サビキ釣りの定番ゲストのサッパとコハダ(コノシロの幼魚)。骨が多いことやニオイが嫌でリリースしてはもったいない。

おいしく食べるためのノウハウを紹介します。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター菊池英則)

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サッパとコハダ

防波堤でカゴにオキアミなどのコマセを詰めて魚を寄せ、ビニールの付いたハリで回遊魚を釣る「サビキ釣り」。メインターゲットは、アジやサバ、イワシなどですが、群れが来ないと食い渋ることもしばしば。そんな状況下でも小物ゲストは好調のこともよくあります。

中でもサッパやコハダは、サビキ釣りで鈴なりに4点、5点掛けで釣れることもあり、初心者でも釣果確実なターゲットと言えるでしょう。しかし、関東地方では、サッパはゲスト魚扱いで、たいていリリースか水汲みバケツに放置される運命になりがち。

ゲスト魚レシピ:サッパの「南蛮漬け&酢漬け」 臭み対策は下処理が肝
バケツの中のサッパ(提供:TSURINEWSライター菊池英則)

ちょっと待って!サッパは臭くて骨も多くて食べられない?いやいや、サッパは、実は西日本では重宝される魚。岡山県名物の「ママカリ寿司」のママカリとはサッパのこと。あまりに美味しくて、隣の家に飯(まま)を借りにいくのが語源になったとか。コハダも、江戸前の寿司ネタとして関東では重宝されています。実はきちんと下処理をして食べると実においしい魚たちなのです。

釣り場での下処理

こうした小魚は臭いがきつくて、そのまま持ち帰っても、台所がくさくなり、家族に文句を言われがちです。そこで提案するのが「釣り場での処理」。一工夫で、新鮮かつ臭わず持ち帰れるのです。

その処理ですが、ズバリ、残酷ですが、生きたまま頭を落とすことです。ハサミで頭を落としたら、そのままお尻まで切り開いて内臓も取ります。そして水汲みバケツで汲んだ釣り場の海水で洗ってしまうのです。

ゲスト魚レシピ:サッパの「南蛮漬け&酢漬け」 臭み対策は下処理が肝
下処理したサッパとコハダ(提供:TSURINEWSライター菊池英則)

こうした下処理をするだけで、家での手間も省けます。

家での下処理

釣果を下処理して家に帰ったら、まずはウロコを小さな包丁か、無い場合はペットボトルの蓋でガリガリ落として、よく洗います。その後、台所の排水口を一度、熱湯を流して消毒すると、臭いが残ることもありません。アジやサバなどをさばいた場合でも、内臓に一度熱湯をかけてからゴミ袋に捨てることで、ゴミ収集日まで悪臭に悩まされることもなくなります。

調理のキホン

サッパもコハダもじっくり油で揚げると、実はそのままでもバリバリ食べられておいしいのです。コツはこんがりキツネ色になるまで揚げて、骨まできっちり火を通すことです。また、南蛮漬けや酢漬けに使う甘酢を作る時は、鷹の爪を入れた汁を一度沸騰させることで、数日間の保存ができるようになります。では、オススメレシピを紹介しましょう。

「南蛮漬け」レシピ

サッパやコハダなどの魚を、フライパンなどを使って、サラダ油でよく揚げます。キツネ色になったら、冷ますまでの時間に甘酢を作ります。ニンジン、玉ねぎ、好みでピーマンを薄く切っておきます。

甘酢は、塩ほんの少しと、多めの酢、砂糖少々、醤油も砂糖と同じ量、輪切りにした鷹の爪(いわゆる唐辛子のこと)を混ぜて味見し、場合によってはみりんを加えるなど、好みの味に整えたら、一度沸騰させて作ります。

軟らかい野菜が苦手な方は、甘酢が沸騰してから混ぜるといいでしょう。

野菜と甘酢が準備できたら、キツネ色の小魚を混ぜて味をなじませると完成です。一晩寝かせるとよりまろやかになります。

ゲスト魚レシピ:サッパの「南蛮漬け&酢漬け」 臭み対策は下処理が肝
南蛮漬け(提供:TSURINEWSライター菊池英則)

普段、魚があまり好きではない方でも、南蛮漬けにすることで魚の味が引き立ち、食べやすいようです。また、子どもたちにふるまう時は、唐辛子を控えめにすると辛くなくなります。ぜひ試してみてください。

「酢漬け」レシピ

次にママカリ寿司などに使える酢漬けのレシピを紹介します。よく、南蛮漬けでも酢漬けでも、「酢に漬けると魚の骨が軟らかくなって食べやすい」、とのコメントを目にします。確かに酢にはカルシウムを溶かす作用がありますが、科学的には魚を甘酢に漬ける程度では、骨が軟らかくなる根拠はないそうです。要は、味付けによって食べやすくなるということでしょうか。

ではレシピに入ります。まず、サッパやコハダを好みで三枚におろし(小さい場合はそのままでもいい)、水でよく洗った後、粗塩で浸けるか、濃いめの海水程度の塩水に1時間程度浸けます。

塩が染みたら殺菌を兼ねて酢で洗います。この酢はもったいないですが捨てますので、安いものを使います。そして、南蛮漬けと同じ要領で、鷹の爪、昆布の切れ端、酢、砂糖を入れた甘酢(塩と醤油は入れない)を一煮立ちさせます。酢を気持ち多めにするといいでしょう。

冷ましたら、魚を一晩漬け込んで完成です。

ゲスト魚レシピ:サッパの「南蛮漬け&酢漬け」 臭み対策は下処理が肝
サッパもコハダも酢漬けは岡山名物(提供:TSURINEWSライター菊池英則)

注意点としては、南蛮漬けと違い、魚を加熱していないので、早めに食べ切るようにしてください。手製のママカリ寿司やコハダの握りは、また格別の味わいがあります。

このように、ゲストの小魚も調理次第で高級食材に化けるのです。釣れた際はぜひ持ち帰ってみてください。

<菊池英則/TSURINEWSライター>

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