「光るナンバー」とも呼ばれる字光式のナンバープレートは、軽自動車にも存在します。ただしその装着率は普通車用よりも低く、プレートの交付手数料はより割高です。
夜間にクルマのナンバープレートの文字が光る「字光式ナンバープレート」は、1980年代後半から1990年代初頭のバブル期に流行しました。2020年現在も少なからず見かけることがありますが、その多くは普通車(登録車)に取り付けられたものでしょう。
ナンバープレートの業界団体である全標協(全国自動車標板協議会)によると、軽自動車にも字光式ナンバーは存在するものの、装着率はかなり少ないといいます。軽自動車用字光式ナンバープレートを製造する旭化成テクノプラス(東京都中央区)によると、普通車用でも数%、軽自動車用はさらにその半数程度の装着率だそうです。
なお、軽自動車用の字光式ナンバープレートが設定されているのは自家用車のみで、事業用車にはありません。
軽自動車にも字光式ナンバープレートが存在する。写真はイメージ(画像:写真AC)。
普通車用の字光式ナンバーは1970年代からありますが、軽自動車用が誕生したのは2002(平成14)年のことです。また、ナンバープレートの代金を含めた交付手数料だけでも5000円前後(2枚セットで希望番号なしの場合。手数料は地域により異なる)と、普通車用よりおおむね2000円ほど高く設定されています。クルマに装着するにはさらに、プレートを背面から照らす照明装置を別途装着する必要があり、1枚あたり数千円から1万数千円程度(工賃別)で販売されています。
プレート交付手数料のちがいについて、全標協は次のように説明します。
「軽自動車のナンバープレートは黄色い板に黒い文字(事業用車両の場合はその逆)と決まっていますが、普通車用は緑の文字で、文字部分を樹脂製にして光を透過できるのに対し、軽自動車用の黒文字はそれが難しいのです。そのため、文字の輪郭を光らせるという特殊なつくりになっています」(全標協)
文字の輪郭からバックライトが漏れ出るような形で光るため、全標協は「文字が浮き上がるような感じで、きれいですよ」と話します。
「なぜ軽自動車用はないの?」がきっかけで開発全標協によると、字光式ナンバープレートは普通車用、軽自動車用とも、製造しているのはそれぞれ全国で1社のみとのこと。そして軽自動車用の字光式ナンバープレートは、前述した旭化成テクノプラスが開発したものだそうです。
「1990年代の初期に、とあるディーラー経由で『普通車に字光式ナンバーがあって、なぜ軽自動車にないのでしょうか』という疑問をお客様からいただいたことがきっかけで、開発に挑戦しました」(旭化成テクノプラス)
こうして誕生した軽自動車の字光式ナンバープレートは、同社によると幅広い年代の人が取り付けているものの、なかでも30代から40代の男性が多いとのこと。
「カーカスタム全般が好きという方もいれば、ワンポイントで差別化するために字光式ナンバーを付けられる方もいらっしゃいます。『あまり見かけないので珍しい』『文字の輪郭が光るのがおしゃれだね、と言われる』といった声を頂いております」(旭化成テクノプラス)

普通車用の字光式ナンバープレートは文字が緑色に光る(2020年3月、乗りものニュース編集部撮影)。
ちなみに、旭化成テクノプラスは字光式ナンバープレートの照明装置も製造・販売していますが、同社製品のなかには、プレートとその土台部分とのあいだに独自の特殊ジェルが塗り込まれるものもあります。普通車用と比べてプレートの光る部分の面積が小さいため、よりくっきり光るよう工夫したものだといい、特に横から見た場合は、ジェルなしのものより格段に明るくなるそうです。