夏になると食べたくなる……けれど、絶滅危惧種でもあり食べるのは気が引けるウナギ。代用品が数多考えられていますが、個人的にはとある「ナマズの仲間」を推薦したいところです。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
2022年はシラスウナギが不漁
今年も梅雨が開け、「土用の丑の日」が近づいて来ました。スーパーやコンビニの店頭を見れば、例年と同様に「土用のウナギ」商戦も活発化しているようです。

しかし残念なことに、今年のウナギ価格はかなり高騰する予測が立っています。というのも、養殖のために必要なウナギの稚魚「シラスウナギ」が、昨年冬から今年春にかけてかなりの不漁に陥ったからです。
静岡では3年ぶりにシラスウナギの捕獲量が1tを割り、過去3番目の少なさだったといいます。取引価格は昨年の3倍程になり、結果としてウナギ製品の小売価格も非常に高くなると予測されているのです。
さまざまなウナギ代替品
日本食に欠かせない人気の食材であるウナギ。しかし近年のシラスウナギ資源量の大幅な減少やそれに伴う価格の上昇、そして絶滅危惧動物として保護が必要な情勢でもあることから、その代替品を模索することが盛んに行われてきました。
「代替ウナギ」の中で最もポピュラーなものは「すり身」を使ったものでしょう。はんぺんやかまぼこと似たような製品でタレで味付けされており、食感や味もかなりウナギに近いです。

またそもそも土用に丑の日にウナギを食べるのは「うのつくもの」だからといういわれがあります。そのためうのつく食材ならウナギでなくとも良いだろう、ということで、ウナギ同様に食べるとスタミナが付く「牛肉」などを食べる動きもあるようです。
国内外来種「ギギ」
さて、このような中でも「それでもやっぱり本物を食べたい!」と考える人は決して少なくないと思います。そんな人におすすめしたいのが、ずばりナマズ(マナマズ)です。ナマズはウナギと皮の風味が似ており、蒲焼にすると他の魚よりもウナギに似た味になりやすいのです。
しかし残念なのは、マナマズはもともと脂が強く乗るというタイプの魚ではないこと。焼くと脂が爆ぜるほどであるウナギと比べると、どうしても味にコクが足りないと感じてしまうかもしれません。
では、脂が乗るナマズはいないのか……というと、います。それが「ギギ」。

ギギは30cmほどになるナマズの一種で、河川の流れのある中下流域に生息する遊泳性の強いナマズです。マナマズと異なりしっかりとした尾鰭があるのですぐにわかります。
しかし彼らは適応力が高く、個体によってはため池などの止水域にも生息します。そういった個体は春から夏にかけて強く脂が乗り、ゼラチン質たっぷりの皮の風味も相まって、焼くと他のどんな魚よりもウナギに近い味がするのです。
ギギも絶滅危惧種?
魚に詳しい人なら「でもギギってウナギと同じように絶滅が危惧されていないっけ?」と思われるかもしれません。
たしかに本来の生息地である近畿、中国、四国、北部九州では河川の開発により個体数が減り、絶滅が危惧されているところもあります。しかし実は彼らは、本来棲息しない中部日本や南九州にも放流などによって侵入し、国内外来種として数を増やしているという現状があります。
そういった個体は比較的簡単に捕まえることができ、また食べるのも倫理的に問題がありません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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