投げ釣りで釣果に直結する「遠投」。今回はスポーツキャスティング大会での優勝経験もある著者が、遠投100mの壁を超えるコツを紹介します。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・松尾幸浩)
投げ釣りとスポーツキャスティング
投げ釣りの楽しさは魚を釣ることが一番ですが、釣るための仕掛けを遠くまで飛ばすスボーツ性も魅力の1つではないでしょうか。そのために生まれたのが「スポーツキャスティング」です。これは、投げ釣り用のタックルで指定されたオモリやラインを使い、陸上の特設コートで飛距離を競う競技です。
私もスポーツキャスティングを楽しんでおり、ジャパン・ワールドキャスティング大会の一般の部(ミチイト3号、チカライトあり、オモリ25号)で192.45mの最長をマークして優勝。また遠征した中華民国の全国遠投競技大会では、第4種目(ミチイト2号、チカライトあり、オモリ15号)で211.50mをマークして優勝。また第3種目(ミチイト5号、オモリ15号、チカライトなし)では最長154.44mをマークして日本新記録も樹立しました。
これは全て競技用のタックルを使用しての記録ですが、練習してバランスよく投げればちから糸なしの5号ラインだけでも15号オモリを150mも飛ばすことができます。
「遠投」を目的として練習を続けた成果ですが、投げ釣りの中で、遠くまで飛ばすことができれば探れる範囲が広がり、優位性になるのは間違いありません。50mしか投げられない人には100m先の魚は釣れませんから…。

遠投可能なタックル
まずは飛ばせるタックルを用意しましょう。最初から硬調子のサオや高価な投げ専用リールまでは要りません。100mの壁を突破できるように、サオはオモリ負荷25~30号クラスで、リールも中級品で練習して下さい。
ライン選定が最重要
飛ばすにはラインが最重要で、細いほど飛んでいる時の空気抵抗は少なく、横風などの影響も少なくなり、飛距離が出ます。ただ、細くなるほど強度は低下しますから、最近流行のPEラインを使うのもいいでしょう。
砂浜から狙うキス釣りではミチイトが0.3号まで細くなり、カレイ釣りでもPEラインの1.5号が使われています。
抵抗で飛距離は落ちる
スポーツキャスティング競技で使用する競技用オモリには、仕掛けやエサは付いていませんので抵抗は少ないですが、キスの数釣り仕掛けのように多点10本バリにエサを付けると抵抗も大きく、カレイ釣りのマムシやユムシでも抵抗が大きくて飛距離は落ちます。
オモリも最近は高比重のタングステン合金が使われ、線径を細くして空気抵抗を軽減されており、飛距離アップが期待できます。抵抗の大きい円盤オモリや発泡オモリ等では思ったほど飛びません。
前置きが長くなりましたが、これから投げ釣りの「オーバースロー」での遠投方法について紹介していきたいと思います。
オーバースロー
この投法は投げ釣りの基本的動作で、コントロールがつけやすいことが特徴です。これをマスターすれば、投げたい方向、狙ったポイントに投げることができるようになります。
動作自体は、剣道の相手の面を打つ「メン!」という竹刀を後ろから真っ直ぐに振り下ろす動作に似ています。
構え方
構え方は図1のように、サオ先を後方に向け、オモリを地面にスレスレぐらいに浮かし、サオ先のトップガイドからオモリまで1mぐらい取ります。オモリを浮かせるとサオに乗るオモリの重さが分かりますので「サオに乗る」ということが確認できます。

投げる動作ではサオをオモリの重さで曲げ、その曲がった反発でオモリを飛ばすことになります。よく飛ばす人は、サオを大きく振り(振り幅が大きい)、スピードも速く、大きくサオを曲げることができるので、反発も大きく飛距離が出ます。
ちなみに、軟らかいサオでは曲がりますが、反発が弱すぎてあまり飛びません。逆に硬すぎるとサオが曲げることができず、反発を生かすことができません。
これで、サオは地面と並行になって構えは完成。
投げる体制
次は投げる体制に入ります。図2のサオ尻を持つ右手(私はサウスポーなので、右投げは左手となります)を真っ直ぐに伸ばし、リールを持つ左手は耳の後ろに置き、リールの位置はサオの上向きにきます。

そして、中指と薬指でリールを挟んで持ちます。次にリールのベールを起こして、チカライトは人差し指の第一関節付近に挟み、サオ側に押さえます。ここで、人差し指を浮かさないように注意しましょう。サオを強振するとチカライトが途中で外れて違う方向に飛ぶこともありためです。
キャスト前には、軽い準備運動をするのがいいでしょう。タックルをセットしたらサオを振る範囲以外も人や障害物がないか確認して下さい。最初はオモリも全く違う方向に飛ぶことがよくあり、できるだけ広い場所で練習するのがいいです。
なお、リールを持つ手には人差し指に図3の指サック(フィンガープロテクター)を使用します。サオを強く振るとチカライトを掛ける指が切れることもありますから、保護のためにも使用して下さい。

いよいよキャスト
ここでもう一度、オモリ、サオとリールの位置を確認し、身体は前方を向いて、目は前方45度ぐらいの高さを見つめます。さぁ、いよいよキャストです。
サオを後方から前方へと真っ直ぐに「メン!」の要領で振り下ろします。図4のサオを止めるのも45度ぐらいが理想です。

ここで難しいのが、チカライトを離すタイミングです。サオの曲がり方にもよりますが、大体はサオが頭上にくるぐらいが一番いいようです。これはもう練習しかありません。早すぎると「テンプラ」といって、真上方向に飛び上がります。遅いと低く飛び、ライナーになってしまいます。何度もサオを振って、ベストポイントを指が覚えるように練習しましょう。
上級編:さらに遠投するために
ここでこの投法をマスターすれば、いよいよオーバースローの上級編です。
図5のようにサオ先を地面に付け、オモリは身体の方向に1m~1.5mほど真っ直ぐになるようにセットします。最初の投法と違うのは、サオが斜めになるのと、オモリが手前にくるので、振り幅が大きくなることです。

必然的にかなりのパワーが要るので、上手くサオを曲げると2割は飛距離がアップします。
ここでもう少し上級者向けは、身体を投げる方向に垂直になるように構えることです。サオの向きやオモリの位置はそのままですが、左足に重心を乗せ(右投げは右足に)キャストと同時に腰を右側にひねり、右足を斜め右前に動かして、身体が正面を向いた時には右足に重心が移動します。要は野球のピッチャーの動作に似ています。これで腰が入り、手振りから身体全体でサオを振りますから飛距離はよりアップします。
そして、次回に紹介するのがオーバースローから発展し、より飛距離が伸びる、真の遠投の基本となる「スリークウォーター投法」です。
<松尾幸浩/TSURINEWS・WEBライター>
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