高知県の水族館で「ダツ」をモチーフにしたダーツのキャンペーンが話題となっているのですが、実は本物のダツもまるでダーツの矢のように鋭く、危ない魚として知られています。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
「ダツのダーツ」でキャンペーン
ユニークな取組みが多いことで知られる高知県の桂浜水族館が、魚の一種である「ダツ」を使ったキャンペーンをはじめたことが話題となっています。
「ダツdeダーツ」と名付けられたこのキャンペーン。

新型コロナウイルスのため県外からの客足が減る中、県内の移動や観光を応援しようと始めた取り組みとのこと。このキャンペーンに合わせ、当水族館では初の「ダツの飼育」にもトライしているそうです。(『ダツ型ダーツで入館料半額に 高知・桂浜水族館』朝日新聞 2020.8.24)
実は怖い「殺人魚」ダツ
今回ダーツの矢として注目されたダツですが、一般的な知名度はさほど高いとは言えません。しかしダツは実は、サヨリ、サンマ、トビウオ、メダカなどを含む「ダツ目」の代表種で、近縁種を含めると世界的に分布している魚です。
サヨリを大きくしたような細長い体型をしており、尾鰭をすばやく振って高速で泳ぎ回りながら、おもに小魚を捕食する獰猛なフィッシュイーターです。エサとなる小魚のようにキラキラしたものを追いかける習性があるようで、光を追う性質があります。

その性質のために、夜間にライトを持って作業をしている漁師やダイバーに向かって突進してきたダツが突き刺さってしまうことがあり、それによる死傷事故も発生しているといいます。ダツが多く棲息する南方の海ではサメと並んで恐れられており、夜にライトで海を照らすことを強く慎む向きもあるといいます。
食べると美味なダツ
そんな恐ろしいダツですが、実は食べるとなかなか美味しい魚です。いかつい風貌からは想像がつかないきれいな白身で、高級魚であるサヨリにも似ています。脂はあまり乗らないですが、身の味がしっかりとあり、様々な料理で楽しめます。

ダツを食べたことのある人が口を揃えて言うのが「骨が青くて気持ち悪かった」というもの。確かに中骨はきれいな水色で食欲のわかない色をしていますが、さばいて身だけにしてしまえば気になることはありません。鮮度が良ければ刺身にして爽やかな味わいを楽しむのも良いですし、唐揚げにすると身がもちもちとしてとても美味です。

本来は南寄りの外洋に多く棲む魚であるダツですが、温暖化に伴い生息域が北上しており、最近では東京湾でもよく釣れる様になっています。見た目が怖い上、釣り上げると尖った吻を振り上げて暴れるために嫌われていますが、怖さに惑わされずに持ち帰ってみることをおすすめします。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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