釣り具の中でも実は重要ながら持っていない人が多いアイテムが『タモ』。いざというときに持っていなくて大物を逃がした…なんて経験をした人も居るはず。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
タモの役目
釣り具の中では大きなアイテムであるタモ。魚が掛かった時に水中ではやり取りができても最終的に、波止や船の上に魚を上げる時、ハリスが魚の重量を支えられずに切れてしまったり、魚の口が切れて逃げられたりするのを防止するため、水面に浮かせた魚をすくい取るのが主な役目だ。

ほかにも、海に落としてしまったものをすくい取る事もできるので、万一、「キャップなどが落ちた」、「仕掛けが切れてウキが流れてしまう」など、小さなアイテム消失防止にもなる。
タモを構成する3つのパーツ
タモとひと口に言っても、パーツは大きく3つに分かれる。
タモの柄、タモ枠、網だ。
これはほとんど、どんな釣りに使うタモも同じような構成になっている。このパーツの大きさ、長さ、素材などの組み合わせの違いで各釣りジャンルにあったタモができあがるのだ。
タモの柄について
タモの柄の変化としては、全長、仕舞い寸法(仕舞った時の長さ)、ベルトやフックなどが挙げられる。
全長はもちろん、タモの柄を伸ばした時の長さである。これは釣り場の足場の高さ、つまり海面から釣り座までの距離によって決定する。要は柄が短すぎて、水面まで届かなければ、魚がすくえないので意味がないと言う事になる。逆に柄が長すぎると、伸びすぎてすくいにくい・・・と言う事に。
波止や磯は長さのパターン必要
柄の長さでいろいろな長さが必要な釣りと言えば、波止や磯。これは釣り場によって水面と釣り座の距離がマチマチだからだ。逆に船やイカダ・カセでは比較的、釣り場による大きな差がないため、ほぼ1種類を持っておけば事足りる。
ちなみに船釣りの場合は、船に常備されている事が多いのであまり自分で持っていく事は少ないだろう。
各釣りでの柄の長さ目安
具体的に言えば、イカダ・カセでは柄の長さが1m前後、ヘラブナで1~2m、エリアトラウトでは30cmほどで十分役目は果たせる。波止や磯では4~5mを標準として、足場の高い場所では6~7mの柄を必要とする事がたまにある。
特にケーソンなどの波止では、柄が足りなければ磯のようにちょっと下へ行ける場所を探しておく・・・と言った事ができないので、事前にどの程度の柄が居るのかを、近くのエサ店や渡船利用なら渡船店に聞いておく事をオススメする。
波止釣りの場合、必要な長さ全てを揃えようとすれば費用も掛かるので、まずは5mの長さを目安として、釣行場所をチョイスしていく作業も必要だ。自分のホームグラウンドに合った柄を揃えると良いだろう。
仕舞い寸法について
次に柄の仕舞い寸法について。これは特に波止で選択肢が数多く出てくる。と言うのも、波止釣りと言ってもスタイルが非常にバリーエーション豊富だからである。

たとえば、フカセ釣りのように1度釣り座を決めてしまえばほとんど動かず釣りをするなら、タモは釣り座の横に置いておくので、仕舞い寸法が少し長い方が扱いやすい。また、同じ長さでも仕舞い寸法が長いほど、継ぎ数が減る事で柄自体がスリムで軽量化した物が使える。
落とし込みやルアーなど、波止上を動き回る釣りの場合は常に身につけておきたいので、仕舞い寸法の短い柄のタモを腰に差すなどして、両手を使えるようにできるタイプがオススメだ。
トラウトやアユ、渓流のタモなどは柄がずいぶんと短いので、最初からタモ、柄、網が一体化した軽量なタイプがあるので利用したい。
タモ枠について
タモ枠は素材、形状、仕舞い方などに違いがある。
タモ枠の素材
素材としてはアルミ、ステンレス、チタンなどがあり、それぞれに一長一短がある。アルミ製は軽くて安価だが、破損しやすい。ステンレスは強いが比較的重たい。チタンは軽量で強いのだが高価である・・・など。かなり価格差があるので、自分の予算に見合った素材を選ぼう。
タモ枠の形状
形状は円形をメインとして、対象となる魚によって少しずつ形に違いがある。まずは円形の枠を考えれば良いだろう。また、同じ円形でも、折りたためるタイプと1本物と、呼ばれる折りたためないものがある。折りたためないと必然的にかさばるが強度が高く軽量、折りたたみ式は関節部分が破損したり錆で固着してしまったりとデメリットもあるが、持ち運びが便利だ。

枠の大きさもいろいろある。基本的に36cm、40cm、45cmとある程度規格が決まっているので、あまりに狙うサイズ感違うと格好悪い(笑)が、魚が入りきらない大きさでは困る。
タモ網について
タモ網の素材はテグス(ナイロン)、綿糸、ラバーなど。もっとも多いのはテグスで古くは自分で編む人もいた。

リリース前提ならラバー
最近はラバー製のネットも数多く発売されているが、エリアトラウトやブラックバスなどリリースが前提の場合に、魚を傷めにくいので利用する人も多い。ただし、ラバーのネット部分が重くなるので、あまり長い柄の先に付けるとそれだけで重たくなり扱い難くなるので注意。長い柄の先に付ける場合は、できるだけ軽い(薄い)ラバーを選ぶ事。

長い柄にはナイロン
磯や波止で主に使われるのがナイロン製の網。こちらはテグス自体が細いので水抜けもよく、大きめの魚をすくいやすい。また、軽量なので長い柄の先に付けるネット素材として扱いやすい。それに何と言っても安価で、種類も多い。
選択肢としては網の目を見てみたい。目が細かいほど小さなものまですくえるが、針やフックが網に引っかかる事も多くなる。大きな目なら大物はすくいやすいが、小さな物はすくいにくい。
釣り物とタモの組み合わせ
ここまで釣りに使うタモ選びの観点を紹介してきたが、具体的に釣りジャンル別の比較的メジャーに使われている組み合わせを紹介しておくので参考にして欲しい。
磯釣り・・・柄の長さ5m、アルミ枠(40cm)、ナイロン製
波止釣り・・・柄の長さ5m、アルミ枠(36cm)、ナイロン製
イカダ・カセ・・・柄の長さ1m、木製、アルミ枠(36cm)、ナイロン製
エリアトラウト・・・柄の長さ30cm、アルミ枠(36cm、変形も多い)、ラバー製
ヘラブナ…柄の長さ2m、木製枠(細手のアルミも)、綿糸など
と言った具合だ。ただ、同じ釣りジャンルでも釣り場や狙う対象魚の大きさなど、地方でもかなりかわるので、基礎的な知識を把握しつつ、釣具店などでスタッフに相談してみるのも良いだろう。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>