連日のタチウオ2ケタ釣果の情報に期待感を持って、10月15日の午後岸和田沖一文字に釣行した。が、前日までの高活性が一転して苦戦を強いられ、辛うじてタチウオ1匹を拾うのが精一杯の結果に終わった。

回遊魚は水物、コンディション次第と改めて感じた釣りの模様をお届けする。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

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岸和田一文字のタチウオ釣り

タチウオは秋の一、二を争う人気の釣り物だが、大阪湾の波止・岸壁でのタチウオ釣りは2020年、2021年と2年連続の不振に陥り、2022年も9月はほぼ音沙汰無しの状態。しかし10月に入ると、岸和田一文字でタチウオの釣果情報が出始め、中旬には連日の二桁釣果も出てようやくシーズンインを迎えた。

岸和田一文字は沖一文字と旧一文字の2本の沖防波堤の総称で、渡しているのは岸和田渡船。忠岡にある乗船場と受付事務所、乗船手続きなどは、ホームページに詳しく記載されているので、初めて釣行される方や不慣れな方は、是非とも目を通していただきたい。

岸和田一文字での引き釣りでタチウオ1匹 前日までの高活性が一転苦戦
岸和田一文字略図(作図:TSURINEWSライター伴野慶幸)

2022年、岸和田渡船ではあまりの多客と駐車場確保の難しさなどから、送客オペレーションの都合上やむをえず全日・全便をネット予約制とすることを決断。私も予約枠が約2分で瞬殺する異常事態をかいくぐって、奇跡的に10月15日の15時発の便の予約に成功した。

なお、岸和田一文字の詳しい特徴その他の解説は、過去の投稿「大阪湾の沖波止紹介:岸和田&泉佐野一文字 都市近郊でアクセス良好」をご覧いただきたい。

大阪湾の沖波止紹介:岸和田&泉佐野一文字 都市近郊でアクセス良好

釣り座の確保が難しい

当日は乗船場への直行は不可とされ、釣り人の自家用車はフィッシングマックス泉大津店の駐車場に駐車して、そこからマイクロバスで乗船場に送迎するというオペレーションとなっていた。限られた予約枠を確保した釣り人達の表情は皆明るく穏やかで、スタッフの指示にも従ってあらゆる面でスムーズな時が流れていく。

スタッフに様子を聞くと「オペレーションの都合で人数制限していて、午前中に渡った釣り人も大半が帰っているので、沖向きでも釣り場が埋まっていることはない」との話を聞いて安堵する。15時便は30人ほどの釣り人を乗せて順調に出船。船内は全員がタチウオ狙いで、その大半はルアーマンだが、磯竿や短竿を手にしたベテラン師や親子連れも混じる。

岸和田渡船の乗船所(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

周りの静かで穏やかな船内の雰囲気に身を委ねていた私であったが、タチウオ狙いのメインの釣り場・岸和田沖一文字(通称:沖の北)に近づくと、その光景を見て一気に暗い気持ちになった。

出船前のスタッフの話とは違って、波止の北端から小屋までの沖向きは先客でほぼ埋まっていて、後から入れそうな場所が見当たらない厳しい状況。小屋からさらに南へ行けば空いている場所もあるが、内向き(陸向き)がオイルフェンスの内側になるデメリットを受け入れなければならない。

船着場に着くと同時に、北向きのわずか1か所空いた場所を目掛けて突進。どうにか釣り座を確保したが、十分な間隔をとってはいたが、両隣の先客から険しい表情を向けられ、一段と暗い気持ちにさせられた。別の釣り人は直接先客からクレームを受けて退散、親子連れは内向きにしか釣り座を構えられずといった光景も見られ、15時発の便では、釣り座の確保が難しいというのが実感だった。

満員御礼の岸和田一文字(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

まずはサビキ釣りでアジ

釣り座を確保したので、タックルの準備にかかる。メインのタチウオ釣りのテンヤ仕掛けを整えてから、夕暮れまでの竿下サビキ釣りの準備に移る。タックルは磯竿5号5.4mにミチイト5号を巻いた両軸リールをセットし、サビキの間にクッションゴムを介する。サビキはケイムラ仕様のハリ7号、ミキイト5号、ハリス2号の、夕暮れまでの時間帯に実績のあるタイプを用意した。

北西からの風が強く沖向きは釣りづらいこともあって、内向きで釣ることにした。波止際は水深が6m程度と浅く、サビキを落とすと上層で小サバの猛攻にあってしまう。工夫して底ギリギリに早くサビキを落とし込むようにすると、小サバは減り、小アジとウルメイワシを拾えるようになった。

内向きに竿出しした周りの釣り人達も快調に魚を釣り上げてゆき、中にはカワハギを手中にした人もいて、お土産は皆それぞれに確保できたようだ。

せっかく小アジが釣れたので、ノマセ釣りも試みたが不発。しかし波止の北端ではルアーマンにサゴシがヒットして歓喜の声があがっていて、もう少し粘ってみてもよかったのかもしれない。

サビキ釣りでお土産確保(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

夕暮れから引き釣りに

夕暮れ後は、メインのタチウオテンヤの引き釣りに転じた。タックルは今年新調した8.7ftのロックフィッシュ用ロッドにスピニングリールの組み合わせだが、私にとっては2.7mのハードタイプのルアー竿にミチイト4号、ワイヤーリーダー介してのSサイズのタチウオテンヤの組み合わせといった認識だ。

夜行性のタチウオの視覚にアピールするように、ワイヤーリーダーの少し上にケミホタルブルーの75をセットし、さらに私のオリジナルの部分として、遠投するために蛍光塗料が塗られているナス型オモリ2号を足している。

テンヤに巻き付けるエサは定番のドジョウも用意してはいたが、最終的には冷凍イワシを選択。エサ持ちは悪いがタチウオがアタックしくる確率が高いのは、私のこれまでの釣行で経験済みだ。ワイヤーで巻き付ける時は、尾の部分を余らせて付けることがポイントだ。

使用したイワシとセット方法(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

強い北風と激渋の状況

私も周りのルアーマン達も沖向きにキャストを繰り返すが、強い北風に加え、日が完全に暮れてもタチウオの群れは到来せず、激渋の状況。前日までの二桁釣果などは絶望的で、タチウオの顔が見られるか否かの苦戦を余儀なくされた。

電気ウキ釣りは強風と潮流に阻まれ成り立たず、特に親子連れをはじめ内向きの釣り人たちは、仕掛けが推し戻されてノーチャンスの気の毒な状態になってしまった。といって同情できるほど私とて余裕はなく、見渡す限り誰一人釣れていないつらい時間が続く。

強い北風と激渋の状況(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

19時前に辛うじて1匹を捕獲

18時30分ごろ、突然「釣れたん?ええっ?」とジュニアの可愛い声が聞こえてきた。視線を向けると、お父さんのワインドロッドの下で、闇夜に輝くケミホタルがうねっていた。慣れたロッドさばきでステンレスの煌めきを放つタチウオの抜き上げに成功すると、ジュニアの声は「やったー!」と歓声に変わる。

ようやく1匹目の釣果が出たと、周りの釣り人達も活気づく。次に聞こえてきたのは「やったやん!」「よかったあー」とワインド二人組の歓声。

焦りが募った私にも19時前、ついに待望の時が訪れた。上層から中層を繰り返し引き続けてきたところ、突然ガツンという感触が竿先から伝わってきた。この瞬間を逃さずに大きく煽るとフッキングに成功。新調したロッドの使い心地よろしく、主導権をこちらの手の内に握り続けて難なく抜き上げに成功。指3本サイズではあったが、激渋の状況下で辛うじて拾えた釣果には「よかったあー」との思いが上回った。

辛うじてキャッチした1匹(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

最終釣果

その後もキャストを続けたが、先程可愛い歓声をあげたジュニアのお父さんが更に2匹、ワインド二人組が更に1匹を手にしたが、私は追釣はならずタチウオ1匹、小魚多数の悔しい釣果に終わり納竿。20時30分の最終迎え便で波止を後にした。

持ち帰った魚(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

全体的に釣果は芳しくなく、船内の釣り人の多くは表情が冴えなかった。ホームページでもタチウオの竿頭は8匹止まりだったが、そんな中で良型のアコウを仕留めた人や、日中のうちに青物を仕留めた釣り人がいて、腕前の差を実感させられた。夜遅くまで送客オペレーションに力を注いでくれた岸和田渡船のスタッフ達に感謝しながら帰路につき、自宅に帰ると遅めの夕食のお惣菜となった釣果を噛み締めた。

遅めの夕食で釣魚を満喫(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

翌日は2ケタ釣果続出!

岸和田一文字と岸和田渡船の名誉のために、後日談を書かせていただくと、私が釣行した翌日の10月16日は、釣果情報によると一転して、15匹、13匹、13匹、10匹とタチウオの2ケタ釣果が続出!自力で9匹釣ったジュニアもいたとのこと。

皆さんの腕前のよさもあっての好釣果なのは間違いないが、回遊魚は水物、コンディション次第で釣果は大きくかわるということもまた事実であろう。

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<伴野慶幸/TSURINEWSライター>

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岸和田渡船
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