ANAグループで地方路線を中心に運航されてきたボーイング737-500型機「スーパードルフィン」がラストフライトを迎えました。新型コロナ禍のさなか迎えた最終便はどのような様子だったのでしょうか。
ANAウイングスのボーイング737-500型機「スーパードルフィン」が、2020年6月14日(日)の福岡発羽田行きNH254便でラストフライトを迎えました。
「スーパードルフィン」は1995(平成7)年、当時のANK(エアーニッポン。後にANAが吸収合併)が導入。おもに国内線の地方路線で使われ、ピーク時には25機が投入されていました。2020年までの25年間でこのモデルが就航した国内の空港は、北は北海道の利尻から南は沖縄の石垣まで、広い範囲にわたります。
商用最終便を迎えたANAウイングスのボーイング737-500型機「スーパードルフィン」(2020年6月14日、乗りものニュース編集部撮影)。
愛称の「スーパードルフィン」は導入時に公募によって選ばれたものです。ボーイング737-500型機の全長は約31mで、ジェット旅客機としては短めでずんぐりむっくりとした胴体が「イルカ」を連想させることや、短距離での離着陸が得意なことで小回りが利き、スピード感があることなどが由来とのこと。「スーパードルフィン」の名前に合わせてエンジンのカバー部分にはイルカのイラストがあしらわれ、短い胴体とともに同モデルの大きな特徴でした。
この退役に先立ってANAグループは、2019年の退役発表時からイベントを実施してきました。同年9月に福岡空港で「スーパードルフィンファン感謝祭」、12月には伊丹空港で当時残っていた「スーパードルフィン」3機のエンジンカバーのイルカイラストにそれぞれ異なる柄の花束を持たせる退役記念特別デカールが施されています。
「スーパードルフィン」ラストフライトの様子は?ラストフライトを担ったANAウイングスのボーイング737-500型機「スーパードルフィン」は、JA306Kです。

羽田空港に到着したANAウイングスのボーイング737-500型機「スーパードルフィン」(2020年6月14日、乗りものニュース編集部撮影)。
最終フライトとなった6月14日のNH254便は、「スーパードルフィン」とともにパイロットを退くANAの大山聖二機長が担当しました。自身のラストフライトとも重ね、次のようにコメントしています。
「福岡も羽田もファンの方々がたくさんおり、圧倒されました。『スーパードルフィン』は全般に、非常に信頼性も高く性能も良く、短い滑走路でも対応できる良い飛行機です。その飛行機に25年乗り、北海道から沖縄まで、いろんな所の景色を見られたことは良い思い出です」(ANA 大山聖二機長)。
このNH254便は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で飛行機利用の低迷が続くなか、126席が満席に。出発前の福岡空港では退役セレモニーが開かれ、搭乗者に記念品も配られました。15時ごろ羽田空港に到着した際も、ANAグループのスタッフが横断幕を持って出迎えています。