釣友と4月15日、伊東市にある城ヶ崎にカゴ釣りに向かった。珍種「ミナミメダイ」を釣り上げ、その後、大学で標本にすることになった。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・永井航)
当日のカゴ釣りタックル
予定ではカゴ釣りと磯際で小物を釣り、それをエサに泳がせ釣りをする予定だ。カゴ釣りは夜釣りのためケミホタルを装着した市販の遠投カゴ釣りセット。
仕掛けはその場で4号ハリス2mにチヌバリ2号で作った。タックルは振り出しの投げ竿にカゴ釣り用スピニングリール。釣友は磯竿4号に汎用スピニングリールという適当具合。わざわざ言わずとも分かるだろうが、2人とも普段はカゴ釣りは全くやらない。仕掛けもタックルも「サバくらいなら釣れるだろう」という安易な計算である。
泳がせ用の小物釣り
まずは泳がせ用の小物釣りにはイシダイ、ベラ、カワハギ対応の太軸の小物五目仕掛けを使った。多くの反応がある訳ではなかったが、たまに来る反応を乗せるとイソカサゴがヒット。小型のカサゴの仲間だ。背鰭には毒があるため注意だ。

この魚について私は知っていたが見慣れない魚、特にカサゴの仲間で種類が分からない場合には、直接触れないようにするのが無難だろう。釣友の泳がせ竿にはウツボがヒット。ウツボが出たことでいったんカゴ釣りに専念することにした。
釣友にスミヤキ&クロムツ
先にカゴ釣りをスタートさせた釣友にスミヤキがヒット。普段は深海に棲息する魚だが遊泳力が高く、稀に陸からでも釣れる魚だ。サイズは35cm程度だったこともあり、スミヤキはリリース。硬い小骨が多く身が薄いが美味な魚だ。良型が釣れたら美味しく食べてみて欲しい。
2人で並んで同じタナで同じ仕掛けなのに、釣友には30cm近いクロムツや先ほどと同じサイズのスミヤキがヒット。一方私にはハタンポやクロホシイシモチのみ。
ウキを沈めたのは本命鯖サバ?
ポツリポツリと魚が釣れて飽きはしないが嬉しくはない。釣友は余裕な表情で休憩を取るが、こちらにそんな余裕はない。その焦りが通じたのか私のウキが勢いよく沈んだ。
「サバか!」と期待が高まる。そこまで走りはしなかったが暴れる感触を楽しめた。釣り上がってきた魚のシルエットはサバ。サイズは30cmちょいか。
ハリを外すために魚をライトで照らしギョッとした。私だけでなく釣友も同様だ。サバだと思った魚は見たこともない魚だ。名前が分からないだけでなく、何の仲間か想像もつかない。
私は道路1つ渡れば海・・・という所にずっと住んでいて、大学では海の生き物について専攻していた。海や海の生き物の知識においては多くの釣り人よりも遥かにあると自負しているが、全く分からない事に驚きと悔しさが出た。
40cm超のサバは手が滑り・・・
とりあえず、クーラーに魚を収めて釣りを再開。再びウキが沈み、今度は40cmを超えているであろう大サバだ。写真を取ろうとサバを持ち上げた所でサバが暴れた。サバの粘膜で手が滑り、サバは海まで帰っていってしまった。これは悲しい。
サバの回遊はこれからと信じて、ひたすらに釣りを続けたが朝マヅメは終了。

珍種「ミナミメダイ」
クーラーに収めた謎の魚は写真を撮り、SNSに上げてみると、有力な情報が一つ得られた。その情報から自分で調査を行った。また東海大学海洋学部に魚の同定(種の判別)に利用できる魚の特徴と写真を添付し問い合わせを行うと、「ミナミメダイ」という珍種であると判明。
また同大学の先生に解説を頼んだところ、ミナミメダイの生息水深は不明であり、日本産魚類4000種以上が掲載されている「日本産魚類検索 全種の同定」にも、生息水深については詳細な記述がされていない。採集例自体が少ない非常に珍しい種類である・・・という解説をしてもらえた。
東海大学で標本に
今回はカゴ釣りをしていたため、魚が釣れた水深まで分かるとても貴重な例であるようだ。魚は大学側の要望もあり、東海大学海洋学部に標本用として譲渡することになった。
後日、標本となったミナミメダイの画像が送られてきた。ちなみにだが、ミナミメダイは恐らく美味しく食べることができるだろうという事だ。謎の魚の正体が判明しスッキリした。

さらに大学機関に標本として譲渡できたのは非常に名誉な事と思うが、本命の大サバは釣果自体はあったがまだまだ数は出なさそうだ。ポイントや回遊を外しただけ・・・という可能性もあるため、また機会を見つけて釣りに行きたいと思う。
<永井航/TSURINEWS・WEBライター>
▼この釣り場について城ヶ崎
所在地:静岡県伊東市