新型コロナの影響が航空業界に打撃を与えるなか、伊丹空港と神戸空港では一風変わった取り組みをスタッフが実施中。「ひまわりの種」を配る、経験を後世に伝えるほか、ダイナミックなお見送りも。
2020年、伊丹空港や神戸空港のANA(全日空)チェックインカウンターなどでは、全国の空港でも珍しい、一風変わった取り組みが実施されています。
ひとつ目は「ひまわりの種」を空港カウンターやラウンジなどに置き、利用者が自由に持って帰れるようにしていることです。タキイ種苗(京都市)から約2万袋のひまわりの種が提供され、伊丹、神戸などを中心に、北は福島から南は宮古まで、ANAが就航する全国の空港で、その活動の輪がひろがっているといいます。
伊丹空港のANA機(2019年、乗りものニュース編集部撮影)。
ANAは大阪空港支店を中心に2013(平成25)年から父の日イベントとしてひまわりの種の配布活動をスタート。2019年まで毎年、恒例行事のひとつになっていたそうです。その経緯をANA大阪空港の池田直美さんは次のように話します。
「タキイ種苗さんのサンリッチひまわりという品種の花言葉がANAの行動指針『あんしん、あったか、明るく元気!』とマッチする『明るく元気』であることから、ご縁があってコラボイベントとして協力して頂いています」(ANA大阪空港支店 総務課 池田直美さん)
ところが2020年は新型コロナウイルスの影響で父の日イベントが中止に。そのようななか、ひまわりの種を毎年楽しみにする利用者がいたことに加え、ANAスタッフの想いもあり、空港内の施設に種を置くことになったとのこと。また、父の日にはカウンターやラウンジにひまわりの生花を飾ったそうです。なお、伊丹では8月いっぱいまでひまわりの種を設置しておくとしています。
新型コロナの影響で減便や運休が続くなか、先述のひまわりの種配布以外にもANAの伊丹、神戸空港などでは、独自の取り組みをしています。
それは「現状を後世に伝える活動」。動画やインタビュー資料などを社内展開する「ツナグプロジェクト」をスタートさせ、2020年7月末現在では、9月の完成に向け活動中とのことです。この中心メンバーである神戸事業部オペレーション課の川村大智さんは経緯を次のように話します。

貨物コンテナを用いた出発便見送りの様子(画像:ANA)。
「新型コロナの影響で、スタッフの一時帰休や出勤数減少などが発生し、スタッフ間やお客様とのつながりが少なくなっていました。そのなかでも仕事や仲間への情熱を絶やさず成長し、お客様にご利用頂ける尊さをしっかりと後世に伝えていきたい……という目的を掲げ、私たち一人ひとりが“今しかできないこと”と、“今だからできること”を実践しています。まだまだこの先も大変な日々が続きますが、『タダでは起きない』という気持ちで取り組んでいます」(ANA神戸事業部 川村大智さん)
このほか、神戸空港や伊丹空港ではANA便利用者に感謝を伝えるため、いつもよりダイナミックな見送りをすることも。これは航空貨物に積み込むコンテナにメッセージを張り付け、利用者を送り出すというものです。