今回はチヌの釣り方について、生態や各釣法の解説を交えつつ紹介していきます。ぜひ攻略の参考にしてください。

また、釣ったチヌを食べられるかという疑問にも答えていきます。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・濱田晃行)

チヌ(クロダイ)釣り基礎知識 【生態・釣り方種類・仕掛け・食...の画像はこちら >>

チヌ(クロダイ)の生態

チヌは、あらゆるフィールドで釣りができて強烈な引きが楽しめるため、全国各地で人気のターゲットです。しかし人気がある一方で、チヌは警戒心が強く釣るのが難しいとされています。チヌ釣りに挑戦してみたものの何回やっても釣れない、という人も珍しくありません。

「チヌ」は関西方面を中心に使われている呼び名で、正式名称はクロダイです。タイ科に分類される魚で、環境適応能力が高く海水淡水問わず生息できるため、河川から沿岸部まで幅広いポイントで見かけます。また、日本全国どこにでもおり、私達にとっても非常に身近な魚の1つです。悪食性の魚で、甲殻類や貝だけでなく人間の食べ物も食すため、スイカやトウモロコシを餌として使う地域もあります。

チヌの種類

クロダイとヒレの黄色いキビレの2種類が、一般的に知られています。他にも、沖縄に生息するミナミクロダイもチヌの一種です。

チヌ(クロダイ)釣り基礎知識 【生態・釣り方種類・仕掛け・食べ方】
キビレ(提供:週刊つりニュース中部版 大宮好騎)

チヌが釣れない理由は警戒心の高さ?

チヌ釣りで中々釣れない理由として、よく警戒心の高さが挙げられます。日中は特に警戒心が高く、人影やちょっとした物音に反応して逃げてしまうほど繊細。光に当たったハリスや、仕掛けにも反応して食わないなんてこともあります。

釣り場では、足音を立てないようにする、人影を落とさない、着水音に気を使うといった気配りが必要です。

チヌ釣りの時期

チヌ釣りは、基本的に年間通して釣果が期待できる魚になります。中でもハイシーズンと呼ばれる時期は、乗っ込みにあたる3月から5月と活性が高くなる7月から9月です。

乗っ込みシーズンは地域差あり

乗っ込みとは、春になり産卵を迎えた魚が、深場から浅瀬に上がってくる行動です。乗っ込みシーズンは、海水温の影響をうけるため地域差がありますが、大体3月ごろから始まり5月まで続きます。

チヌの釣れる時間帯

チヌの釣れる時間帯は、完全に日が沈みきった夜間と朝夕マヅメになります。理由としては暗い時間帯は警戒心がグッと下がるためです。エサを求めて浅場に差してくるようになり、ゴロタ場や砂地などの甲殻類と小魚が集まりやすい浅場は、夜の一級ポイントになります。また、釣り人も日中と比べて少なくなり、プレッシャーが低いというメリットも釣れる理由の1つです。

チヌの狙える場所

幅広い場所に生息しているチヌですが、その中でも特に狙いやすいポイントを紹介します。チヌ釣りをする時の参考にしてください。

漁港・堤防

漁港や堤防は、チヌ釣りの定番ポイントです。潮の流れに変化が出る漁港の曲がり角や堤防先端などは、チヌのエサとなる生物が集まりやすく狙い目です。後述のテトラやゴロタ等が絡むような障害物の多い堤防もチヌが居着きやすいです。

チヌ(クロダイ)釣り基礎知識 【生態・釣り方種類・仕掛け・食べ方】
流れに変化ができる場所を狙おう(提供:週刊つりニュース中部版APC・濱田晃行)

また、岸壁にイガイやフジツボが付いている堤防は落とし込み釣りでの好ポイントとなります。

河口

チヌは汽水域を好む魚なので、河口は絶好のポイント。エサとなる生物の種類も豊富で、エサ釣りでもチニングでも狙えます。石畳がある場所などは甲殻類が生息しているため、チヌがエサを求めて集まりやすいです。

チヌ(クロダイ)釣り基礎知識 【生態・釣り方種類・仕掛け・食べ方】
落とし込みやチニングはカニの存在も重要(提供:TSURINEWSライター杉浦永)

テトラ帯・ゴロタ

テトラ帯やゴロタは、チヌが身を潜めやすく住み着いている個体がいます。警戒心も低く、比較的釣りやすいうえ大型が潜んでいる可能性もあるので、積極的に狙っていきましょう。

チヌは筏釣りの定番とされています。潮の流れがよく水深もあるため、チヌの魚影は濃く楽しめるポイントです。他の釣りと違い短竿を使うのも特徴。また、チヌ以外の嬉しいゲストも釣れるのでおすすめです。

チヌ(クロダイ)釣り基礎知識 【生態・釣り方種類・仕掛け・食べ方】
筏のチヌ釣りは特に東海地方で人気がある(提供:週刊つりニュース中部版 山本太郎)

沖(船釣り)

船釣りの強みは、なんといってもポイントを選びながら釣れる点です。船頭さんが案内してくれるので自分で探す必要がなく、良いポイントに入ると何匹も入れ食いになることもあります。

チヌを狙う際の仕掛け

チヌ釣りは仕掛けの多さも魅力です。ここでは、代表的な5つの仕掛けについて解説します。

チニング

チニングとは、ルアーを使ってチヌを狙う釣り方で、複雑な仕掛けが必要ないため手軽に楽しめる点がメリット。使うルアーはポッパーやペンシルといった横に展開するハードプラグと、じっくりとボトムを攻めるワームの2種類です。

チヌ(クロダイ)釣り基礎知識 【生態・釣り方種類・仕掛け・食べ方】
チヌはルアーにも反応する(提供:週刊つりニュース西部版APC・日髙隆行)

チニングでは、3月から5月にかけては大型が、6月から9月にかけては小型の数釣りが楽しめます。


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フカセ釣り

フカセ釣りはまきエサをポイントに撃ちこんで、そこにエサを付けたハリを漂わせチヌを誘い出す釣りです。現在は、ウキを使用したウキフカセ釣りが主流になっています。ハリに付けるさしエサやまきエサに使われるエサは、オキアミが一般的です。

フカセ釣りには、ウキ止めを使わずに仕掛けを操作する全遊動と、ウキ止めを使って仕掛けを一定のタナに留まらせる半遊動の2種類があります。


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落とし込み釣り

落とし込み釣りは、堤防の際にエサを落とし込んでチヌを狙う釣法。仕掛けは専用のロッドと両軸リールを使い、先端のハリにカラス貝やイワガニといったエサを付けるだけのシンプルなものです。また、潮の流れや水深によってガン玉でタナを調整します。6月から9月にかけた暑い時期がハイシーズンの釣りです。

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落とし込みは堤防際などを探り歩く独特な釣趣が魅力(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)


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ダンゴ釣り

ダンゴ釣りは、さしエサをダンゴに包んで投げる釣り方で、別名紀州釣りとも呼ばれています。さしエサにはオキアミやボケ、コーン等を使用。キモとなるダンゴは、ヌカと砂に集魚剤を加えて作るのが基本です。また、専用のダンゴが市販で売られており、手軽に作成ができます。底を取る釣りのため、チヌが底に沈みやすい冬から春にかけてがベストシーズンです。

チヌ(クロダイ)釣り基礎知識 【生態・釣り方種類・仕掛け・食べ方】
まきエサを団子状にして釣る(提供:TSURINEWSライター杉本隼一)

ぶっこみ釣り

ぶっこみ釣りは、オモリを使い狙ったポイントへエサを送り込む釣法になります。仕掛けが簡単で大物が狙えるため、初心者の方にもおすすめです。エサはイソメ、エビ、切り身、コーンと幅広く使用可能。

チヌの活性が高くなる夏から秋にかけてがベストシーズンです。

一番釣れる釣り方は?

1番釣れる釣り方は、シーズンによって大きく変わってきます。3月の終わり頃から5月にかけては、チヌの産卵シーズンを迎えるため、荒食いを狙ったフカセ釣りがおすすめです。また、チヌが活発に動き回り底から浅場まで活動する夏は、幅広いタナを素早く探れるチニングが釣りやすくなります。

しかし、ポイントや時期によってチヌの食性も変わるので、絶対という当たりエサはありません。シーズンや釣るポイント、チヌの食性に合わせた釣り方が重要になります。試行錯誤をして自分なりの釣り方を見つけるのも、チヌ釣りの面白さです。

釣れないときに意識するポイント

チヌ釣りにおいて、警戒心への気配りは最低限行っておきたい対策です。他にも、釣り方ごとに注意すべき点がいくつかあります。

ハリスを細くする

警戒心の高いチヌは、ハリスが太い場合そもそも食ってこなかったり、食ってもハリスに違和感を覚えて吐き出したりします。そんな時は、ハリスを少し細くしてみるのも1つの手段。ハリスを細くするメリットとして、見切られにくくなることが1番大きいです。

また、細くするとアタリも取りやすくなります。ただし、当然切れやすくなるデメリットもあるため、一気に細くするのではなく段階的に落としていくやり方がおすすめです。

まきエサの量が少ない

まきエサを使う釣りの場合、まきエサの量が少ないと周囲のチヌを寄せてくることができません。また、闇雲に打てばいいわけではなく、仕掛け位置と同調するように出来るだけ一点に集めましょう。

チヌ(クロダイ)釣り基礎知識 【生態・釣り方種類・仕掛け・食べ方】
フカセ釣りではまきエサワークが鍵になる(提供:TSURINEWSライター杉本隼一)

警戒心の高いチヌですが一度捕食スイッチが入るとエサを貪欲に食べます。捕食スイッチを入れるため、しっかりとまきエサを打ちましょう。

さしエサがタナに届いていない

チヌ釣りでは、タナ取りがとても重要になってきます。チヌが居るタナにさしエサを届けてあげなければ、チヌが釣れないだけでなく外道ばかりかかることに。基本的には底取りになりますが、反応がなければ徐々に上の層へ上げていきましょう。タナが合えばしっかりと食ってくれます。

ルアーや落とし込みはマッチザベイトが基本

捕食スイッチを入れられるまきエサ釣りとは違い、落とし込みやチニングでは、マッチザベイトが基本。チヌが好んで食べているベイトから離れてしまうと、違和感を覚えて中々食ってくれなくなります。

チヌ(クロダイ)釣り基礎知識 【生態・釣り方種類・仕掛け・食べ方】
釣り場に生息してるものを考えてみよう(提供:週刊つりニュース関西・大田徹)

まずはフィールドを観察してみて、チヌが何を食べているかヒントを掴み、ルアーやエサを選択しましょう。

釣れたチヌは食べられる?

一般的にチヌは、臭みがあり食用には向いていないと言われていますが、中には美味しく食べられる個体もあります。本当に良い個体は、刺身で食べると絶品なのでぜひ食べてみてください。

チヌ(クロダイ)釣り基礎知識 【生態・釣り方種類・仕掛け・食べ方】
刺身は絶品(提供:TSURINEWSライター杉本隼一)


【釣果レシピ】クロダイのお刺身4種盛:下処理方法&目利きも解説! - TSURINEWS

居着きは臭い次第

居着き型のチヌは流れのない場所にいることが多く、基本的に食用には向かないとされています。特徴として体が黒ずんでおり、臭いもきつくなりがちです。しかし、臭い次第では十分に食べられるので、釣ったらすぐ下処理をして早めにいただきましょう。

回遊個体は美味しい

回遊しているチヌは、潮通しのいい場所を移動するため美しい銀色をしています。臭いも少なく脂が乗っているので、とても美味しくいただけます。また沖釣りで釣れるチヌは絶品です。

時期によっても変化

チヌが1番美味しく食べられる時期は、冬から早春にかけての期間になります。特に早春になると、産卵が近づき栄養を蓄えるので、脂が乗って美味しいです。

<TSURINEWS編集部>

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