日本の空港の滑走路は多数が500m刻みで、それ以外でもおおむね100m刻みや10m刻みで作られていますが、伊丹空港のA滑走路は1828mとなっています。なぜこのようなことになったのか、運営会社に聞きました。

概ね500m刻み、50m、10m刻みもある日本の空港滑走路

 航空会社が就航している日本の空港の滑走路は、多くが500m刻みで作られています。たとえば日本最長の成田空港のA滑走路、ならびに関西空港のB滑走路は長さ4000m、羽田空港のA滑走路は長さ3000mです。

 このほか少数派ですが、100m刻みや10m刻みで作られている滑走路もあります。前者は長さ1200mの仙台空港A滑走路、福岡空港は滑走路1本で長さ2800mとこれに該当、後者は長さ3360mの羽田空港C滑走路、長さ2740mの県営名古屋飛行場などが見られます。

日本でも稀少 中途半端な「長さ1828m」伊丹空港A滑走路の...の画像はこちら >>

伊丹空港に離着陸する飛行機(2019年12月、乗りものニュース編集部撮影)。

 実はこのいずれでもない、1m刻みで造られた、言ってしまえば中途半端な長さの滑走路を備える空港が、日本国内には少なくとも2か所、存在します。長さ1314mの新潟空港A滑走路と長さ1828mの伊丹空港A滑走路です。

 ただ、新潟空港の場合、非常に使用頻度が少なく、小型のプロペラ機が使用する程度です。一方、伊丹空港のA滑走路は2020年4月現在も一線にあり、リージョナルジェットと呼ばれる100席以下のジェット旅客機や、ターボプロップ機がピーク時には分刻みで離着陸していて、場合によっては、ボーイング767型や777型などが離着陸する、長さ3000mのB滑走路との同時使用なども見ることができます。

 なぜこのような長さの滑走路ができ、現在も運用されているのでしょうか。伊丹空港を運営する関西エアポートに聞きました。

「1828m」の滑走路なぜできた? 長さを変えられないワケ

 関西エアポートによると、伊丹空港のA滑走路が現在の長さとなったのは、戦後「伊丹航空基地」の名で占領軍の接収下に置かれていた同空港が全面返還された、1958(昭和33)年3月のことだそうです。

当時の運輸省(現在の国土交通省)は「大阪空港」と改称し、長さ1828mのA滑走路を運用開始しました。

 同社の広報部は、長さが決まった経緯を次のように話します。

「A滑走路がこの長さとなったのは、大阪空港として再出発した当時の改修工事が関係しているといわれています。工事の際に使用されていた長さの単位は、日本で一般的な『メートル法』ではなく、アメリカなどが用いている『ヤード法』でした。1828mはヤード法に換算すると2000ヤードとなり、この長さが採用され、現在に至っているとされています」(関西エアポート 広報部)

 また多くの空港では、航空機の大型化やその需要の拡大とともに、滑走路長も延伸されていくことが一般的であったなか、伊丹空港ではそれが難しかったそうです。その理由としては、1970(昭和45)に供用開始となった長さ3000mのB滑走路ができたことと、空港周辺の用地取得が難しいことなどが挙げられるといいます。

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