国内線で、最も搭乗率の高い路線はどこなのでしょうか。トップ10を見ると成田空港や関西空港を発着するLCC路線が並びます。

そのなかで実は安定してトップなのが成田~関西線です。なぜここまで高いのかLCCに聞きました。

トップ5は成田路線が多数 背景にはLCC

 飛行機の旅客定期便が運航している国内線で、もっとも搭乗率の高い路線はどこなのでしょうか。

 国土交通省が2020年5月12日(火)に発表した、2019年10月から12月のデータによると、その期間、客席数が100席以上もしくは最大離陸重量が5万kgを超える機体を使って運航する「特定本邦航空運送事業者」で、航空旅客便が運航された国内路線は191に上ります。このなかから定期便が運航されている路線で、搭乗率が高いところ、すなわち運航された便の総席数に対し空席の少なかった路線の上位5つを見ていきます。

国内線 定期旅客便搭乗率トップ「成田~関西線」 90%超の記...の画像はこちら >>

ジェットスターの飛行機(2019年、伊藤真悟撮影)。

●2019年10月から12月期の、国内線搭乗率トップ5
・1位 成田~関西線:89.8%
・2位 成田~石垣線:89.1%
・3位 関西~宮崎線:86.5%
・4位 成田~熊本線:86.3%
・5位 成田~鹿児島線:86.2%

 利用者数ランキングでは羽田空港を発着する路線がトップ5すべてを占めていますが、搭乗率の高さという点では、成田空港発着路線がトップ5のうち4つを占める結果となりました。

 この結果の要因のひとつに、、ジェットスター・ジャパンやピーチといったLCC(格安航空会社)の存在が挙げられます。ジェットスターは成田空港、ピーチは関西空港を本拠としており、そして両LCCが運航している成田~関西線がトップに君臨します。

 この成田~関西線、季節的な需要もあるかと思いきやそうではないようで、2018年度1年間の搭乗率は89.9%、2019年7月から9月期に至っては91.9%と、いずれもトップを守り続けています。かつ羽田空港発着路線や、新幹線、高速バスなど、ライバルも多い東京と大阪を結ぶ路線で、なぜ成田~関西線はここまで高い搭乗率を維持しているのでしょうか。

ライバル多いこの路線で90%近い搭乗率 なぜなのか?

 ジェットスター・ジャパンの広報部は、成田~関西線が高い搭乗率を維持し続けている理由を次のように説明します。

「搭乗率はあくまでも需要と供給量のバランスの結果なので、搭乗率の高さがそのまま良い、悪いに直結するわけではありませんが、成田~関西線は、関東と近畿地方を行き来する人口が、非常に底堅いことに強みがあると考えています。そのようななか、LCCのリーズナブルな運賃という要素、また空港アクセスの改善などに取り組んだことで、新たな需要を生み出したことがこの搭乗率につながった一因ではないかと思います」

国内線 定期旅客便搭乗率トップ「成田~関西線」 90%超の記録も…なぜ?

ジェットスターと双璧をなす日系LCC、ピーチの飛行機(2019年、伊藤真悟撮影)。

 たとえば成田空港においては、東京駅から1000円で乗れる直通高速バスも分刻みで運行しているほか、鉄道では2019年、成田スカイアクセス線の運行本数が1.4倍に増加するといったように、その交通アクセスは以前より良好なものとなっています。このことから、関東と関西を行き来する際、選択肢のひとつにLCCが加わりやすくなってきているといえるでしょう。

 また同社によると成田~関西線は、LCCで多数を占めるレジャー需要だけではなく、ビジネス利用者が20%強と多めなのも特徴的といいます。さらに明確な要因とは言えないものの、両空港とも国際線のネットワークが発達していることから、訪日旅行者をはじめ利用者が乗り継ぎでこの路線を使うといったケースも考えられるのでは、とのことです。

 なお、6位から10位も関空~仙台線や成田~松山線などLCCの路線が並ぶ一方で、仙台~神戸線、羽田~神戸線もランクインしています。神戸空港発着路線はスカイマークの主力路線であり、搭乗率トップ10は後発の航空会社にとっての主力路線が多く入る結果となりました。

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