・三重3県を環状に連絡する東海環状道の一部で、東海北陸道に接続する美濃関JCTより西に1区間の関広見ICから、さらに延伸する形です。今回開通する区間の途中には岐阜三輪スマートIC(岐阜市)も設けられます。

 岐阜県山県市は、山県ICの近くにバスターミナルを整備中です。これにより山県ICから東海北陸道経由で名古屋まで直通する高速バスを走らせれば、山県市は「名古屋まで1時間圏内」になるそうです。ただし運行バス事業者などは具体的に決まっていません。

 なお、山県ICから西へ、大野神戸ICまでの区間は、2024年度開通の見通しです。この区間が開通することで、東海環状道は豊田東JCTから名神高速へ接続する養老JCTまでが1本につながります。

整備の進捗を受け、国土交通省では2020年2月に、東海環状道の開通を前提とした中京圏全体の新たな高速道路料金案も取りまとめています。

「日本最東端の高速道路」の2時間後に首都高も開通

 3月下旬には開通が集中します。

根室道路 温根沼(おんねとう)IC~根室IC(北海道根室市)

・開通日時:2020年3月22日(日)14時
・延長:7.1km

 北海道の根室エリアで初めて開通する高速道路(高規格幹線道路)であり、「日本最東端の高速道路」でもあります。道東道から延伸する形で釧路市から根室市に至る高速道路の計画がありますが、そのなかでも今回の開通区間が最も東に位置しています。

 国土交通省北海道開発局 釧路開発建設部によると、今回の区間は、地吹雪などによる交通障害を緩和し、救急搬送の確実性を向上させるほか、「根室産生さんま」の安定的出荷や観光活性化の支援に寄与するとのこと。また、隣接する北方領土との交流の玄関口となる道路としています。

首都高K7横浜北西線 横浜港北JCT~横浜青葉JCT(横浜市港北区~青葉区)

高速道路 2020年春の開通ラッシュ! 新東名 首都高 阪神高速…「日本最東端の高速」も

首都高と第三京浜が接続する横浜港北JCT(2020年1月、中島洋平撮影)。

・開通日時:2020年3月22日(日)16時
・延長:7.1km

 2017年に開通した首都高K7横浜北線、および第三京浜が接続する横浜港北JCTから、東名高速に接続する横浜青葉JCTまでを結ぶ首都高の新線です。横浜市街地・横浜港方面と東名を直結する新ルートが形成され、現時点でこの役割を実質1本で担っている保土ヶ谷バイパスの渋滞緩和などが見込まれています。

 横浜港から東名までの所要時間は現在、保土ヶ谷バイパス経由で40分から60分ほどかかっているところ、北西線・北線経由で約20分まで短縮される見込みです。なお、北西線と東名を連続利用した場合に限り、普通車、ETC利用で1320円となっている首都高の上限料金が、最大1800円まで引き上げられます。

大阪の阪神高速開通が「奈良」を変える

 3月の開通ラッシュはまだまだ続きます。

深川留萌道 留萌大和田IC~留萌IC(北海道留萌市)

・開通日時:2020年3月28日(土)15時
・延長:4.1km

 道央道の深川JCT(北海道深川市)から北西に伸びる深川留萌道、その最後の延伸区間です。今回の開通により、約50kmの計画区間すべてが開通します。北海道で計画されている高規格幹線道路で全線開通を迎えるのは、この深川留萌道が初めてです。

 留萌市から深川市までの所要時間は、深川留萌道の整備前と全線開通後とを比べると約20分、旭川市までは約30分短縮されるそうです。留萌開発建設部は深川留萌道の開通効果として、海産物輸送の速達性や定時性の向上、沿線地域から旭川市内に位置する高次医療施設までの搬送時間短縮などを挙げます。

阪神高速6号大和川線 鉄砲~三宅西(大阪府堺市~松原市)

高速道路 2020年春の開通ラッシュ! 新東名 首都高 阪神高速…「日本最東端の高速」も

阪神高速大和川線は大部分がトンネル。写真は2019年1月時点(画像:阪神高速道路)。

・開通日時:2020年3月29日(日)16時
・延長:7.7km

 大和川線は堺市と松原市を東西に結ぶ路線で、今回の開通により三宝JCT~三宅JCT間9.7kmの全線が完成します。大部分がトンネルになっている今回の開通区間には、新たに常磐出入口、天美出入口などが新設されます。

 大和川線は、阪神高速湾岸線や14号松原線、近畿道などとともに、大阪市の近郊を取り囲む環状道路「大阪都市再生道路」の一部を構成します。阪神高速のネットワークは1号環状線から各方面へ放射状に延びており、そうした路線どうしを行き来する場合、これまでは大阪都心部の環状線を経由する必要がありましたが、大和川線の開通で、都心部の迂回ルートが形成されます。

 これにより大きく変わる地域のひとつが、奈良県の西名阪道沿線です。

西名阪道から神戸方面へ向かう場合、これまでは大阪都心部経由、もしくは近畿道を北上して名神などを経由する必要がありましたが、大和川線経由で都心部を通ることなく大阪湾沿いに向かうことが可能になります。阪神高速道路によると、奈良県内の製造業が集中する西名阪道の沿線地域と阪神港のアクセスが向上し、物流の効率化も期待されるそうです。

※ ※ ※

 ちなみに、2月から3月にかけては全国の高速道路でICの新設や、4車線化などの改良工事、また一般道バイパスの開通も相次ぎます。

※一部修正しました(3月3日9時00分)。

編集部おすすめ