ミキサー車の後部のドラムは、積載物である生コンクリートを運んでいるあいだ、絶えず回り続けています。生コンの特性によるものですが、じつは回転スピードなども状況に応じて異なります。
生コン(生コンクリート)を運ぶミキサー車、それを積載する後部の大きなドラムは、エンジンから動力を得ており、生コンを運んでいるあいだ、絶えず回り続けています。もちろん、それには理由があります。
コンクリートはセメントや砂、砂利、水などを混ぜて作りますが、ドラムを回し続けていないと、それらが分離してしまうのです。また、時間が経つと生コンが固まり品質が損なわれるため、工場で製造されてから現場まで、90分から120分以内(外気温により異なる)に輸送するという決まりもあります。「生コンクリート」というだけあって、まさに「生もの」というわけです。
ミキサー車(画像:Philippe Halle/123RF)。
ミキサー車などの特殊車両を製造・販売する極東開発工業(兵庫県西宮市)によると、多くの場合、ドラムの回転スピードは1分間に1.5回転ほどだそうですが、これを13回転という高速で回すこともあるそうです。
というのも、多くのミキサー車は、生コンを攪拌(かくはん)しながら運ぶだけでなく、ドラムに材料を入れ、そのなかで生コンを作ることも可能で、その際に早いスピードでドラムを回すのだといいます。
ミキサー車のドラムは現場に到着したら「逆回転」生コンを運ぶミキサー車が現場に到着した際は、ドラムを逆回転で回し、後部のシュートと呼ばれる樋(とい)から生コンを排出していきます。それが終わったら、ドラム内に残った生コンが固まらないよう、ただちに車両の水タンクの水を使ってドラム内を洗浄するのが基本だそうです。
前出のとおり、ミキサー車にはドラム内で生コンを製造する機能はあるものの、現在は工場で作った生コンを運ぶほうが一般的とのこと。
ちなみに、最近ではアイドリングストップ機能を備えたミキサー車もあるそうです。エンジン停止中は、増設バッテリーとモーターによりドラムを適正に回転できるものだといいます。