アジングではスピニングリールの重量が重視される。一般的に現代アジングで最軽量は145g、許容範囲は200g程度までだが、その中間にも深い話がある。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・井上海生)

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アジングリールの基本重量

1000番台2000番台で200gまで、これがアジングのスピニングリールの重量だ。スピニングも一昔前と比べると本当に軽くなった。私の印象では、2008年から1000番台は165gくらいが急に出てきたような印象がある。渓流用のモデルで、巻きフィーリングも溜息が出るほどだった。

150g前後、ここまで軽量化すると、実感的にも相当軽い。エントリーモデルでは、185g台が実現されている。よって、200gまでが許容範囲とは言いながら、150~185gまでの間に収めたい。しかし率直なところ、私はある程度以上、軽さを追い求める必要はないと思う。

私が知るもっとも軽いスピニングというと、145gの1000番リールだ。確か2000番でも145g。1000番と2000番の違いは主にスプール径とハンドル長くらいだが、それはほぼ問題とならない数字なのだろう。小数点以下。145g、これが2021年1月時点では最軽量のはずだ。

ちょっとマニアックな『アジング』の話:「軽量リール=正義」は本当?
145gの1000番最軽量リール(提供:WEBライター・井上海生)

ちなみにこの145gスピニングリール、アジング、管釣りモデルの特別機種とメーカーからそう定義されている。フィネスの世界では、何もかもが軽く、これが基本だ。サオも50g以下とあわせると、タックル全体で200g以下が実現できる。

果たして「軽さ」は正義なのか

アジング用スピニングリールは軽い方がいいのは確かだろう。私も、たとえばギア比など他の要素も含めて理想的で、欲しい機種が150gならば飛びつく。だが、実は、非常に軽いリールは、それだけで全面的にオーケーといえないところがある。

「軽さ=感度」は誤り

よく「軽いリールの方がアタリがとりやすい」といわれるが、これは間違いだ。スピニングリールの軽さと、アタリの伝わり方は、単純に使う分にはほとんど相関しない。

軽いリールは、「往々にして」ハンドル周りが肉抜きされている。そのために反響感度が上がって、小さなアタリをとりやすいのだ。それも巻きアタリ、触りアタリ(リールのハンドルノブを触っているときのアタり)に限る。

つまり仕様としてハンドル周りが肉抜きされているスピニングリールで、それを触るか巻くかするときにアドバンテージはある。感度が上がるとは言えるが、単に軽さだけで感度向上という仕事をするかというと、それはない。

魚のアタリは最初に何に伝わるかといえば、ラインか、ラインが触れるサオ先だ。

だから非常に細いラインを使い、よりピーキーで、チタン製などのガイドを装着したサオが強い。

軽量ベイトリールはアタリが鮮明

「リールの軽さ=感度」といえるのは、どちらかといえばベイトリールだろう。ベイトリールこそ軽い方が、確実にアタリをとりやすい。というのも、ベイトリールは基本的に、イトがスプールと直である。だからアタリはダイレクトにリールに伝わる。そのリールが軽い方が、アタリは鮮明になる。

ベイトリールは常にどこかリールの一部を触りながら釣りをするので、リールでアタリを感じる。サオと同等にリールの軽さも大事だ。

重視すべき「バランスポイント」

「バランスポイント」という言葉がある。アジング界でよく使われる専門用語だ。

バランスポイントとは、サオにスピニングリールを装着して、下の写真のように平坦な場所に立って指先に乗せて水平にしようとしたとき、どこでサオが水平になるか、その「点」である。そこでグリップを握る。

私の場合は、大体サオを持つと自然と中指を当てる位置にバランスポイントがくる。そこで握ると、薬指までリールフットの上、小指だけリールの下に来る(ちなみに、この持ち方をする人はあまりいないらしい。

大体リールフットの上に指3本、下2本だ)。

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バランスポイントの見方(提供:WEBライター・井上海生)

ロッドのサオ先が上向く

こうすると、サオ先が自然と上を向く。ここが大事なのだ。アジングはロッドを立ててやる釣りである。ここで手首の力を使って故意に上げようとすると、非常に手が疲れる。だからバランスポイントで握って、サオにすっと上を向かせるのだ。

フロントヘビー(サオ先に重みがくること)になると、アジングはやりにくい。小さなアタリに対し、立てたサオ先がちょっとだけ入って、アジの口元で動いたハリが自動的に口に掛かる(あるいは軽いアワセを入れる)、これが現代アジングだ。

ダブルハンドル&バランサーもアリ

やりこみ派はとことん気持ちいいバランスポイントを追求して、等速巻きしやすいダブルハンドル化し、左右の重さをシンメトリーに近づけるリールバランサーをつけて重量調整して、なるべく軽量のリールを、ちょっと重くして、釣りをしやすいタックルを作る。

このようなアジングマニアは、実は「最軽量」のリールにはこだらわらない。それよりは細かいギア比とドラグと、何よりサオの仕様を気にする。「チタンガイドはノイズが増えるから使わない、それよりは……」などの哲学があるアングラーもいる。

バランスポイントが気持ちよい場所で取れれば問題ないので、アジングのミーハー(失礼ですが)が追い求めがちなアンダー200gというタックル重量など、まったく意にも介さない……ただ、スゴい人のタックルは、概してやはり相当軽いのだが。

ビギナーにも200gアンダーのすすめ

いろいろと語ってきたが、まとめて言うと、ビギナーもやりこみ派もやはり、200gアンダーのリールを使った方がいい。

185gというのが、一つの目安だと思う。これくらいのリールが、市販されている大体のアジングロッドとバランスがとりやすいのだ。

ちょっとマニアックな『アジング』の話:「軽量リール=正義」は本当?
市販価格8000円程度の1000番リールでも185g(提供:WEBライター・井上海生)

<井上海生/TSURINEWS・WEBライター>

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