晩秋、河川筋での代表格と言えば、木曽三川のヒネハゼ、マダカだ。今回は木曽三川の晩秋の風物詩である両者のポイントや攻略法について紹介したいと思う。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

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晩秋からの釣りに注目が集まる理由

二十四節気にあたる「霜降」を過ぎ、朝晩の肌寒さに身震いをするようになってきた。最も晩秋を感じる季節だ。近年この晩秋からの釣りに注目が集まりつつある。ひと昔前は水温の安定する海側の釣りを連想したが、現在では河川筋もその対象となっている。

まずヒネハゼ、マダカ両者の釣りを説明する上で、知っておいておきたいことがいくつかある。なぜ近年河川筋において晩秋からの釣りに注目が集まるようになったのか。これにはいくつかの理由が挙げられる。

晩秋の木曽川で【ヒネハゼ&マダカを釣ろう】 釣り場・道具・釣り方は?
立田大橋下流の石積み護岸(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

1つは季節感の変化。私も毎年のように感じるのだが、近年は春や秋などの過ごしやすい日が少なくなった。例えば今年は5月から気温30度を超える日があった。また秋以降、夏の暑さがいつまでも続いた。

ひと昔前は、お盆を過ぎたころからだんだん涼しくなると言われていた。しかし、今ではその面影もない。

まして冷夏なんて言葉は近年全く耳にしなくなった。また海水温の上昇により、秋に災害級の大雨で釣行予定が立てづらくなったこともある。そうした理由から、比較的天候が安定する晩秋の釣りに人気が集まるようになってきた。

晩秋の木曽川で【ヒネハゼ&マダカを釣ろう】 釣り場・道具・釣り方は?
揖斐川上流の護岸(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

そしてもう1つは、河川筋における釣期の変化だ。近年木曽三川では一年を通して釣りが楽しめるようになった。これは海水の差し込みが強くなった分、平均水温が安定したことが考えられる。

理由としては、温暖化による海水温の上昇や海流の変化、地盤沈下などによる自然的な要因。あと川や海などにおける人工建造物などの人為的な要因などが複雑に関わっているように思う。

そういったことから、ヒネハゼは年内いっぱい河川筋で狙えるようになった。またマダカにいたっては居残り組まで現れ、オフシーズンはほぼなくなった。まだ知る人ぞ知る動きであり、木曽三川ファンの間では密かなブームとなっている。

近年のヒネハゼ&マダカの動き

ひと昔前の上流(立田、油島)のヒネハゼやマダカは、11月以降の冷え込みで、だんだん海へと下っていく動きだった。12月以降は少なくとも木曽三川の河口付近、名古屋港や四日市港周辺など水温が安定した釣り場へと足を運ぶ必要があった。

晩秋の木曽川で【ヒネハゼ&マダカを釣ろう】 釣り場・道具・釣り方は?
揖斐川下流の護岸(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

そして年明けから春先までの低水温期は、海側での釣りを余儀なくされた。それが先に述べた理由から、現在では一年を通して河川筋で魚を狙うことができるようになった。また夏から秋にかけては、魚種(クロダイ、マゴチなど)が増える結果となった。

ヒネハゼ釣り

年内いっぱい河川筋で狙うことができる。11月以降の冷え込みにより、河口へ下る個体と上流部に残る個体とがいる。河口へ下るものは、最終的には沿岸の深場へと落ちていく。ごく一部だが、河口付近のブロック周りに年明け以降も残る個体がいる。

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晩秋はヒネハゼの最盛期(作図:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

上流の居残り組に関しては、最終的にはその周辺の深場へと落ちていく。それらの動きに関しては、気温や水源(山側)からの冷水の入り方によってばらつきがある。

釣り場・時間帯

下り組、居残り組とも変わらず、水温の安定する足元のブロック周りや深場を狙う。足元のブロック周りは、浅場で低水温のイメージがある。しかし岸際は川の流れが緩く、またブロックが冷たい水の動きを遮る役割を果たす。そのため、比較的水温は安定する。

また木曽三川は、岸から近い深場のポイントがいくつかある。

深場における水温の安定は周知の事実であり、ぜひそのポイントも狙いたい。

木曽川は立田周辺や国道1号から河口付近にかけてのブロック周り。それから下りの際にたまり込む立田周辺から、国道1号にかけての深場。揖斐川は、油島周辺から国道1号にかけての深場。国道1号から河口付近にかけてのブロック周りがポイントになる。

ここで注意したいことは、この時期特有の急な水温低下や各河川における水温のばらつきだ。急な水温低下は、マハゼの活性を一気に下げてしまう。また各河川によって水源までの距離が異なり、そこの気象条件によっては冷水の入るタイミングが異なる。

それにより水温のばらつきが生まれ、シーズンごとに釣れる河川やポイントが変わってしまう。下手をすれば、週ごとに変わるケースもある。以前釣れたからと言って、ポイントを決めつけてしまうのは禁物だ。

それに関しては、地元の釣具店にて新鮮な情報を得るといいだろう。

時間帯は、どの河川でも日中の潮の前後がメインとなる。また朝マヅメや夕マヅメは、潮緩みであっても活性が高くなる。

道具立て&エサ

穴釣りは3m前後の延べザオ、ミチイト1.5号前後、中通しオモリ1号、ハゼバリ8号以上。市販のブラクリ仕掛けも使用できる。穴釣り(ウキバージョン)は、3m前後のノベザオ、ミチイト1.5号、玉ウキや棒ウキ、中通しオモリ2号、ハゼバリ8号以上。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

投げ釣りは、3.6m前後の投げザオ(オモリ負荷25号以上)、中型&大型スピニングリールにナイロン4号前後かPEライン2号+テーパー、中通しテンビン(スパイク25号以上)、ハゼ&流線仕掛けのハリ8号以上。

転がし誘い釣りは3m前後の投げザオ(オモリ負荷20号前後)、中型&大型スピニングリールにミチイトは投げ釣りと同じ、中通しテンビン(六角、ナス20号まで)、ハゼ&流線仕掛けのハリ8号以上。1本バリでも良い。エサはイシゴカイをメインとし、アオイソメやゴールドイソメをカットしたものでも良い。

釣り方

この時期は、水温の変動からポイントが変わりやすい。そのためブロック周りはミャク釣りで積極的に探っていきたい。そうすることで短時間での状況把握や、活性の高い個体を見つけやすく数釣りにつながる。

ヒネハゼが固まっているポイントを把握していれば、複数本のサオによる待ちのウキ釣り(オモリ底付け、ウキ水面合わせ)も面白い。例年立田周辺で、年配のご夫婦がこの釣法でヒネハゼ釣りを楽しまれている。

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複数本のサオでじっくり狙おう(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

深場のチョイ投げは、基本待ちの釣り。河川筋の場合は、岸から近くであっても深場は流れが強いので、重めのオモリを使う必要がある。ある程度仕掛けが流されることを防ぎ、投点の維持やしっかりとエサを見せることにつながる。

活性の低い場合は、投点の変更や小さく誘いをかける。また手持ちの1本ザオで、オモリをゆっくり転がしながら誘う釣りも面白い。またヒネハゼにアピールするためにも、エサは毎度新鮮なものに付け替えよう。

マダカ釣り

近年はマダカの動きも複雑になってきた。ひと昔前とは違い、上流でも居残り組が出てきたのだ。木曽三川のマダカは、木曽川は馬飼大橋まで、揖斐川は名神高速道路下手のエン堤まで遡上する。晩秋以降はどちらの河川も堰上流から入ってくる落ちアユを捕食し、その後少しずつ下流へと下っていく。しかし、近年では遊びアユも多く、地元の人によると馬飼大橋では12月以降も落ちアユを捕食する動きが見られたとのこと。

そのため一部だが、年明け以降に下りの動きを見せる個体もいるようだ。またどういうわけか、その中には海へと下らず河川筋に居残る個体も出てきており、河口付近においても一部で似たような動きが見られる。

晩秋の木曽川で【ヒネハゼ&マダカを釣ろう】 釣り場・道具・釣り方は?
ハマれば数釣りを楽しめる(提供:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

それから驚くべき報告を耳にした。それは時期によって河口よりも水温が2度以上低い上流の方が釣れるといったものだ。特に私がびっくりしたのは、数年前上流において大雪後(水温5度前後)にもかかわらず、マダカやセイゴの入れ食いがあったことだ。冬期のセオリーを覆す動きだっただけに、その衝撃を今でも鮮明に覚えている。それらの胃の中には多くのエビや川魚などが入っており、上流のエサの豊富さもマダカが居残る1つの要因になっていると考えられる。

釣り場・時間帯

落ちアユが入ってくるまでは、どの河川においても釣り場は変わらない。河口から上流までの潮通しが良く、変化のあるポイントを狙う。

木曽川は、馬飼大橋付近まで狙える。ただ馬飼大橋から下流200mは釣り禁止なので要注意。また揖斐川は、名神高速道路のエン堤付近まで狙うことができる。ただ海津橋付近から上流部は、入漁料を徴収される場合がある。それから体力のない落ちアユが入り込みそうな流れの緩い沈所脇や、深みのあるワンドなども狙いめだ。

時間帯は昼夜ともに狙えるが、マダカは夜行性ということから昼よりも夜に分が上がる。過去20数年で昼が良かった年は3シーズンほどで、残りのシーズンは暗くなってからの潮の前後だった。

道具立て&エサ

4m前後の投げザオ(オモリ負荷25号以上)、大型スピニングリールにナイロン5号前後かPE2号前後+テーパー、中通しテンビン(スパイク30号前後)、木曽三川オリジナル2本バリ仕掛けのハリ15号以上。1本針でもいい。

晩秋の木曽川で【ヒネハゼ&マダカを釣ろう】 釣り場・道具・釣り方は?
タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 桑山卓久)

転がし誘い釣りは、3.6m前後の投げザオ(オモリ25号以上)、大型スピニングリールにミチイトは投げ釣りと同じ、中通しテンビン(六角、ナス20号まで)、木曽三川オリジナル1本バリのハリ15号以上。エサはアオイソメやゴールドイソメの房掛けだ。

釣り方

こちらもヒネハゼ同様に待ちの釣りだ。河川筋であることから、流芯は非常に流れが強いため、重めのオモリで投点を維持する必要がある。また木曽三川は1級河川ということで、広く探るためにも複数本のサオによる投げ分けが重要だ。

活性が高いときは、20号ぐらいまでのオモリを転がしながら誘う釣りも面白い。また稚アユが入り込む沈所脇や深みのあるワンドはそれほど流れは強くないため、そのポイントに合わせた軽めのオモリを使う。

また最近私が現場でよく感じることがある。それは、こまめなエサ替えを怠る人が意外といること。エサの鮮度を保つことはマダカへのアピールとなるので、徹底してほしい。合わせて最大のアピールであるエサの房掛けも心がけたい。

好立地のポイントで楽しもう

ここ木曽三川では、マニアからファミリーまで楽しめるポイントが数多い。立田周辺はトイレが完備されたバーベキュー広場やグラウンドゴルフ場がある。近くには国営木曽三川公園や歴史資料館もあり、レクリエーションの場としても確立している。

これからは寒さとの戦いが控えており、数多くの車横付けポイントがある木曽三川は魅力的な釣り場だ。晩秋以降は良型シーズンであり、状況次第では数釣りも十分期待できる。これだけの条件がそろった釣り場は、なかなかない。これから面白くなる晩秋からの木曽三川、皆さんぜひ出かけてほしい。

最後に釣り人のマナーである現場での安全対策(ライフジャケットの着用など)や、ゴミの持ち帰りなどによる環境美化にも努めていただくようお願いしたい。

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<週刊つりニュース中部版 桑山卓久/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2022年11月4日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 晩秋の木曽川で【ヒネハゼ&マダカを釣ろう】 釣り場・道具・釣り方は? first appeared on TSURINEWS.
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