コイは日本人にとって身近な淡水魚だ。生命力が強く適応能力も高い。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 松森渉)
コイ釣りの魅力
コイは賢く、学習能力がある。そのため「コイは一日一寸」と言われるほど。一寸とは3.03cm。つまり30cm以上のコイを釣りたければ、10日間は釣り場に通わなければならないということ。それだけの根気が必要になる。だから釣り上げたときの感動は大きい。
そしてコイ釣りの魅力は何と言っても大物に出会えること。淡水において30cm以上の魚は大物の部類になる。コイのアベレージサイズは大きく、70cmクラスも珍しくなく、場合によっては1mのメーターオーバーも夢ではない。そうコイ釣りには夢がある。

いったんハリ掛かりすればファイトは強烈で、引きも重量感がありとても激しい。
コイの種類
コイといっても鑑賞用のコイから放流されたコイ、野生化した野ゴイと種類がある。
野ゴイ
長い年月、大自然で生き抜き野生化したコイ。警戒心、知恵、経験は他のコイよりも上で、釣り上げて最も価値のあるのが野ゴイだ。
養殖コイ
食用目的で放流され野生化したコイ。野ゴイよりも警戒心は薄く、活発にエサを捕食する。体高があり、重量感のある引きをする。
色ゴイ
ニシキゴイなど色が黒以外のコイ。観賞用として人気で、観光地などの水路でよく見かける。時に水路などから脱走して、自然界に根着くことがある。コイの中で最も警戒心が薄く釣りやすい。
コイの生態
次にコイの生態を解説しよう。

回遊経路を知る
コイは回遊魚である。つまりコイの回遊経路さえ分かれば、狙い撃ちできることになる。大まかに回遊経路を推測すると、川では流れの速い流芯部は避け、水深のある岸寄りの場合が多い。池や湖では大きな障害物がある場所や、藻の切れ目など何かしらの変化がある場所になる。
季節ごとの着き場を知る
春夏秋冬、水温は変わる。コイも水温に合わせて動く。過ごしやすい適水温を求めて移動するのだ。春は水温が上がりやすい浅場を泳ぐ。夏は逆に浅場は水温が上がり過ぎるので、水温が低い深場へ移動する。だが涼しくなる夜や明け方は浅場に移動する。そのため夏は夜釣りが主体になる。
秋は川全体が適水温になりやすく、コイは活発に動く。冬は冬眠状態になるので動きは鈍く、一年で最も釣りにくい。基本深場狙いだが、深場の中でも暖かい場所を選ぶ。
捕食時間を知る
コイが動きだすのは夜明け。動きが活発になると水面をたたいたり、浮き上がって波紋ができたりする。捕食時間はこの後になる。時期や場所にもよるが、午前8時~正午ぐらいまで。その後は回遊を始める。この時間帯はコイの動きが速く、捕食しない可能性が高い。再び捕食するのは夕方。午後3時ごろ~日が沈むころまで。その後は回遊と捕食をして睡眠となる。
コイ釣りのタックル
コイ釣りの基本のタックルを紹介しよう。

サオ
コイ釣りでは振り出し投げザオや振り出し磯ザオが一般的。コイ釣り専用のサオもある。安価なものがほとんどで、初期投資が少なくて済むのがありがたい。経験を積んでより大物を狙うようになったら、高価なサオを購入すれば十分だ。

リール
リールは扱いやすいスピニングリールが一般的。スピニングリールは遠投がしやすく扱いが楽。もうひとつは両軸受けリール。

両軸受けリールはベテラン向きのイメージがある。慣れない内はバックラッシュなどのトラブルもある。しかし慣れてしまえばパワーがあり、コントロールをつけやすい利点もある。
ライン
単純にラインが太ければ、大ゴイとのやり取りは楽になる。しかしコイは警戒心が強い魚。

ラインが太いと、風や水流抵抗でイト鳴りがして警戒心を与えてしまう。ラインが細いとラインブレイクの要因となる。一般的な号数はナイロン6号だと思う。
タモ網
コイは基本的に大きい魚なので、タモ網は大きい方が取り込みしやすい。柄も長い方が有利。釣り場によっては折り畳み式も便利だ。

サオ立て
コイ釣りは基本ブッコミ釣りだ。サオを固定してアタリを待つため、サオを立てて置くサオ立てが必要だ。

三脚式は海釣りなどで使われるもので、足場がコンクリートでも設置可能で持ち運びも便利。だが風に弱い欠点もある。ロッドポットは三脚式であらゆる場所に設置可能。しかしかさばるのが欠点。他にもアングル式、ピストン式とあるが、場所によって適材適所に使い分けると釣りはより快適になる。
バイトアラーム
本来ならアタリは目視で確認してアワせるのが理想だが、コイはエサを捕食するまでに時間がかかる。そのためアタリを音で知らせてくれるアイテムが必要になる。

古くから使われているのが鈴だ。安価で取り付けも楽ちん。コイのアタリが出たとき鈴の音は、風情すら感じてしまう。

計測道具
コイ釣りは大物釣り。釣ったコイは長さを測り記録に残したい。1mぐらいまで測れるコンパクトなメジャーがあると便利。

またコイを計測する際、コイを乗せるマットがあるといい。使う際は水に濡らしてからコイを乗せる。地面に直置きだとコイは暴れるし、傷ついてしまう。
コイ釣りの仕掛け
コイ釣りの仕掛けは多様にある。一般的な吸い込み仕掛けと呼ばれるハリ数の多いもの、1本バリ、2本バリ仕掛け。ヨーロッパ式のヘアリグ仕掛け。どれが良いとは一概には言えない。コイは地域性もあるので、その地域で最も実績のある仕掛けを使うのが一番。
私の場合は基本1本バリ仕掛けだが、サオを2本出すので、1つは基本の1本バリ仕掛けで、もう1つは違う仕掛けを試すようにする。
コイのエサ
コイ釣りの醍醐味の1つがエサ選びだと思う。コイは雑食で何でも食べるので、エサは多種多様だ。地域や季節によっても変わってくる。自分が推測したエサで食わせたときは、喜びもひとしおだと思う。
サツマイモ
最も一般的なエサ。ほとんどのフィールドで安定した釣果が出る。イモは煮込んで作る角イモとイモヨウカンがある。

角イモは水で煮込むだけだが、単純な作り方だけに微妙な煮込み加減で仕上がりが変わる。固くなり過ぎても柔らかくなり過ぎてもダメだ。サツマイモは練りエとの組み合わせで食わせのエサになる。
トウモロコシ
トウモロコシは世界的に人気のエサだ。またエサ自体が小さいので、警戒心が強いコイにうってつけだ。サツマイモ同様に食わせのエサになる。
市販の粉末エサ
粉末状のエサに水を入れて練り込みダンゴにする。寄せエサや食わせエサに組み合わせて使うことが多い。また吸い込み仕掛けのエサともなる。種類は多様にあり、組み合わせて使うことが多い。

微妙な組み合わせで釣れたり釣れなかったりと頭を悩ませるが、季節や地域によって定番と呼ばれるエサは存在する。
ボイリー
イギリス発祥のエサで見た目はアメ玉だ。今では世界中で愛用されている。特徴はエサ持ちの良さ。半日以上水中にあっても溶けないほど。また小魚が口に吸い込める大きさではないので、外道に邪魔されにくい。

手が汚れにくいのもありがたい。種類は多様にあり、大きさもいろいろある。ボイリーの名の由来はゆでる=ボイルだ。
ダンゴエサに食わせエサを忍ばせる
エサは多様にあるが、基本はダンゴエサに食わせエサを忍ばせるやり方だ。ダンゴエサの中に食わせエサを隠すように埋め込むのだ。これは1本バリでも2本バリでも同じ。吸い込み仕掛けでもハリには食わせエサを付けた方が良いと思う。
ボイリーでも要領は同じで、ダンゴにボイリーを忍ばせる。ただ欧米式はダンゴ以外にもボイリー自体を寄せに使うことがある。PVAバックと呼ばれる水に溶ける袋があり、そこにボイリーをいくつか入れてハリにくくり付けるのだ。
コイのノベザオ一本釣り
条件はある程度限定されるが、ノベザオを使ったコイの一本釣りがある。サケ釣りなどに使われる強固なサオを使い、サオ1本、イト1本、ハリ1本で挑む。コイの回遊経路で待ち伏せし、コイの目の前にエサを落としアワセも目視で行う。
そのためヒット率は高い。しかし取り込みに苦労はする。その取り込みが醍醐味でもある。
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<週刊つりニュース中部版 松森渉/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2022年10月28日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post コイ(鯉)釣りのキホン 【魚の種類・生態・道具・エサ・釣り方を解説】 first appeared on TSURINEWS.