これまでロシアの航空会社のみが運航の成田~ウラジオストク線に、JALとANAがほぼ同時期に参入します。これについてJALの現地支店長が取材に応じました。

現地住民の反応も良好だそうで、それには理由がありました。

温められてきたJALのウラジオストク参入 どんな工夫を?

 成田とウラジオストク(ロシア)を結ぶ旅客便は、これまでロシアの航空会社 S7航空などが運航するものがありましたが、2020年2月28日(金)から、日系航空会社としては初めてJAL(日本航空)が運航を開始しました。ついで3月16日(月)からはANA(全日空)も参入します。

 これに対しロシアのS7航空は3月29日(日)から、ウラジオストク線を成田発着だけでなく羽田発着便も増設しアクセスを強化する予定です。これで2020年春、とりわけ航空業界の「夏ダイヤ」が始まる3月29日(日)を機に、ウラジオストクと東京2空港を結ぶ路線に就航する航空便が一気に増えます。

2020年大増便の東京~ロシア・ウラジオストク線 JALの工...の画像はこちら >>

成田~ウラジオストク線の初便となったボーイング737-800型機(2020年2月28日、乗りものニュース編集部撮影)。

 これまでと大きくアクセスが変わるウラジオストク線について、JALの竹山祐次ウラジオストク支店長が3月1日(日)、報道陣の取材に応じました。

 竹山支店長によるとJALのウラジオストク線就航は、数年前から温めてきたものといいます。S7航空のこの路線が非常に好調で、航空券も高止まりの状態が続き、また日本からの渡航者数は2019年時点で年間3万4000人に上るという現状を受け、「JALも開設にむけじっくり考えてきたといえるでしょう」とそのプロセスを話します。

 またJAL便のセールスポイントのひとつという運航ダイヤについて、竹山支店長は「ウラジオストク線は、現地に14時ぐらいにつくようダイヤを設定しています。そのため空港から市街に到着してもまだ夕方で、そこから夕飯を楽しむこともでき、現地の時間を有効に使うことができます」とし、また「『マリインスキー劇場』の夜公演を見ることもできます」と、ウラジオストクの名所のひとつであるオペラとバレエ専用の劇場の名を挙げました。

JALの「強み」を他社と比較 現地では好反応の理由

 JALの成田~ウラジオストク便が拡充される3月29日(日)以降の運航ダイヤを他社のものと比べると、まず前出のS7航空の成田発便は、現地到着時刻が定刻19時15分(現地時間)、運航日も月、火、木、土、日曜と設定されています。

なお、同社の羽田~ウラジオストク便の羽田発便は、毎日運航で現地には16時45分(現地時間)到着です。ちなみに同社は関西国際空港とウラジオストクを結ぶ便も運航しています。

 次にアエロフロート・ロシア航空の成田~ウラジオストク便ですが、成田国際空港によると、こちらは毎日運航で、成田発便の現地到着時刻は16時45分(月曜)と17時25分(火曜から日曜。いずれも現地時刻)です。

 さらにANAの成田発便は、比較的早い時間の運航ダイヤではあるものの、月、水、金曜の週3往復です。

 これらに対し、JALは毎日運航で14時15分到着(現地時間)という設定です。「ビジネスクラスを搭載したボーイング737-800型機を使い、毎日運航をすることで、お客様にとっても便利になるように心掛けました」と竹山支店長も話します。

2020年大増便の東京~ロシア・ウラジオストク線 JALの工夫 日本との縁で現地も歓迎

JAL 竹山祐次ウラジオストク支店長(2020年3月1日、乗りものニュース編集部撮影)。

 またウラジオストクは、写真映えするような都市の景観と、海に面していることから魚介類を使ったグルメが豊富なことなどから、各航空会社とも観光需要に重きを置いています。しかし新型コロナウイルスの影響で一部の国では日本人渡航禁止が発表されるなか、日本へのアクセスが大きく変わるウラジオストク現地の反応も、これまでより一層気になるところです。

 日本人にとっては未知の部分が多いロシアですが、竹山支店長は「ウラジオストクでは、行政が中心となって『日本人のお客様を温かく受け入れよう』と取り組んでいます」と話し、日本に良い印象を持つ人が多い地域とのことです。

 これはソ連が崩壊したのち経済が混乱していた1990年代、ウラジオストクなどの極東地域の経済を支えていたのが、日本製中古車の輸入販売であったことが起因しているそうです。

実際に訪れたウラジオストク現地では、トヨタやホンダ製の日本車が多く、道路は右側通行ながら、日本式の右ハンドル車が多く見られたのが印象的でした。

編集部おすすめ