2025年4月の「飲食業」の倒産
2025年4月の「飲食業」の倒産は88件(前年同月比25.7%増)で、2カ月連続で前年同月を上回った。また、4月の88件は2020年の80件を上回り、1989年以降で最多を記録した。
負債総額は63億4,800万円(同130.8%増)で、2カ月連続で前年同月を上回った。負債5億円以上が3件(前年同月ゼロ)発生し、負債を押し上げた。負債1億円未満が全体の87.5%を占めた。
コロナ禍が落ち着き、インバウンド需要で人流も活発になっている。しかし、高騰する米をはじめとする食材費や水道光熱費、人件費の上昇などで値上げにつながり、顧客の取り込みが難しい小・零細規模の飲食業者が苦境に直面している。
業種別では、最多がラーメン店を含む「専門料理店」の27件(前年同月比107.6%増)。増加率では、最高が「すし店」の前年同月比300.0%増(2025年4月4件、前年同月1件)。
資本金別では、1千万円未満が74件(前年同月比13.8%増)と8割超(構成比84.0%)を占めた。
原因別では、販売不振が70件(前年同月比6.0%増、構成比79.5%)と大半を占めた。
物価上昇への対応力が乏しい小・零細企業の飲食業者が、倒産件数を押し上げている。コロナ禍が落ち着き、飲食業の倒産を抑制していた各種資金繰り支援策も縮小・終了した。その一方で、食材費やエネルギー価格の高騰、人材確保のために人件費が上昇している。
※本調査は、日本産業分類の「飲食業」(「食堂,レストラン」「専門料理店」「そば・うどん店」「すし店」「酒場,ビヤホール」「バー,キャバレー,ナイトクラブ」「喫茶店」「その他の飲食店」「持ち帰り飲食サービス業」「宅配飲食サービス業」)の2025年4月の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。