全国の主な弁当製造業227社の売上高は、2期前から10%超伸びた一方で、最終利益は20%減った。空前のコメ高騰や食材・光熱費の上昇を背景とした値上げは一部で進んでいるが、「利益なき成長」を強いられている。
227社のうち半数は値上げ効果などで増収を維持した。赤字企業は減少したが、約4割の企業が減益を強いられている。
弁当製造業は弁当販売店やコンビニが主戦場だったが、コロナ禍で一変した。持ち帰りやUber Eats(ウーバーイーツ)などフードデリバリーの浸透だけでなく、居酒屋や飲食店でのランチタイムのお弁当販売が定着した。
店内飲食のランチメニューは、コメや食材の高騰で値上げが相次ぎ、1食1,000円を超えることも珍しくない。だが、お弁当は1,000円未満でも十分納得の味で存在価値が見直されている。美味しくて相対的に安いお弁当を好きな場所で食べる会社員が弁当業界を後押しするが、お弁当の価格は「900円の壁」が区切りだ。ただ、高額な「駅弁」は、「900円の壁」を超えても人気は高い。
増収維持も大幅減益
東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約400万社)で、日本標準産業分類「すし・弁当・調理パン製造業」のうち弁当製造業を対象に、2024年まで3期連続で売上高と最終利益が比較可能な227社を分析した。
227社の売上高合計は2022年8,425億8,800万円で、2023年8,958億900万円(前年比6.3%増)、2024年9,386億4,600万円(同4.7%増)と成長が続く。
販売チャネルの増加や価格転嫁などの値上げ、高付加価値の弁当の開発など、消費者の食指を動かす努力を続けている。
一方で、利益は低調だ。
コメなど食材価格の高騰や製造コストの上昇は、値上げ分を上回っているようだ。赤字企業率は2023年29.0%、2024年25.1%と低下したが、減益企業率は2023年の31.2%から2024年は36.1%に上昇した。
店内ランチは1,000円超えが当たり前となり、お弁当は割安感がある。一方、駅弁は高価格帯でも人気を集める傾向もある。ただ、度重なる値上げにより、こうした傾向が限界を迎えているかもしれない。