瀬戸内や和歌山エリアで使用されている『チョクリ』仕掛け。全長10m以上でハリ数10本以上とちょっと変わった仕掛けです。

今回は、その扱い方について解説します。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・丸山明)

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チョクリ仕掛けとは

チョクリ仕掛けの正確な語源はわかりません。関西弁で「おちょくる」という言葉がありますが、これは”からかう”や”茶化す”という意味合いであり、人を小馬鹿にすることです。短いハリスで、ハリにはカラフルな薄いビニール、これで魚を釣るのが、「おちょくる」というのかもしれません。

サビキ仕掛けは、全国的な広まりはあるでしょうが、和歌山から瀬戸内海エリアが主たる釣り場でしょう。まして、チョクリになればこのエリア限定かもしれません。

サビキとチョクリの違い

サビキとチョクリ仕掛けは似ている仕掛けですが、違いがあります。一般的にサビキ仕掛けは、疑似餌がサバ皮などが基本で、ハリスは40cm前後です。対して、チョクリ仕掛けは、疑似餌は薄くカラフルなビニールで、ハリスは10cmと短いです。これが、主だった相違点です。

ハリ数10本&全長10mの『チョクリ』仕掛けの扱い方 サビキとの違いは?
疑似餌の違い(提供:WEBライター・丸山明)

ハリ数、仕掛けの全長などは、ともに多種多様です。チョクリ仕掛けのハリスが僅か10cmほどと短いのは、積極的に動かして誘いを入れても絡まないようにするためです。

ハリ数10本&全長10mの『チョクリ』仕掛けの扱い方 サビキとの違いは?
ハリス長の違い(提供:WEBライター・丸山明)

兵庫県播磨灘は、県条例で船からの釣りでのまきエサは禁止されています。だから、オキアミを使った釣りができないという事情もあり、タイはサビキやチョクリ、そしてタイラバで狙います。

チョクリ釣りの対象魚

播磨灘でチョクリ仕掛けで狙っているのは、タイに青物です。和歌山だとさらにイサキやアジなども対象でしょう。とにかく、おいしい魚を釣ります。

相手の力具合によってハリスの太さを変えますが、青物はそんなにに神経質にならず頑丈一点張りで攻めます。秋のシラスイワシの季節になると、シラスをたっぷりと食い、太ったハマチ(イナダ)が釣れます。

活性の高い群れに当たれば鯉のぼりのようになり、5本バリに5匹のハマチが掛かると、ブリほどの引きはないですが、その重みはとんでもない重みです。青物は、群れがいれば食うので、釣り船などを見ていると、全員のサオが一気に曲がります。

一方、タイは細めを使い、2~4号が主体です。そしてマダイは、さすがにタイで、鯉のぼりのようにはなりません。しかし、サビキ仕掛けにもチョクリ仕掛けにも反応を示し、なかなかの型物が食ってきますから、楽しい釣りです。

チョクリ仕掛けの長さ

チョクリ仕掛けは、魚の遊泳するタナを広く探るために長くなっています。14m以上の長いのもありますが、8~10mが平均的です。青物狙いなら、播磨灘では底から5~8mまでが通常の捕食帯。長い14m10本バリを半分にしても7m5本バリで十分にカバーできます。

1枚の仕掛けが2回分というわけです。

しかし、タイ釣りとなるとタナの変化が大きく、10mの仕掛けはその長さの利点を生み出します。

ハリ数10本&全長10mの『チョクリ』仕掛けの扱い方 サビキとの違いは?
全長14m超の仕掛けも(提供:WEBライター・丸山明)

チョクリの釣り方

チョクリ仕掛けは積極的に動かしても絡まない短いハリスですから、言い換えれば「動かす」ことが基本です。着底後ゆっくりと巻いたり(毎秒ハンドル1回転)、サオを上下させたりするのが、探りと誘いの動きです。通常、リールを巻きながらタナを探るようにして釣ります。

青物のアタリは、ゴンと来てハリ掛かりすればサオが突っ込み、あとは力仕事です。

一方、タイの場合は、繊細です。まず、グングングンというようにビニールの端っこをくわえてきます。アワセや違う動きをしたら放してしまいますので、同じスピードで巻き続けます。グングングンというのが力強くなったら、ハリ掛かりです。タイラバのそれに似ています。

仕掛けの扱い方

ハリスが短いので、同じ全長、ハリ数のサビキ仕掛けよりは多少扱いやすいですが、全長10mで7~8本のハリ、絡めたらなかなか解けず、大事な短い時合いを逃しかねません。5m程度の仕掛けとは、やっかいさが違います。

取り込み時の注意

仕掛け上端まで巻き上げ、サオを置き、後は手で慎重に取り込みです。先端はまだ10m先ですので、ゆっくりと絡ませないようにします。

後述のマグネットがあれば、ハリを張り付けることで絡みませんが、無い場合は、コンテナなどを利用します。床に仕掛けを置いたら後々面倒です。

青物狙いならば6号以上のハリスを使用するので、まず心配のない力仕事です。2.5号、3号を使うタイの場合、サオとドラグの緩衝がなくなる手での取り込みは、ハリス切れ要因のひとつです。お気を付けください。

投入時の注意

長くハリ数が多いので絡みと手にハリが刺さらないよう注意する必要があります。オモリを投入して下から順序だてて仕掛けを沈め、仕掛けの投入完了で、サオを持ち底を取ります。最初は戸惑うこの長い仕掛けですが、サビキ仕掛けに比較してハリスが短いので、扱い慣れが出てくれば何とかなります。

チョクリ釣りに便利なグッズ

チョクリ釣りに役立つグッズを紹介します。

マグネット

必須アイテムではないものの、かなりの推奨アイテム。取り込んだ順番にハリをペタペタと張り付けておけば、まず絡みません。投入時は、オモリを投げれば順番に仕掛けが勝手に繰り出され、サオを持って構えていればよいので、かなり便利な代物です。

ハリ数10本&全長10mの『チョクリ』仕掛けの扱い方 サビキとの違いは?
快適に釣るにはマグネットがほしい(提供:WEBライター・丸山明)

仕掛け巻

スポンジゴムの仕掛け巻です。サビキ仕掛けのサバ皮は、一回水に入れて乾かすと反り曲がり再利用ができないですが、ビニール疑似餌のチョクリ仕掛けは再利用可能です。短時間使用のものは再利用が可能ですし、長い青物用を半分にカットした場合にも使えます。ひとつあると、便利です。

ハリ数10本&全長10mの『チョクリ』仕掛けの扱い方 サビキとの違いは?
再利用や仕掛けの保管に仕掛け巻が便利(提供:WEBライター・丸山明)

ボートで試せるチョクリ釣り

チョクリ釣りになじみのない方も多くいらっしゃるとは思います。乗合船ではできませんが、ボート釣りならば試してみてください。外資系大手通販サイトで普通に売っています。ハマチの群れの中に放り込んで、鯉のぼりになると何が何だかとにかく面白いです。

<丸山明/TSURINEWS・WEBライター>

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