近年リゾートとして注目を集める沖縄の下地島は、元来パイロットの訓練空港だった側面がありました。地域が大きな変化を遂げたなか、現在もその名残を残す場所がANAのパイロット宿舎を改修したホテルです。

実際に行ってみました。

廊下部分などに懐かしANAポスター

 沖縄県の宮古列島に位置する下地島空港は、かつてはパイロットの訓練空港だった経歴を持ちますが、現在はLCC(格安航空会社)などが乗り入れ、大きな変化を遂げました。

 ここ近年で一気に離島のリゾートとなった同エリアですが、かつての訓練空港としての面影を残す施設が、その近くに存在します。下地島空港から1km少しの場所にある「下地島コーラルホテル」は、もともとANA(全日空)のパイロット宿舎を改修したものとのこと。実際に訪問すると、その名残を各所に見ることができました。

下地島特有!? 元「ANA乗員宿舎」の宿とは 思わぬところに...の画像はこちら >>

「下地島コーラルホテル」の玄関口(2020年7月、乗りものニュース編集部撮影)。

 入口はホテルというよりは、どちらかというと昔ながらの寮といったイメージです。受付部分にはANA機、ソラシドエア機、AIRDO機のモデルプレーンが飾られています。受付を済ませて受け取った部屋の鍵、そのキーホルダー部分には、部屋番号だけでなく「ANA」のロゴが刻まれていました。

 共用部分には、過去のANA機のポスターが各所に貼られています。なかには「ハイテクジャンボ」747-400型機が大きく映ったものや、「次世代機ボーイング787、続々導入!」といった、今やどこで見られるかわからない稀少なものも。食事がとれる棟につながる渡り廊下の出入口のガラス扉には、ANAの旧社章「ダヴィンチのヘリ」のロゴシールが貼られています。

部屋は普通のホテルと思いきや… 思わぬところに「置き土産」

 部屋は通常のユニットバス形式、小さめテレビとベッド、テーブルなどが置かれているレイアウトで、一見すると一般的なシングルルームです。しかし大きな秘密がこの部屋には隠されていました。

下地島特有!? 元「ANA乗員宿舎」の宿とは 思わぬところにパイロットの「置き土産」

「下地島コーラルホテル」の館内に描かれたANAの「ダヴィンチのヘリ」ロゴ(2020年7月、乗りものニュース編集部撮影)。

 テレビが置かれているテーブルの引き出しを開けると、そこにはたくさんの文字が書かれているのです。たとえば「2006.9.12 B735 限定A320より」や「2006.11.29 B767副操昇格」といった具合で、その右側には署名が書かれています。なかにはさらにその横に「下地最高!ありがとう!」などのメッセージも残っていました。

 つまり当時ここで訓練を受けていたパイロットたちが試験に合格したとき、記念に机の引き出しの下に書き記すという風習があったようで、それがホテルとなった今なお、残っています。

編集部おすすめ