~2026年「自動販売機設置状況」に関するアンケート調査~
職場のリフレッシュルームや街中の清涼飲料などの自動販売機(以下、自販機)コーナーは、ホッと一息つく至福の場所だ。だが、その自販機業界が物価高騰、人手不足などで苦境に立たされ、大手ベンダー各社は台数削減など事業縮小や撤退を相次いで公表している。
東京商工リサーチ(TSR)は3月31日~4月7日、企業の事業所内に設置された自販機について、アンケート調査を実施した。
飲料業界最大手のコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(株)(東証プライム)は、2025年12月期決算で自販機事業を含むベンディング事業で883億6,800万円の減損損失を計上した。2026年から2030年の中期経営計画では、ベンディング事業は「ビジネス全体を見直し、利益創出基盤を再構築する」と位置付けた。
ダイドーグループホールディングス(株)(東証プライム)も2月16日、2026年1月期決算で自販機などの資産について298億円2,600万円の減損損失を計上。「止血」策として、2027年1月期中に自販機2万台を撤去する計画を明らかにした。また、サッポロホールディングス(株)(東証プライム)も3月5日、自販機事業を(株)ライフドリンクカンパニーが新設する会社への売却を発表、自販機事業から撤退する見通しだ。
※ 本調査は、2026年3月31日~4月7日、企業を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,434社を集計、分析した。
※ 本調査は、今回が初めての調査。
※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
Q1.貴社は事業所内(本社や支社店、工場など)に自動販売機を設置していますか?事業所が賃借物件の場合は、専有部分への設置状況をお答えください。(単一回答)
■自販機「設置」は47.7%
自販機の設置について、「設置している」は47.7%(6,434社中、3,070社)だった。
資本金別 1億円以上の大企業では「設置している」の割合が高い
資本金別では、1億円以上の大企業では「設置している」が79.8%(467社中、373社)で、設置している割合が高かった。一方、1億円未満の中小企業は「設置している」が45.2%(5,967社中、2,697社)にとどまり、設置している企業は半数に届かなかった。
大企業は中小企業と比べ、従業員の利便性、職場環境の改善への取り組みの一環として自販機を設置しているようだ。
産業別 「設置している」製造業と運輸業が突出
Q1の回答を産業別に分析した。「設置している」が最も高い業種は、製造業の69.5%(1,659社中、1,154社)だった。次いで、運輸業の68.7%(253社中、174社)が続く。
製造業は、製造拠点の従業員が職場を離れることが難しく、利便性の観点からも設置する傾向が高い。地方に製造拠点を置く企業も多く、周囲に小売店が少ないことも背景にあるようだ。
運輸業は、工場、倉庫などの営業拠点に運転手などが滞在するほか、車から離れることが難しく利便性向上を高めているとみられる。
一方、 「設置している」の割合が最も低い業種は、情報通信業の16.6%(349社中、58社)だった。次いで、金融・保険業の25.3%(67社中、17社)、不動産業の27.5%(225社中、62社)の順。こうした業種は、拠点が都市部や市街地にあり、小売店や社外の自販機が充実している企業が多い。
地区別 都市部では設置している割合が低い傾向
Q1の回答を地区別に分析した。「設置している」が最も高い地区は、北陸の60.1%(193社中、116社)だった。次いで、中部58.6%(807社中、473社)、四国56.8%(241社中、137社)の順。
一方、「設置している」割合が最も低い地区は、関東の41.3%(2,380社中、983社)だった。次いで、近畿の41.6%(960社中、400社)。関東、近畿と大都市がある地区が続く。
業種別と同様、周囲に利便性の高い小売店の有無が自販機の設置に影響を及ぼしていることがわかる結果となった。
Q2.現在、設置による金銭的利益はいかがですか?1年前との比較で回答ください。(単一回答)
■「拡大した」はごくわずか
1年前と比較した自販機の設置による金銭的利益の増減を聞いた。
最多は、「利益はほぼ変わらない」で74.4%(2,563社中、1,907社)で、全体の約4分の3を占めた。1年前と比較して「縮小した」は21.8%(560社)。「拡大した」は3.7%(96社)にとどまった。
主な自販機ベンダーは、2025年10月に自販機での飲料水の価格を値上げした。こうしたなか、事業所に設置した自販機の販売価格を値上げした企業は、1年前と比べて利益はほぼ変わらなかったとみられる。一方、値上げにより販売数量が減少した企業、福利厚生として価格を据え置いた企業は、電気代の高騰などが影響して利益が減少した。
Q3.自動販売機で販売されているミネラルウォーター(500ml)の販売価格はいくらですか?複数ある場合は最も安いものを回答ください。(単一回答)
■「100円台」が最多、次いで「110円台」。平均値は115.7円
設置する自販機で、最安値のミネラルウォーターの販売価格を聞いた。
「100円台」が最多で21.7%(2,304社中、502社)だった。次いで、「110円台」が20.2%(466社)だった。設置する自販機でミネラルウオーターを販売していない企業も19.0%(439社)あった。また、資本金1億円以上の大企業、資本金1億円未満の中小企業による傾向の違いはなかった。
地区別 「110円台」は地方に多め ミネラルウォーター「なし」が最多の地区も
Q3の回答を地区別に分析した。「100円台」は関東の25.06%(726社中182社)で、次いで、中部25.00%(368社中、92社)、近畿24.4%(298社中、73社)、東北21.3%(229社中、49社)、北海道20.3%(123社中、25社)だった。東京、大阪、名古屋の三大都市圏がある地区がトップ3を占めた。
雇用者数が多い企業や、労働人口が多い地区は相対的にスケールメリットが大きく、単価を抑えられている。逆に、地方では販売数量あたりの設置コストが大きくなり、販売価格も高めに設定せざるを得なくなっていることを示している。
なお、東北、中国、九州ではミネラルウォーターは「なし」の割合が最も高かった(東北、中国は同率)。
今後の影響に注目
今回の調査では、設置している企業各社にとっての利益は減少していると回答した企業も一定数あったものの、全体の4分の3程度はほぼ変わっていない。したがって、自販機を事業所内に設置している会社への影響は現時点では限定的であるようだ。
しかし、中東情勢の先行きの不透明ななか、自販機の設置にかかる電気代や輸送費が高騰すれば、設置している企業や自販機の事業者の負担が大きくなり、事業者内への設置分についても台数の減少や撤去に至るケースが増加することも考えられる。

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