解禁を過ぎた、九州エリアの渓流ヤマメ・アマゴ釣りのシーズン別攻略法をまとめて紹介。狙うポイント・釣り方の参考にしてほしい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版 APC・津曲隼丞)
3月下旬~4月
一般渓流域は盛期へ!瀬釣りも本格化
山桜が咲き始め、水温が上がってくると、淵など深場で越冬していたヤマメが次々とエサが豊富にある瀬へ移動し始める。釣期も初期から盛期への過渡期にあたり、特に淵のすぐ上にある瀬は、この時期の最高のポイントとなる。
やがて桜が満開に咲く季節を迎えると、水温も10度以上の安定期に入り、本格的な瀬釣りが楽しめる季節となる。多くの尺物(30cmサイズ)が動きだすのも桜の時期であり、本流域での釣りも本格始動する。しかし、解禁から1か月以上過ぎ、イクラやブドウ虫では見向きもしなくなり、スレッカラシが増え、むずかしい釣りを強いられることも。やはり川虫に勝るものはない。4月下旬になると、外道がうるさくなる里川は早くもピークの終わりを迎えるといっていいだろう。一方で周囲の新緑がまぶしくなり始める一般渓流域は、盛期に突入する。体力の戻ったパーマークのきれいな渓流魚の数釣りが楽しめる。

5月
支流の穴場的な河川狙いで好釣果も
大型連休を迎えるこの期間の有名河川は、多くの釣り人で荒らされ、なかなか釣果的に厳しくなる。そのような時は支流のまた支流の穴場的なB級河川で良い思いができるだろう。
また、釣れない時でも新緑のすばらしい景色のなかで釣り人をいやしてくれるはず。さらに、この時期からは荒瀬にもヤマメが入っており、淵~瀬までどこでもポイントになる。仕掛けは下層だけを流すのではなく中層を流す臨機応変さも必要で、釣行当日のアタリポイントを探し当てることが好釣果に結びつく。
本流では水温が上がり、本命以外の魚も活性化して釣りづらくなってくる。しかし、当たれば超幅広な尺上ヤマメ・アマゴが顔を出すこともある。五ヶ瀬川・川辺川・大野川といった河川では、エサにクロカワ虫や大型ミミズを使う。

梅雨(つゆ)入りまでの渇水期は、警戒心が強く、見慣れたブドウ虫やミミズだと簡単にハリ掛かりしてくれない。釣っていてスレていると感じたら中流~下流域の水溜りに生息しているピンピンや、白泡の立つ瀬石のヒラコ(ナデ虫)を主なエサとし、小バリで対応したい。連休後からは、源流釣りが本格的なシーズンを迎える。新緑真っ盛りの山で、苔むした原生林に囲まれて天然エノハ・マダラと対面したいところ。きっと、水深10cmほどの浅場から良型が食らいつくシーンを何度も目撃するだろう。
エサは川虫にこだわらず、ブドウ虫・キジでも十分だ。また、ヤマメが水面の流下物を意識しているこの時期は、日本古来から伝わるテンカラ釣り(毛バリ)を楽しむのもオススメ。毛バリに向かって水面を割る瞬間は、エサ釣りにはないスリルと面白さが味わえる。
6月~7月中旬
増水を利用して上流へのぼる大型魚も
梅雨に入ると川も増水しており、多くのエサが流下してくる状態となる。スレッカラシの魚も縦横無尽に行動し、高活性。
水はけの良い川とそうでない川があり、地形的に高地で周囲の等高線の間隔が広くて傾斜の緩い河川が目安(国土地理院1/2万5000を参照)。また、インターネットも積極的に利用したい。国交省の「川の防災情報」というサイトは、釣行するエリアの天気や雨量そして水位までチェックできるので重宝している。
エサは、匂いの強いキジをメインにブドウ虫も用意したい。ハリは、7~8号といった大バリを使う。濁りがあったり、増水中なら岸辺近くのタルミも意外と穴場ポイント。
また、ダム湖や本流で育った尺を超える大型魚は、遡上(そじょう)時期にあたり、増水を利用して上流へのぼってくる。そのため堰堤や大淵など障害物が狙いめ。大物釣りの再来だ。特に上椎葉ダム上流の耳川本流は面白い。

7月下旬~8月
水温の低い時間帯や場所の見極め重要
水温が20度を超えやすい夏季の九州河川は、冷水を好むサケ属のヤマメとアマゴとって非常に厳しい環境下にある。釣果も一里一匹と言われる所以(ゆえん)でもある。少しでも水温の低い時間帯や場所、早朝・深い淵底・湧水・発電所の放水口・溶存酸素の多い白泡で、丸々に太った魚に出会える
しかしながら、本流域では水温上昇に伴い、外道となるカワムツやイダの猛攻に遭い、さらに早朝以外はアユ釣りに占有されてほとんど釣りにならないだろう。椎葉村の上椎葉村ダム上流の耳川本流などに限定されてくるが、ヤマメ釣りが厳しい時は活性が高いアユ釣りを楽しんでもいいのではないだろうか。
もしどうしても純粋に渓魚に出会いたければ水温の低い一般渓流~源流域がメーンフィールドになってくるだろう。エサは渇水期だとブドウ虫、雨後の濁りにはミミズを使う。
<週刊つりニュース西部版 APC・津曲隼丞 /TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース西部版』2020年3月27日号に掲載された記事を再編集したものになります。