投げ釣りの主なターゲットはキスとカレイ。夏と冬にシーズンが大別されるが、例年4月に入ると開幕するのが、産卵明けの荒食いで接岸するカレイだ。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 長谷川靖之)
投げ釣りで狙う春カレイ
近年投げ釣りをする人が少しずつ少なくなっており、メーカーから発売される投げ釣り関連の新製品も年々その数が少なくなってきている。今年のフィッシングショーでも、限られたメーカーからいくつかの新製品が発売されただけだった。それでも根強いファンはたくさんおり、四季折々でいろんな魚を追いかけている。
投げ釣りの魅力は魚種を限定せず、季節ごとにおいしい魚を追いかけることと、1つの釣り場でバラエティー豊かな魚が釣れることだろう。そしてこれからの時期、特に楽しみなのがカレイだ。
春のカレイは食味も抜群
カレイは寒流系の魚で、低水温期に浅場で産卵をする。夏季は身が分厚くなっておいしいが、水温が安定する深場に落ちるので、投げ釣りの射程圏に入ってくるのは、場所にもよるが11月~5月。11月~12月は産卵前で体力を蓄えるために活発にエサを追いかける。この時期に釣れるメスのカレイはお腹に卵を持っており、いわゆる子持ちガレイで煮つけにすると非常に美味だ。

年が明けて本格的に水温が下がると産卵行動に入ってしまうので、エサを追わなくなる。そして2月の中旬ごろからは、産卵後の体力回復で再び活発にエサを追うようになる。しかし、2~3月に釣れるカレイは、まだ産卵後でやせていて食味も劣る。お勧めはGWごろに釣れる身が分厚いマコガレイだ。
メッカは鳥羽と能登島
このように11月~5月の間で、カレイのシーズンは大きく晩秋と春に大別される。この時注意しなければならないのは、ポイントの選定だ。晩秋の乗っ込み期だけ釣れる釣り場、春だけ釣れる釣り場、両シーズンで釣れる釣り場がある。

私は関西に在住しているが、中部方面にカレイ釣りで出かけるときは、圧倒的に春のシーズンが多い。主な釣り場は東海エリアであれば本命は鳥羽周辺だ。答志島、菅島、神島などの離島に渡るパターンと、水族館裏、伊勢湾フェリー岸壁、中之郷岸壁などの地方から釣るパターンがある。アイナメの場合は、離島に渡る方が数型ともに期待できるが、カレイの場合は地方でもひけを取らない釣果が期待できる。
北陸エリアであれば、何はさておき能登島が本命だろう。晩秋~春は北陸方面はシケることが多くなるが、能登島は能登半島に守られた地形であるため、全天候型であることが強みだ。ポイントは島の北側一帯で、箱名入江、南、無関、閨、百万石など各所で大型カレイの実績が高い。冬型気圧配置が数日間緩み、海がナギになったタイミングではあわら市の波松海岸が面白い。一時期カレイ釣りでフィーバーし現在は下火になっているが、コンスタントにカレイが釣れるポイントだ。
ポイント別タックル紹介
ポイント別でカレイを狙うときのタックルを紹介しよう。
鳥羽エリア
水族館裏、伊勢湾フェリー岸壁、中之郷岸壁、安楽島港の大波止などが主な釣り場になる。

潮流も穏やかで根掛かりも少ないので、サオは比較的軟調子のものでも対応できる。投げ釣り用の大型スピニングリールにミチイトはナイロンラインなら3~5号、PEラインなら2~3号を巻く。
ミチイトの先にチカライト(テーパーライン)を結び、オモリは遊動式の20~25号を水深によって使い分ける。水深がある釣り場でしっかり底を取るために、重めのオモリがいい。仕掛けはスタンダードな2本バリの吹き流し式で、モトス8号、ハリはカレイバリ13号、ハリスは5号を使う。

最近では冬場でもフグのエサ取りが多く、ハリスに傷を付けてしまう。ハリスに傷があると、いざ大物が掛かったときに少しのテンションで切れてしまうので、ハリスはできるだけ太めを使用し、傷がついたらこまめに取り替えることをお勧めする。
能登島エリア
能登島の各ポイントの特徴は、水深があって手前に海草帯があることだ。

よって掛かったカレイを一気に浮かせて海草帯をクリアする必要がある。そこでサオは硬調子のものを選択する。ミチイトはナイロンラインなら5号、PEラインなら3~5号を巻く。遠投するよりも岸から先のカケアガリで釣れるケースが多いので、強引なやり取りができるようにイトはワンランク太めが無難だ。

仕掛けはスタンダードな2本バリの吹き流し式だが、釣れるカレイの大半がイシガレイで、しかも大型なのですっぽ抜けを防ぐためにも、カレイバリの15号以上を使うのが望ましい。

カレイを狙うときのエサ
カレイは肉食性の魚で、自然界では主にアサリなどの貝類、ゴカイなどの多毛類を摂餌している。投げ釣りの場合、キャストした時のエサ切れを防ぐためにアオイソメやイワムシなどの多毛類を使う場合が多い。

近年エサの値段が高くなっており、一日で3本のサオを使う場合、アオイソメだと3千円分くらい、イワムシだと5千円くらいが目安になる。もちろん両方のエサを購入してもいい。アオイソメは1本のハリに3~5匹を房掛けにすることでアピールできるし、イワムシは5cmくらいにカットして、ハリスまでたくし上げるようにするとアピール度が高まる。

カレイの釣り方
カレイを釣るときの留意点を2点紹介する。1つは時合いの捉え方だ。カレイは目の前にエサが漂っていても、時合いにならないと捕食行動をとらない。カレイの時合いの見極めは難しく、潮の動き始めなどの「変化のタイミング」とよく言われる。
確かにそのセオリー通りに時合いが訪れることもあるが、必ずしもそうではなく、きれいな潮目が消えて干潮の潮止まりで、全く海に変化のないときに突然捕食スイッチが入る経験を何度もしている。
カレイ釣りの場合は、一日その場所で粘る覚悟で釣りをすることが大切で、2~3時間やって釣れないからといって場所を変わっていては、なかなかカレイの顔を拝むことは難しい。

もう一点はポイントの見極めだ。カレイは群れで行動する性質があり、1匹釣れたらその周辺には何匹かのカレイが固まっている場合が多い。
昨年の春、福島県いわき市小名浜港に釣行した時、午前中は全くアタリがなかったのに昼すぎに突然時合いが訪れた。しかし4本並べたサオのうち、カレイが釣れたのは右側の三脚の2本だけで、少しポイントを変えたサオには全くカレイは釣れなかった。この時は1時間ほどの短い時合いで40~48cmのマコガレイを4匹釣ることができた。
このようなカレイが集まる場所は、港湾工事などで地形の変化がない限り毎年変わらないので、このような場所をどれくらいたくさん知っているかが、カレイ釣りでコンスタントに釣果を上げるコツといえるだろう。季節は春。うららかな陽気の下で思い切りフルキャストし、春の大型花見ガレイを狙ってみてほしい。
<週刊つりニュース中部版 長谷川靖之/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2020年4月3日号に掲載された記事を再編集したものになります。